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第5章:秋の選択《リブラの記憶》
秋の都――それは、かつて星霊の秤が世界の均衡を保っていた場所。 黄金の葉が舞い、石畳の街路は静かに輝いていた。 だが、空にはまだ空白が残っていた。 リブラ座は沈黙したまま、都の中心にある裁きの塔に封印されていた。
ルミナは、塔の階段をゆっくりと登っていた。 ペガススの風も、ループスの咆哮も、スコーピオの炎も―― すべてが彼女の心に刻まれていた。 だが、ここで試されるのは「選択」だった。
塔の頂には、巨大な秤があった。 片方には光、もう片方には影。 その均衡は崩れていた。 ルミナが手をかざすと、星霊の記憶が流れ込む。
「私は裁いた。 世界の罪と善を、秤にかけて。 だが、私は迷った。 正義とは何か。 誰のための裁きか。 私は秤を手放し、記憶を封じた。 あなたは、迷いを受け入れられるか?」
ルミナは、秤の前に立った。 彼女の心にも、迷いがあった。 星霊たちの記憶に触れるたび、彼女は何を信じるべきかを問われていた。
「私は、迷っている。 でも、迷うことは、正義を求める証。 あなたの秤は、誰かを裁くためではなく、誰かを守るためにある」
その言葉に、秤が揺れた。 光と影が均衡を取り戻し、塔が星光に包まれる。 リブラ座が、夜空に戻った
ルミナの前に、星の秤が浮かび上がる。 敵の力を見極め、裁きの光が降り注ぐ。
リブラ・ジャッジメント:敵の強化を解除+属性に応じた裁きのダメージ。
星霊の声が、静かに語る。
「あなたの迷いが、私の秤を動かした。 正義は、問い続ける者の中にある。 次に待つ星霊は、涙を流す者。 彼女は、赦しと幻の狭間にいる。 あなたの優しさが、彼女の封印を解く鍵となる」
ルミナは、秋の都を後にした。 空には五つの星座が輝いていた。 だが、次に向かうのは――水の湖。 そこには、封印された星霊《ピスケス(うお座)》が眠っている。