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公開中

参加2度目!

【透明病の詳細】 “覚えられたい”という気持ちが強い人、 または“覚えていたい”という気持ちが 強い人に発症しやすい病気。 病気を治す方法は、 “一生の思い出になる出来事”を作る または、“孤独を無くす”こと。 だが、治った実例が報告されてないため、知られていない。 【リリの過去】 「あんたなんかいらん」 そう、全ての始まりはここだった。 すごく晴れていた日だった。 私は、外国人やった。 でも、生まれたのは日本。 国籍も日本やし、外国語なんか喋れん。 日本で生まれて、日本で育って、日本語で話して。何もみんなと変わらなかった。 変わらなかったはずなのに。 “外国人だから”って仲間外れにされることなんかしょっちゅうやった。 親は相変わらず優しかった。けど、親にこのことなんか喋れん。 喋れるわけないやろ。迷惑かけたない。 最初は、「邪魔」「外国人のくせに日本に来んな」「外国人は外国にでも帰れば?」と。うけるいじめも、言葉だけだった。 でも、それをうちは笑顔で受け止めた。 笑顔でいなければ心が壊れる気がした。 それをクラスメイトらは面白くなく感じたのか、それからはみんなうちを“無視”した。 話しかけても、怪我をしても、何があっても。 うちを“そこにいないもの”として扱った。 “いないもの”として扱われるのは何よりも苦しいことなんや、と。 そう知った瞬間、うちの足の感覚が薄れた。 さっきまであんなに重く感じていた足が、なんだかないもののように感じる。 なんだか嫌な予感がした。見たら、何かが壊れるような気がした。でも、うちは見た。見てしまったんや。 …足が、不透明になっていた。 その瞬間うちは、必死で耐えていた何かが割れて溢れ出してきた。考えることなんか無理で、ブツッと何かが切れた感覚がした。意識が薄れていく一方、ずっと同じ事が頭をぐるぐると回っていた。でも、何よりも嫌だったことが起きそうになってて、考えないことなんて無理やった。やって、本当に。 “いないもの”になってしまうんや、って感じたから。 ─────────────── 目を覚ました時には、なぜか涙が頬を伝っていた。なんでやっけ?何も覚えとらん。 親…らしい人からは、うちが数週間も眠っていたことを知った。何があったんやろ? 何があったのかわかんなかった。何も覚えてなかった。でも。 半透明になった右足を見ると、いつも割れるように頭が痛くなって、いつも毎回同じ事が頭に浮かんでくる。多分、記憶を失う前のうちが感覚的に叫んでるんやと思う。 “消えたくない。忘れられたくない”って。
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