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6 冬月 暖
えー……、ここまでの流れで行くと|冬月《ふゆづき》 |暖《のん》本人が語りになるはずだけど、あいつは馬鹿でうるさくてとてもじゃないが語りに不向きなので、あたし・|飴宮《あめみや》 |苺《いちご》が代わりに話すことになりました。
飴宮「……暖」
冬月「なーにー?」
こいつが、あたしが見た中で1番馬鹿でうるさい奴・冬月 暖だ。うちの弟(11)の方がよっぽど静かだと思う。
飴宮「このおっさんの死体運んで」
冬月「オッケー‼」
こんだけうるさいならこそこそ証拠隠滅する仕事なんて向いてない。将来は拡声器になったほうがいいと思う。
まったく、セーラ様はなんでこんな女に「マッチ売り」なんて可憐な少女の名前を与えたのか……。あたしにはそのセンスが心底理解できない。
今、空瑚さんが始末したターゲットの部屋を片付けている。この家、無駄に豪邸で、警備員なんてウジャウジャいるのに、暖は声が無駄にデカい。
こんなところで叫ぶな‼と、思いっきりブーメランなことを叫びたい……。
けれど、いつもどんなところで叫んでも、警備員とかに気づかれないのが謎すぎる。
荒れた部屋を片付けて、死体を持ち出す。人の身体ってめちゃくちゃ重いから、声量の次にもはや尊敬を感じる力量で暖に持ってってもらう。あくまでこいつは、“死体処理”をメインとして働いているんだし。
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あー……出やがった。こいつがこの仕事に就いた理由。
この、暖が死体燃やしてる時の顔。
これが小説で助かった。映像化したらかなり酷いからな、これ。
どうやらこの死体が燃える匂いが好きらしい。
飴宮「このド変態がっ‼」
冬月「え?どこが?」
あたしはこいつに3つ称号を与えられる。メルヘンで1番「馬鹿」「うるさい」「変態」の3つを。ついでに言うなら「女子力が乏しい」も。
……まぁ、本人が楽しんでるならいいけれど。
飴宮「……暖」
冬月「なに?」
飴宮「もし、仮にだよ?仮に映像化したらさ、絶っっ対にその顔カメラ写さないでね?」
冬月「え、ボクってそんなに顔面偏差値終わってる?」
飴宮「違うわ馬鹿‼」
この馬鹿……救いようがない。
最初の文で装飾含みで104文字食ってんのやば