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心電図の歴史
学術的趣味(フェチ)
・心電図
心電図の歴史を説明することは極めて難しい。
というのも、「筋肉に発電作用がある」という事実を医師や研究者が理解していない限り、その電気を読み取ろうという発想が出てこないからだ。
生物の教科書に載っている実験で、ガルヴァーニのカエルの実験がある。解剖したカエルの足に二本の金属を差し込むと、痙攣が起きることを発見した。つまり、カエルの足(筋肉)は、微弱な電気を発生させていたのである。
すべての細胞は、細胞膜の内側と外側で電位差(膜電位)があるため、体内で電気を発生できる。
アマゾン川に生息するデンキウナギはこれを得意とし、一瞬ではあるが、600~800ボルトの電流を発生させ、周囲に流すことができる。人体の場合、神経細胞と筋細胞が特にこの能力に優れており、(かなり微弱ではあるが)心臓を構成する心筋に電気活動があるのである。
19世紀後半。
「電流計で心筋の電気活動を観察しよう」という発想が生まれ、最古の心電図が設計された。
電極を人体に密着させ、体表から発せられる微弱な電気を読み取って、心筋の電気活動を計測できた。
しかし、この時点では読み取りに成功しただけで医学的検査の段階でない。
心臓のどの部分にどの順番で電気が流れているのか不明で、正常な心電図が作れても、それが正常か異常か、さらに心臓のどの部分に異常があるのか判断できなかった。
この問題は心臓の病理標本をひたすら顕微鏡で観察することで、心臓の伝導刺激(電気刺激の道筋)が明らかとなった。心電計の開発は進んだ。