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ふれあい
mark1old
[無情]は希に来る十字架からの解放の日、普段は動かせない体を充分にほぐしながら観察者に許可を貰い外出をする。
無論、定期的に特性が及ぶ範囲内を離脱しながらになるが、自分が暴走したらの時を考え、彼が慣れている者に監視を任せながら。
その者に今にも折れそうな足腰を見られながら歩行の手伝いをしようかと聞かれるが、気遣いありがとう、でも自分の足で歩きたいと返しをし、自分の足で彼の元へ向かう。
彼は普段自分から[無情]の元へ通うのだからさぞかし喜ぶだろう。
彼は見た目に反して心がこもっていなくとも褒められたりおだてられ、承認されるのがとても好きなのだ。
[跋扈]と[無情]は面識対象実験以来、とても仲が良く、最低でも1ヶ月に1度は面会する程だ。たとえ[跋扈]がどんなに遠いところに結界を展開しようとも、1ヶ月が過ぎれば飛んでやってくると誰もが思っているくらいだ。
[無情]は縛られいつも[跋扈]から彼女の元へやってくる。だからこそとんでもないことになるのではと、この者は予想していた。
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そうして結界内に入っていき、中心部に近づく。見えるのはいつも通り退屈そうに頬杖をつき玉座に腰かける[跋扈]。
しかしながら彼女が彼の視界に入れば退屈そうな表情は輝かきを帯び、頬杖をやめ、少し駆け足で階段を降りてくるのが[跋扈]だ。
そうして[無情]が「hello」と挨拶を言い終わらない内に[跋扈]は[無情]の長く鋭い手を握り、あまり変化しない彼の表情でもわかるくらいの「よく来てくれた」というオーラ。
もうコイツら番になっちゃえよとか思ったこの者は少し寒気を帯びた。そう、勝手に決めつけてはいけない。[無情]を気に入っている類似生物は[跋扈]を含めて3体もいることを忘れてはならない。
そう考えている内に[跋扈]がオロオロしているのに気がついたその者は、準備しておいた筆記具とノートに紙を取り出し[跋扈]に渡す。[跋扈]はこの者のこういった気遣いできるところが非常に気に入っていた。ハンドサインでありがとうをその者に伝えた後、[跋扈]は何やら書き始めて[無情]に見せた。
--- |صباح الخير《おはよう》 ---
--- 「good morning my friend.」 ---
そうして今日も彼らのたわいもない談笑が始まるのだった。
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Z「私らやっぱ異世界でも仲良しなんだな」
F「とーぜんだろ!?フィン様とゾーイはなんたって結婚してんだぜ!?」
Z「…ネット上で大声であんまり言わないでくれ」
F「なんで???」