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第一話 余命一年の私
登場人物
主人公:安藤桜(あんどう さくら)
十二歳
優しくて穏やか。本音が言えない。
松岡澪(まつおか みお)
十二歳
元気で活発。手が先にでるほう。
「……余命一年だと思ってください……」
桜が葉桜に変わる頃、桜は病室で医者に重々しくそう告げられた。
やっぱりか、と思う。
桜ががんだと診断されたのは三ヶ月前。
抗がん剤治療を避けていたせいだろうか?
それとも、神様に見放されたのだろうか?
どうでもいいや。もう、どうでもいい……。
私、決めた。
後、一年。自由に過ごして、死ぬ。
桜は密かに決意と覚悟を抱いた。
一週間後、退院した桜は、通っている私立花園学校の小学部の保健室に来ていた。
保健室の先生「体調は大丈夫?」
桜「はい。」
保健室の先生「……桜さんは強いのね……。」
保健室の先生は悲しそうに目を伏せた。そのとき。
がらっとドアが開いて、慌てた様子で澪が入ってきた。
澪「桜!退院おめでとう!」
桜「ありがとう。」
保健室の先生「私が言いますか?」
桜「ううん。自分で言う。」
澪「?」
桜は少し間を空けてから言った。
桜「ごめんね、澪。私、余命一年なんだ……。」
桜が言うと、澪は俯いて、肩を震わした。
澪「……なんで……。」
桜「澪……?」
澪「なんで謝るのよ!桜のバカ!!」
澪は駆け出すと、荒々しくドアを閉めて出て行ってしまった。
桜「澪……。」
桜はドアを悲しそうに見つめた。
《澪視点》
澪は荒々しくドアを閉めて、がむしゃらに走る。
何でいつも桜は謝るのよ……。
謝りたいのはこっちなのに……。
桜はお人好しだ。
それに甘えていたのは、私なの……。
桜になにもしてあげれない……。
無力で、惨め……。
私は桜の親友なのに……。
約束したのに……。
澪の頭には過去の約束が思い出されていた。
桜「澪ちゃん!」
澪「なぁに?」
桜「私たち、これからも友達だよね?」
澪「うん!」
桜「じゃあ、約束しよう。」
澪「約束……?」
桜「困ったことがあったら助け合おうね!」
桜は満面の笑みを浮かべ、小指を差し出してくる。
桜・澪「指切りげんまん。嘘ついたら針千本飲~ます!指切った!!」
澪「約束……したのに……。」
澪は壁を背にうずくまった。
桜「澪!」
桜の声が聞こえ、顔を上げる。
桜「澪、ごめんね。傷ついたよね。でも、すぐ死ぬ訳じゃないよ!まだ一年あるし……。」
ああ。これだ。これは桜の本質なんだ。
澪は鼻をすすった。
澪「桜……。」
澪は満面の笑みを浮かべた。昔の桜のような。
澪「この一年、最高の一年にしよう!」
桜「……うん!」
桜は瞳を潤ませながら力強く頷いた。
初投稿……!ドキドキしながら書きました!ここまで見てくれたあなた!ありがとー!まあ、大目に見てっちょ!気ままペースで書くけど、これからも見てくれたら嬉しいな!