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1章 東方凶事裏 零。
1章 |東方凶事裏《とうほうきょうじり》
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最近、何かと不幸に陥る人々が増えた。
底が尽きない金持ちとして有名だった人里の老人も何故か金が尽きていた。
そんな私も例外ではなかった。最近、神社に迷惑で邪魔でしかない人々がよく訪れて、あんなにあったはずの食料は底をついて、少なからずあった金も底をついた。
「異変ね」
魔理沙も最近、きのこが腐ったり全く見当たらなくなったり、作った薬や道具が消えたりと災難ばかり。八卦炉も消えてしまったらしい。魔理沙には、今回の異変解決は無理だろう。
紫を頼りたいが、紫も何かを企んでいるような雰囲気があって頼るに頼れない。
「………」
「何かお悩みかな?博麗の巫女さん」
白くふわふわと靡く長いロングヘア、そして紅のリボン。
そこに現れたのは、|藤原妹紅《ふじわらの もこう》だった。
「ええ、その通りよ。アンタがこんなとこまで来るなんて珍しいじゃない」
妹紅は竹林で案内役をしていて、竹林から出てくるのなんて稀である。何か用があるのだろう。
「実は私も悩んでてな。異変に関して」
「知ってるか?最近、どんなところでも不幸が起こるんだろ?私の身にも、不幸が襲いかかってきてな。慧音の友達の|歴暦《れき こよみ》って奴も困ってるらしくてな……」
妹紅も、私も同じ悩みを抱えていた。
「異変解決しないか?」
「ええ、勿論よ。私も異変について困っていたもの」
私達はあっさり協力関係を言葉上で結んだ。そして、歴暦、こと暦を誘うために私達は人里に向かった。
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「目処はついているのですか?霊夢さん」
茶の色でセミロングの髪が揺れ、少し釣り上がった目で、暦はこちらを見た。
人里はそこら辺で火事が起こっていたり、金が消えたり、と中々酷い状況になっていた。
だからか、藍がその処理に追われていた。紫は今でも寝てるのだろうか、と思うと藍が可哀想で仕方がない。
「まぁ、なんとなくね」
私だって無計画に異変解決に行こうなんて思ってはいない。そんな私でも野暮なことはしない。
「許せない…!あの子達をあんな目に合わせたやつを…!!」
真面目で、律儀で、子供のことが放っておかない世話焼きな人。
「ひとまず落ち着けよ、暦。で?霊夢、どこが怪しいと見てるんだ?」
暦をどうどうと落ち着かせる妹紅。その後、話題をすぐに変えて、私に話題を振ってきた。
「守矢神社よ」
「どうせ、諏訪子あたりの神々よ」
私は腰に手を置き、妖怪の山の方を向きその山のてっぺんを見上げた。
「いくわよ。ちゃんと、ついてきなさいね」
そう皆に声をかけ、私達は行動に移し始めた。