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未知と道
コロコロコロ…カツン。
無造作に蹴った小石が何かに当たる音がする。
金成こいんは工場内を探索していた。
どうやら服を作る工場だったらしく、そこらに布が散らばっている。
中には不気味な物もあり、静かな工場内とマッチして怖さが倍増している。
バサッ…
いきなり目の前に白い何かが現れた。
「ひゃああああああああああ!お化けぇ…ってただの布かい!」
どうやら風に吹かれた様だ。
すると、布の裏からぬっ、と人影が現れた。
今度こそ本物か…と身構えるが、出てきたのは幽霊でもお化けでもなく、参加者の人間だった
東雲透である。
「おお、こりゃびっくりした」
声に出してオーバーに驚く透に声をかける。
「おお、透さん。さっきぶりです。」
「敬語は使わなくていいよ。こっちも落ち着かなくてね。」
「そう…すか。じゃあ遠慮なく。」
少しだけ体の力を抜くこいんに尋ねる。
「お前さん、順調かい?」
「まぁ…ちょいホラーなところが多いかな。」
少し考えてから答えたこいん。
「へぇ。そりゃどっちも気をつけにゃね。じゃ俺行くわ。」
手をひらっと振って歩いていく透を見送ってからこいんも歩き出した。
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そしてまた暫く歩くと、タッタッタッ…と一定のリズムで刻まれる足音の様なものが近づいてきた。
後ろを振り返ってみると…
ピエロが居た。
迫ってくるピエロ。正直めっちゃ怖い。
「おっ、居た居た〜⭐️」
「う、うわぁぁあ!」
今日はなんだか矢鱈と悲鳴を上げる日だ。
場に合わない呑気なことを考えながら、こいんはダッシュで逃げ始めた。
ピエロはどうやら走るのが苦手らしい。ただ、気配を消すのが上手い。足音がなければきっと気づかなかった。
スピードを少し上げて角を曲がると…
朝景響夜がいた。
「響夜サン!ピエロ来てる!逃げよう!!」
響夜は驚いた様に目を見開いた後、頷いた。
「えっ…!…わかった。……こっちにバレにくそうな部屋があったから、そこに行こう。」
「わかった!」
その部屋までダッシュで向かい、廊下から見えない場所で息を潜める。
心臓の音だけが大きく聞こえる。もう聞こえているんじゃないかというぐらいだ。
てく…てく…てく…
足音が遠ざかっていく。
「ふぅ…行ったみたいだな…」
「……そうですね。……なんで、僕を助けたの?……言わなければ、……自分の願いを叶えられるかもしれないのに。」
こいんは突然の問いに少し考えてから言った。
「俺は…人の為に尽くすと決めた。晴奈はそう願ってるはず…」
「……?…晴奈って、誰?」
本当に純粋な疑問の様に尋ねる響夜。
「……はっ!なんでも無い!忘れてくれ!」
こいんは焦る様に訂正した。顔色が真っ青だ。
「……わかった。……じゃあ、行こうか。」
「あ、ああ」
こいんは深呼吸をすると、前を向いた