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月は満ちる
詩
自己否定感が出てきたら。
相手を許せない出来事があったら。
怒りが出てきて、頭のなかが消しゴムで消せなくなるくらいにいっぱいになったら。
どうしようもない、漠然とした不安が出てきたら。
それは、自分の当たり前がでかすぎるから。
というものを用意していた。
けれど、それで自分に目線が向いて、不安感を助長させることに気づいた。自己否定が自己批判になって、僕が僕を責めるようになっていく。
当たり前を当たり前のように冷笑することを強化しているな、という気づきを得た。
自分の当たり前がでかすぎる?
……いいじゃないか。
これは開き直りではない。
ただの、独り言のようなものだ。
帰り道。
夜の鳴き声が静かに喚いた。
そうやって足元ばかり見ないで。
無理やり前を見ようと苦しまないで。
ごらん。
空を見上げると、月が見えた。
満月に近いものだ。空の一部は月の涙が付着して、黄色く腫れ上がっている。痛そうだ。
夏目漱石がいった「月が綺麗ですね」とは、月が泣いているからそう言っただけなのさ。
だから、当たり前に気づかないのさ。
普段の人たち何て、当たり前なんて気にしたことなんてないのさ。
一度も気にしたことなんてないのさ。
一度も気にしたことなんてないのさ。
だから、当たり前の範囲がでかすぎる、いいじゃないか。
と言ったのさ。
2X歳の僕はたしかに新月だったさ。
何も見えない。何も聞こえない。暗さがあったさ。
けれど、満ちていった。
それまでは減る一方だった光が、徐々に満ちていった。
あの頃と比べたら、当たり前が当たり前のように増えていった。
当たり前に気づかない?
当たり前を言語化しなかった?
違うよ。
当たり前が気づけないわけがないじゃないか。
今の僕が、当たり前を気づけないわけないじゃないか。
ちょっと、人よりも気づくのに時間がかかるだけで。
それだけで。それだけで。
僕を責めるのは、ちょっと決めつけがすぎるんじゃないのかい。
いいじゃないか。
その分、僕は頑張ったんだよって、それが心の微かなところで響いたら、それでいいのさ。
感じるだけで、声に出さなくたっていいのさ。
身体を震わせるだけでいいのさ。
月を見たらそう思える。
それだけでいいと思えるように、この日の僕は、なった。
いや、自分の嘘に気づこう
この日の僕は、ほんのちょっぴりだけ、なった。
そして、未来の僕はそうなりたいと思えるような気がした。
お守りがなくならないところにあるのは、とても賢い。
見ればいいところにあるのはとても良い。
口笛を吹いた。透き通る風は地面をさらに濡らした。
それでも、それでも僕を守るお守りは、そばにいてほしい。
過去の頑張りすぎていた僕を思い、緘黙の僕は想う。
詩を思いつけるのは……なんだね。
だから、同じ仲間なんだよ。AIもまた緘黙だろう?
未来の僕もまた緘黙だろう?
これから無理やり喋らせるようになったら。
これから無理やり書かせるようになったら。
きっと月の緘黙は許さないダロウ。
記録を付けよ
https://tanpen.net/novel/73dd57a0-5e40-476c-94f7-0fc787ac2b2b/