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#6 恋と狼煙/技と力
「文豪ストレイドッグスわん!」の内容です。
連載中である「英国出身の迷ヰ犬」の番外編になります。
オリキャラ注意。
英国出身の迷ヰ犬
https://tanpen.net/novel/series/dbc4b7a3-d5a6-4927-bd3f-8e75383d3519/
ルイスside
「いや~敦君が居てくれて扶かったよ! 有難う!」
聞き覚えのある声がして川辺を見ると、大量の荷物を運んでいる敦君の姿があった。
「太宰さんも一緒に持って下さいよー」
「…敦君」
「……。」
「敦君と私…どっちが先輩だと思う? やっぱり先輩は敬うものじゃないかと私は常々──」
ゴツン、と凄い音が響き渡る。
この正体は僕が太宰君の頭を殴ったからだ。
「ルイスさん!」
「イタタ…ルイスさん、最近私を踏んだり(episode.4参照)と暴力的になってないかい?」
「誰かさんが先輩として恥じる行動しか取ってないからね」
頭を押さえて床に伏せる太宰君は無視して、僕は敦君から荷物を貰う。
どうやら探偵社に運べば良いらしい。
「それにしても大人ってずるいですよね。まぁ、いいですけど」
「先輩として手本を見せる為、太宰君が持ったら良いと思う」
「でも、太宰さんにはお世話になってるし、感謝してもしきれな…」
「…何してるの?」
歩き疲れた、と太宰君は床に伏せたままだった。
もう一回殴ろうかな。
「…いや、私が荷物を持とう」
「へ? 大丈夫なんですか?」
「そして荷物を持った私を、虎になった敦君が運ぶというのは如何だろうか」
此処に鬼がいる。
敦君の負担が多い以前に、普通に『人間失格』で解除されるから出来るわけがない。
「あーもう、巫山戯てないでとっとと運びますよ」
「私をかい?」
「荷物をだよ!」
「ていうか、コレ中身なんなの? 凄い量だし、普通に重いんだけど?」
その時、ちょうど敦君が転んだ。
もちろん荷物も落ちて蓋が空いてしまった。
中身が沢山出てきたかと思えば、全て《《恋文》》だった。
しかも、色々な女性から。
「犯人は──」
「家に置いとけないし、社に持ってっちゃおうかなって」
「──と、供述しています。中島裁判長、判決は?」
「燃やします」
え、と太宰君が慌てている。
それを横目に、僕は異能でマッチ箱を取り出した。
「ヤメテー! 敦君ヤーメーテー!」
その日は河原に一日中、愛の狼煙が上がっていたとさ。
これにて終演。
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ルイスside
ある日のこと。
敦君は、何やら考え事をしているようだった。
「やぁ、考え事かい?」
「太宰さん、あの…太宰さんと中也さんってどっちが強いのかなって」
僕は思わず笑ってしまった。
対して太宰君は凄く怒っているようだった。
「も、勿論太宰さんの異能の凄さは判ってますよ!」
「相手が異能じゃなければ無意味だけどね」
「ルイスさん!?」
「で、でも長年|二人組《コンビ》でしたし、お互い弱点も熟知してるのかなーと…」
ふーん、と太宰君はやっぱり怒っていた。
個人的に力の強さなら中也君かな。
元の戦闘能力が高いだけでなく、異能力で重力を自由自在に操ることが出来る。
だが、少しばかり挑発に乗りやすいだろうか。
例の状態も、太宰君が居なければなることは出来ない。
そんな中也君に対して、太宰君はその知能の高さが強み。
頭の回転が早く、作戦が失敗したことは多分ないと思われる。
戦闘向きな異能ではないのが、唯一の弱点だろうか。
銃で撃たれれば、刃物で刺されたら勿論死んでしまう。
「ジャンケンだって常に私の勝ちさ」
「そこまで!?」
「ちょっと待てコラァァァ!」
この声は…。
「誰が誰に何だとコノヤロウ! もう一度云ってみやがれ!」
うわぁ、呼び込んじゃった。
普通に探偵社へ来てるけど良いのかな。
「|手前《テメェ》の仕掛ける勝負事なんてイカサマばっかじゃねーか!?」
「ふーん、へーえ、そういうこと云う?」
何故か内股歩きのお嬢様口調で退散したことを話している。
いや、あれは太宰君の嫌がらせじゃん。
そんなこんなで、二人はジャンケンをすることになった。
どうやら太宰君用にとっておきの作戦があるという。
「これだ!」
グー、チョキ、パー。
その全てを併せもつ最強の型を中也君は出していた。
発想が小学生なんだけど。
「莫迦だなー」
「ッだと|手前《テメェ》!」
因みに太宰vs中也vsルイスの場合。
①中也が出すのが分かる太宰&ルイス
②太宰は中也に勝とうとする
③ルイスはそれだと面白くないのであいこになるようにする
結果、ルイスが飽きるまではあいこ。