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#5 ロッカーの中身は何でしょな
「文豪ストレイドッグスわん!」の内容です。
連載中である「英国出身の迷ヰ犬」の番外編になります。
オリキャラ注意。
英国出身の迷ヰ犬
https://tanpen.net/novel/series/dbc4b7a3-d5a6-4927-bd3f-8e75383d3519/
敦side
「いきなり掃除係を命じられて不満かい?」
だが社の清掃は立派な仕事の一つ。
そこまでは太宰さんの言うことに納得できた。
「だからね、社員達の私物ロッカーの中だって掃除しないと! 気は進まないけど、仕事だから仕方ないよね!」
ヒャッホウ、と太宰さんはめちゃくちゃワクワクしていた。
いや、私物ロッカーって勝手に開けちゃダメでしょ。
プライベートな場所だし、普通にマナー違反だよね?
「怒られちゃいますよ。大体何時も与謝野|医師《せんせい》のロッカー、赤い液体が漏れ出てて怖いんですよ」
「医者なんだからそういうこともあるだろう」
「医者だから全て許されると思ったら大間違いですよ」
「ほら、掃除のおばちゃんだって男子トイレというプライベート空間に入ってくるだろう?」
「それは仕事だから!」
「そうそう。私達も今日は社の掃除が仕事だから開けてもいいんだよ」
あぁ~なるほど。
……いや、やっぱおかしい。
勝手に開けちゃダメでしょ。
「良いんだよ! 私はさっさと皆のロッカーの中が見たいの!」
「清々しいほどの本音!」
先ずは国木田君のロッカー、と太宰さんが開いた。
すると、ピシッとカレンダーが並べられていた。
「まぁ……予想通り……」
「いや、よくよく見るとおかしいですよ。何でカレンダー二個も三個も並べてんですか」
「この辺とか、国木田恥ずかしポエム集なんか期待してたのに…」
おや、と太宰さんが言ったかと思えば|㊙️俺の理想《それっぽいの》が出てきた。
全部出してみると『㊙️俺の理想の真面目で勤勉な太宰にする方法』という謎のノートだった。
思ってたのと違う感じのが出てきた!
「これは禍々しい…掃除係としてちゃんと捨てておかなければ…」
闇に葬ろうとしてる!
てか、もうゴミ箱へと葬ってるんだけど!?
「あれ、何してるの?」
「ルイスさん!」
実は、と僕が事情を説明している間に、太宰さんは乱歩さんのロッカーを開こうとしていた。
「僕は福沢さんに頼まれて乱歩を探しに来たんだけど──」
「ふゅ? ふぁーに? ふぁんふぁもう?」
「お菓子はまだ分かるけど、本人も収納されてた!?」
「秘密の場所で食べる駄菓子って美味しいよね」
いぇーい☆じゃないですよ。
そんな秘密基地感覚でロッカーに入らないでください、乱歩さん。
「それで社長が呼んでるんだっけ。今行くね」
あ、と掃除してるならとゴミを渡されてしまった。
静まり返ったロッカー室。
「え、えーと次行きますね…」
でも次は与謝野医師のロッカーだ。
「矢っ張り血なんでしょうか…」
「死ぬ間際まで怪我人を此処で放置しているだけかも」
「いや、黒いよ。マフィアの血でも騒いだ?」
「まぁ、此処は飛ばして次に行こうかな…」
もし怪我人が入っていたとしても、別の何かがいたとしても本来の目的は掃除。
なら僕らがすることは──。
「…んだもん」
「はい?」
「本当にロッカーから血が滴ってたら怖いんだもん…与謝野医師が」
ごもっともすぎる。
そんなこんなで次は太宰さんのロッカーだ。
でも、怖いぐらいテンションが高い。
「どうせ自殺関連でしょ。中で死んで、そのまま棺桶に出来るとか」
「いや、太宰さんのことだからもっと凄いものですよ」
ねぇ、と太宰さんに話し掛ける僕。
しかし返事は帰ってこない。
もしかして、とロッカーを開いてみると中には首吊り用のロープがぶら下がっているだけだった。
「…どい」
「ん?」
「酷いですよ! なんで先にネタバレしちゃうんですか!」
「いや、簡単すぎるから」
うぅ、と涙目になっている太宰さん。
でも次の瞬間にはニコニコしていた。
「では、次はルイスさんのロッカーですね!」
「ちょっ、待っ、開けないで!?」
ルイスさんの制止も太宰さんには届かず、ロッカーは開かれる。
中に何が入っているのか。
必死に止めていたので僕も少し気になっていた。
気になる中身は──。
「うわっ!」
ロッカーから出てきたのは《《ぬいぐるみ》》だった。
それも一体や二体ではない。
手に乗るサイズから、ルイスさんとあまり大きさが変わらないものまで。
どうやって入れていたんだ、と不思議なほど沢山のぬいぐるみが出てくる。
太宰さんはぬいぐるみで埋もれてしまった。
「これは、その、えーっと…」
「可愛いですね」
「…それだけ?」
「ルイスさんはぬいぐるみが好きなんですよね。別に差別とかしませんよ」
男の方でも可愛いものが好きでいいと思います。
そう伝えると、ルイスさんは笑った。
でも、その表情は少し違和感を感じる。
「もう掃除はやめて、あんみつでも食べに行こうか☆」
「あ、太宰さん! 待ってくださいよ!」
どうしてそんなに辛そうに笑うんですか、ルイスさん。
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No side
「俺のノートが何故ゴミ箱に!?」
「太宰君がロッカーの清掃をしてたよ」
「太宰の仕業か! もう許さん!」
「まだ俺は諦めてないぞ! 太宰!」
「私は諦めてるよ」
「そうだ。与謝野さん、ロッカーにワイン入れたりしてない?」
「入れてるが…どうしてそんなことを聞くんだい?」
「いや、多分中で割れてるよ。ロッカーから流れてた」
「本当かい!?」
ギャグとシリアスが酷い((
ルイスくん可愛い((