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月の麓に集まって 第三十七話「諦めない者たち」
時雨視点
「またチーム分け無視する気?」
「気持ちは分かるけどそれじゃ決めた意味ないよ」
ここはまだまだ未開の地、第五環
横に並んで歩き続ける俺たちにペンタが苦言を呈した
「そのことなんだけど…何があったの…?」
「私も気になる…」
Sereと奏者が様子を伺うように質問してきた
今日はペンタと俺だけでは心細いと思い奏者とSereに来てもらうことにしたのだ
奏者のエコー発現も狙っている
もうフェンリルたちはしばらく異世界に姿を見せていない
話しかけても驚くほどフルシカトされるもんだから、あそこを誘うのは半分諦めてしまった
「色々ね…」
気を遣ったペンタがぼそっとそう言った
「もうそろそろ着くぞ」
「構えろ」
目的地はこの前スーツの男と同時に発見されたわんこのいた場所
あの洞窟の奥の調査だ
まだ慣れないエコーの副作用が身体に重い負荷をかけるが、そんなこと言っていられない
「Sereなんか辛そうじゃない?」
「大丈夫?」
「う…ん大丈夫」
「急がないと置いて行かれちゃうよ」
「時雨、少し洞窟前で休んでから入らない?」
「俺もちょっときついわ」
どうやら副作用に苦しむのは奏者以外の全員らしい…
なんにせよ洞窟前で休憩は入れる予定だ
なぜなら今日は光特製の副作用特効薬を持ってきているから!
光がエコーに覚醒した頃から制作を続けていた薬なのもあってかなり期待の新作だ
「着いたぞ、この洞窟だ」
「ここで休んでいこう」
俺達は洞窟前の少し開けた部分に腰を下ろす
背丈の短い青々とした草たちが少しばかりチクチクする
「Sere、これを飲んでみてほしい」
一番副作用に苦しんでいそうなSereに薬の入った瓶を手渡す
深い緑色をした粘度の高い液体がゆらゆらと揺れる
「え、これ?」
「これ飲み物なの…?」
「Sere死なない?大丈夫?」
「光も飲んでるはずだから多分大丈夫」
そう言うとSereは覚悟を決めたような目をし、蓋を空けて中身の液体を一気に喉へ流し込んだ
少し粘度のある緑色の液体が瓶の壁を伝ってSereの口元へと流れていく
「う゛っ…」
「これくっそまずそうだな…」
思わず声が出てしまうほどの不味さにペンタがドン引きしている
「もちろんペンタの分もある」
ペンタにも薬を押し付ける
「マジかよ…Sereの様子見てから決めるわ」
Sereは中身を全部飲み干すと、眉間にしわを寄せていた
目には涙が浮かんでいる
よっぽど不味かったのだろう
「エコーの副作用の方は?」
「すごい…楽になった気がする」
「めっちゃ不味いけど」
「すごいな…本当に効果あるなんて」
そういうことならと俺も瓶の蓋を空け、瓶をくわえて思いっきりひっくり返した
何かが腐敗したようなキツい香りがまず鼻と喉を刺激しむせそうになるも、ぐっと堪えて飲み込んでいく
味は苦いと渋いが丁度半々で混ざったような味で少しの酸味も感じる
Sereはよくこんなものを1回で飲み干したな…
気付かなかったがペンタも同じタイミングで飲み始めていたらしく、横で死んだ魚のような目をしていた
「くっそ不味いけどこれ…効果あるわ…」
「なんか悔しい…」
ペンタの言う通り、飲んでからすぐに今まであった吐き気や気持ち悪さなどが吹き飛んだ気がする
薬の強烈な味と匂いに飲み込まれただけという可能性も否定できないが…
「本当だな」
「後で光には伝えておこう」
「私エコー覚醒したらそれ飲まないといけないの…?」
「ちょっと怖くなってきたよ」
そんな奏者を連れていよいよ洞窟の探索が始まる
持ってきた|松明《たいまつ》にマッチを擦って火を灯した
期間空き過ぎてごめんちゃい。°(° ˆωˆ °)° 。
生きてます