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眠り
1900年代後期、世界最大と言われた音楽一家が存在した。
その一族をラルギーニ家といった。特にピアノとバイオリンに
優れており、数々のコンクールを制覇していた。しかし、
そんなラルギーニ家が突如姿を消したのだ。その真相は未だ
解明されていないが、一人の少女の影響だと言われている。
シファ・ラルギーニというのだが、彼女は一族の中で珍しく
音楽の才に恵まれなかった。彼女は好奇心|旺盛《おうせい》で音楽以外の
ことに興味を持ち始めた。祖父はその彼女を縛り付け、
毎日ピアノを練習させた。それから14歳になったシファは
幾多のコンクールに出場したものの、優勝することはなかった。
このままではラルギーニ家の名声が崩れると思った父は
何とかせねばと思った。その1カ月後、シファはどこかへ
消え去ったのである。その後シファが見つかることは無かった。
その事実を世に伝えたのが姉、レマだった。名家、ラルギーニが
才がなかった少女を追放し、行方不明にさせたと瞬く間に
話題となった。その時、病を患っていた祖父は、眠るように
ショパンを弾いていたそうだ。そして、次々一族が病に
倒れていった。一部ではシファの呪いだと言われている
らしい。しばらくして、ラルギーニ家は消え去ったのであった。
現在、まだ一族は残っているのかなどは明らかになっていない。