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6 人間と魔物
コンコン。
「父様~。入っていいかしら?」
私は返事が聞こえる前に管理室へ入る。
「ああ、ルーフェリア。なんで来たんだい?」
「父様に会いたくなったの!」
私はそういうとぎゅっと父様の腰に抱き着く。
「転んでしまうよ」
父様はそういいながらも私の頭を撫でると、私のことをそっと持ち上げた。
私と同じ顔の高さになると、そのまま抱っこされる。
すると。
「君の『母』が来た」
それだけ言うと、父様はまた笑顔に戻って、管理室から出る。
「父様、どこへ行くの?」
私は父様に抱きかかえられたまま尋ねる。
「ああ、庶務室さ。まだ残っている仕事があるからね。いまは資料を探していたんだ」
「庶務……」
部屋につき、父様が私のことをおろす。
私はぐっと父様のローブを引っ張った。
「ねえ、私の……えっと……」
「ああ、彼女は今地下牢で眠っているよ」
その短い答えにも深いところがあるのでは、と思った。
が、私は黙っておいた。
「なんの資料を探しているの?」
「……ん? ああ、人間との分かち合いさ。最近は冒険者と名乗り、滅ぼそうとするものまで現れた。だから……」
「えっ!? ……何人ぐらいいるの?」
私は父様の話をさえぎってしまったことに後悔しながら、上目遣いで聞いた。
「まあ、ルーフェリアが見てしまった人たちも含めて、ざっと100組ぐらいかな」
私は絶句した。
父様は「一人で」そこまでやってきたんだ。
「一人……?」
あ、変だった、と思いながら聞き返す。
「いいや、300人ぐらいさ」
「あ、そうじゃなくて、父様一人でやったの?」
「いいや、だいたい下級層で死んでしまうからね。最後までこれたのはルーフェリアが見たのとあと1組さ」
「あ、そう」
私は胸をなでおろすと同時に、自分の無力さに気がついた。