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全ての世界が狂した時 第10話
「101回目」
目が覚めた瞬間に、俺は近くの壁を殴りつけた。
俺が、主と一緒に謎のループに巻き込まれてからループした回数だった。
おかしい。
絶対におかしい。
こんなこと、アイツが許すはずないのに。
『僕は、紫雲さんが救いなんです』
頭に、彼の声が響き渡る。
誰、だ
彼って、誰だ───?
いや、だって、
だって俺は、彼のために、
彼のために新しい世界を作ろうとして───
それで…?
名前もわからない。
思い出せない。
そんなやつのために?
いや、違う。
大切な人のはずなんだ。
こないだだって、俺は彼に救われて───
こないだって、いつだろう
少なくとも、最近のループで、俺は彼にあってない。
1年も経たずにすぐにまたループをしてしまうのだから。
それでも、俺は
彼の歌に、救われて──
すく、われ、て?
「誰、だ」
吐き気が込み上げてくる。
「君はっ───誰なんだっ」
顔さえ思い出せない。
あぁ───
もう、いっか
どうせ、俺は
このまま全てを忘れるんだ
なら、その前に、俺が───
俺が
全ての世界を壊せばいい
どうせ、彼には会えないんだ。
そんな世界、どうでもいい
壊れて仕舞えばいい
消えて仕舞えばいい
「ふふっははははっ」
俺の存在意義って、なんだっけ?
「殺す、潰す。全員───全員消えればいいんだ」
あぁ…馬鹿馬鹿しい。
最初から、こうすればよかったんだ。
全てを壊すんだ。
俺の手で
「この馬鹿げた世界の全てをリセットさせるために」
この世界を
壊滅させるんだ。
俺の力で───