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#1 迷い犬も歩けばわん!と鳴く
「文豪ストレイドッグスわん!」の内容です。
連載中である「英国出身の迷ヰ犬」の番外編になります。
オリキャラ注意。
英国出身の迷ヰ犬
https://tanpen.net/novel/series/dbc4b7a3-d5a6-4927-bd3f-8e75383d3519/
敦side
忘れもしないあの日。
僕が巡り合った異能者「太宰治」は──
--- 川で死にかけていた ---
「あの……生きてますか?」
「死後、裁きにあう」
生きてた。
---
ルイスside
本当に唐突に始まった「わん!」に、僕は驚きを通り越して冷静だった。
本編通りに進めるなら、ここで自己紹介をしないとだな。
「僕の名前は中島敦! 能力名『月下獣』!」
「私の名前は太宰治。能力名『人間しっかきゅ…しっきゃ…しゅっ」
ゴポァッ、と血を吐いた太宰君。
めっちゃ噛んでるの面白いな。
「自分の能力名すら言えないなんて笑っちゃうよね、ハハッ。あとは頼んだよ…敦…く…ん…」
「噛んだだけで逝ったァァー!? メンタル弱ッ!!!」
「ちょっw敦君wそんなストレートに言わないでwww」
それから少しして、呼吸の整った僕も自己紹介をすることにした。
「僕はルイス•キャロル。能力名『不思議の国のアリしゅ』……じゃないな。『アリス•イン•ワンダーランド』だ」
「る、ルイスさん……」
「何も言わないでくれ、敦君」
──噛んだ。
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ルイスside
人虎変化の異能『月下獣』。
本編では鋭い牙、獲物を引き裂く爪を持った白虎。
「この通り、とても恐ろしい虎に変身しました!」
「何か君、原作とちがくない!? 大丈夫!?」
ぬいぐるみやん、というツッコミは心の中で入れておく事にした。
「あらゆる能力を無効化する異能『人間失格』。早速お見せしようか…」
お見せしようか、とは言ってもね。
本編とは違ってこんな平和なんだから、もちろん出番はない。
というか、ほぼ無意味だ。
「異能空間から様々なものを出し入れ出来る『|不思議の国のアリス《Alice in wonderland》』。以上」
「え、もう少しないんですか?」
特に面白いことないからな。
あ、そうだ。
僕が指を鳴らすと、《《例のもの》》が異能空間から送られてきた。
「ルイスさん!?」
「残り一秒!?」
例のものとは、|高性能爆薬《ハイエクスプロオシブ》だ。
敦君の入社試験(episode.2参照)で転送していたものなので、もちろん本物ではない。
慌てる二人を見ているのは少し面白かった。
あ、僕はSじゃないからね?
---
太宰side
「いい加減にしないか、貴様!」
敦君とルイスさん話していた私に、そんな声が掛けられる。
「太宰! 遊んでないで仕事をしろ!」
「それはそうだ」
ルイスさんが国木田君の味方をするのは少し予想外。
「子供は遊ぶのが仕事、って云うでしょ」
ふわぁ、と何か眠くなってきてしまった。
子供だし仕方ないよね☆
「後で起こして国き……お母さん」
「誰がお母さんだ!!」
叱られ、渋々仕事をする私。
国木田君は本当にお母さんみたいだな。
「あー、今日の夜は蟹にしようかなー」
ルイス君がわざと私に聞こえるようにそう言ってきた。
そんな風に好物をぶら下げられたって、私はやる気なんて出ないんだからね!
「国木田さん……」
「どうした、敦……って!? 太宰が仕事をしている、だと──!?」
凄く酷いことを言われたような気がするのだけれど。
ルイスside
よし、太宰君が仕事を始めた。
今日は何故か蟹が安くなっていたから良いけど、明日以降はどうしようかな。
そんなことを考えていると、太宰君が少し楽しそうにしていた。
「何してるの?」
「クニキダロボを作ってました」
これじゃ、もう蟹は無しかな。
そんなことを考えていると、太宰君の後ろに人影があった。
ゴゴゴ、と文字が見えるような気がする。
国木田君がめちゃくちゃ怒っていた。
ムズイ。