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4 転生者の勇者様に会ってみた!
ふわぁあ。うん!いい朝!
さてさて⋯ん?なんか殿下大きくなってね?
3歳ぐらいじゃん。男の子だったのね。
まさか私が早く成長しろなんて言ったから?
ヤバい。王族に命令した罪で処刑される⋯!
壁の処刑とか前代未聞すぎるね!
『ようやく起きたんですね。おはようございます』
あ、ツンちゃん!おはよー。
ねぇ、これどういう状況?
『あなたは人とは時間感覚が違うのですよ。』
ほう?つまり?
『三年間寝ちゃったってことです。』
え?マジ?大寝坊じゃん。
そんな音信不通になってた友達の言い訳みたいな話ある?
あの友達も本当に寝てた可能性があるのか⋯
あ!今その話どうでもいいね!
え、ちょっと待って?じゃああの王都の陰謀成功させちゃった?
『どの話でしょうか?』
ほら!三年前に邪教徒のアジトに乗り込んだ時の⋯!
『あぁ。そうですね。』
マジですかぁ!ごめん王都!
ん?待って。王都ってここじゃないの?
『ここですね』
あ!ヤバいじゃん!
ん?でも殿下健康に育ってるな⋯
ちょっとスキル【壁から壁へ】!
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うぉぉぐにょぉぁ⋯
はい!カーラの家につきました!
あ!やっぱり女の子だったのか!
ん?でも何も変わってなくない?
ちょっとツンちゃーん!
『あなたに呼び出されるのすごく不服です』
相変わらず好感度はひっくい!
王都に魔物が襲った割にはそのままじゃない?
三年経ったから?それともちょっと場所が違う?
『それは、当時0歳だった勇者様が倒したからですね』
え?怖くない?
なんで赤ちゃんが全部倒してんの?
いや、私も多少は魔物減らしてたけどさぁ。
それでも多分300以上はいたよ?
⋯もしかしなくても、転生者ですよね?
ちょっとツンちゃーん!その勇者様のところに飛んで!
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うぉぉぐにゃぁ⋯
「鑑定!」
え?なんか叫んでる⋯。
えー。この紫の髪の子が勇者様?
「鑑定スキルようやく手に入れたぞぉ!イッシッシ!やっぱり異世界には必需スキルだしな!」
うわ!転生者だ!と、同時に羨ましいんですがぁ!?
いいなー!人間じゃん!しかも鑑定スキル持ってるし!
私も持ってないのに酷い!不公平だ!
「あと鑑定してないのは⋯このただの壁⋯フッ。鑑定!」
うわぁ!なんか目がチカっとした!
急に何?ていうか壁鑑定したって何にもならなくない?
ん?何?そんな驚いた顔して⋯そんなに私の鑑定結果おかしいの!?
「え、なんだこの壁⋯スキル持ち!?しかもMPもHPも俺の100倍以上!?」
なんかすっごいギャグになってるね?
おかしいな。勇者様だけ見ればちゃんと成り上がり系の物語なのに。
壁が邪魔だね。ごめんなさい。
「まさか⋯転生者?⋯この壁が?」
え?どこがまさかなんですか?
むしろ人間に産まれてることのほうが奇跡じゃないの?
うわー。この勇者腹立つぅ!
「壁さん。話せる?」
残念ながら話せません!
試合終了!乙でぇっす!
「話せない⋯?じゃあ聞こえてたら、なんかスキル使ってみてくれね?」
あー。その手があったかぁ。
じゃあ、【貢ぐ】でたわしを召喚!
「うぉ!たわし?え!たわしだ!うおー!」
なんでそんなにたわしで喜んでるの?この勇者。
ギャグ過ぎない?
「って、ことは。喋れないけど聞こえはしてるってことか?」
あ、大正解!ポケットティッシュを授けよう。
「ん?⋯ポケットティッシュ!ポケットティッシュじゃないか!やったぁ!久しぶり!」
なんで福引のハズレみたいなもので喜ぶの?この勇者。
安上がりだなぁ。お陰でMP10減ったんだけど?
「なぁ、壁さん。他にも出せるのか?」
なんか出して欲しいのか?欲しがりな勇者だなぁ。
質より量派なのかな?
仕方ないなぁ。
「ん?本?えー何々?『脱獄のすすめ』?俺が捕まるようなことをすると?」
意外とプレゼントとしては役立ちますよ?
多分。ソースは私。
「というか、本が出せるなら会話も可能なんじゃ?」
ん?どういうこと?
「文字の書いた紙とか出せないの?」
え?考えもしなかった。
やってみよ。
「あ、届いた。何々?『やるやんけ勇者。でもワイこのスキル使うのにMP消費すんねんけど?』え?関西弁壁?」
ヤバい!口調だけネタに走っちゃった!
でも会話ができるね!
もうMP20減ったけど。
「えーっと。とりあえず名前教えてくれない?」
『壁に名前なんかあるわけないやろ!というか自分、名乗ってへんで?』
「え?あぁ。俺は崎本悟。」
『今の名前聞いてんねんけど?』
「あぁ。テオ」
ヤバぁ!なんか転生してから初めて話した!
『私ノーカンなんですか?』
あ、ごめんツンちゃん。忘れてた。
ていうか。謎に関西弁にしちゃったから話しにくい!
全然関西圏出身じゃないのに調子乗った!
あと多分関西圏の人が聞いたら一発でエセってバレる!
ごめんなさい!エセで!
というか、合計でもう30も減ってる⋯。
この会話コスパ悪ぅ⋯。
もう会話切ろうかな?
『ワイ三年間寝てたらしいねん。やから次会えるのいつかわからんわ。まぁ早めに帰って来るから!ほなさいなら!』
「え?急に?バイバーイ」
うっし。なんか勇者すんなり会話切ってくれた!
じゃあ、あの奴隷市に行ってみようか!
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ぎゅのぉ⋯
ん?あれ?
脱獄してないじゃん!
知ってる顔が何人もいるよ!
成長したね!
じゃあ貢ぐでスープをプレゼントー!
おー。食べてる食べてる!
「神様だ!また神様が来た!」
「ありがとう!神様!」
なんか神だと思われてる?
ただの壁なんですが?それもどちらかというと悪魔よりの⋯。
あ、あげた本めっちゃ読み込まれてる!
「神様がくれた本。字が読めないけどいつも読んでるよ!」
あっ盲点だった!
そっか!
日本みたいに教育が整ってないし、そもそも奴隷に教育は必要なかった!
まぁ、とりあえずスープあげるから許して?
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『ってことがあったんよ。テオならどうする?』
「意外と速く帰ってきたと思ったらそんなことが。」
はい。ただいま光もビックリの速さでテオのもとへ戻って参りました!
同じ異世界人同士、いい案があるかと。
「にしても、奴隷市、か。許せないな。それは。」
あー。さすが勇者様。
私と違って正義感が強うござんすねぇ。
実は私、裏ボスだったりする?
勇者と敵対したくないんだけど⋯
あと絵面も絶対シュールになっちゃうし。
なんか怖くなってきた。
「よし。俺がそこ奇襲して全員連れ帰って来る!」
『そんなことしてええん?親怒らんの?』
「ん?今世の親死んだから俺が今の領主だけど?」
ごめん。なんか急に重い話ぶち込まれた。ケロッと言うな。
いや、そもそも。赤ちゃんに領主任せんなよ。
異世界あるあるなの?良くはないと思うよ?
というか。
『え?テオ領主なん?貴族ってこと?』
「知らなかったのか?」
知りませんでした。
通りでお屋敷が広いわけだぜ。
壁もさぞ豪華なんでしょうね。
「よっし壁さん!早速その奴隷市に案内してくれ!」
うわぁ。言われた側から即行動とか|戦闘狂《バーサーカー》じゃん。怖ぁ⋯