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#1 入学
ついに、今日は入学式。
桜も間に合ってくれて、すっかり春だ。
そして、やっと、子供たちと会える。
私はわくわくしていた。そしてその反面――恐怖があった。
廊下を歩く。
昨日までとは違って、騒がしくて足音がかき消される。
長い長い廊下を歩き終わって、私の担当の教室にたどり着いた。
教室の前に掲げてあるプレートを確認する。
『1年 プリムラ組』
息を整えて、手を取っ手にかけた。
そして、ゆっくりと左にそれを持っていく。
私が入ると、教室はしんとした。……いや、数人私のことをフル無視して喋り続けてるけど。
「こんにちは~!はい、静かにしてください!」
みたいなことを数回言って、やっと静まった。
「皆さん、こんにちは。これから1年間、貴方たちの担任をします。|村崎《むらさき》めいです」
そう言って小さく礼をした。
「では、出欠をとります」
私は手に持った名簿を開いて、それを読んだ。
「|一上《いちがみ》 |野《の》ばらさん」
「は~いっ!」
「|一之瀬《いちのせ》 |煌《こう》さん」
「……はい」
「|焉導《えんどう》 |音虜《ねろ》さん」
「はい」
「|斧宮《おのみや》 |龍弥《りゅうや》さん」
「はーいっ」
「|華嶽《かがく》 |智識《ちさと》さん」
「はいっ」
「|如月《きさらぎ》 |枦夢《ろむ》さん」
「はい!」
「|虚空《きょくう》 |夜無《よむ》さん」
「……はい」
「|黒須《くろす》 ねおさん」
「はぁぁいっ‼」
「|笹ヶ峰《ささがみ》 |京《きょう》さん」
「はい……」
「|清水《しみず》 ノエルさん」
「はい……っ」
「|清水《しみず》 マリアさん」
「はい!」
「|白鳥《しらとり》 |伊織《いおり》さん」
「はい」
「|芹墨《せりずみ》 ひみりさん」
「は~い!」
「|東城《とうじょう》 |一香《いちか》さん」
「はい」
「|時守《ときもり》 ムメイさん」
「……はいっ」
「|姫咲《ひめさき》 |美里《みさと》さん」
「は~い」
「|富士沢《ふじさわ》 |時雨《しぐれ》さん」
「……」
「|舞鶴《まいつる》 |和華《わか》さん」
「は~い」
「|御影《みかげ》 |天羅《てんら》さん」
「はーい」
「|宮野《みやの》 |里美《りび》さん」
「はい」
「|薇咲《らさき》 |酔寝《よね》さん」
「はい」
ひと通り、その名前の列を読み終わって、その教室を見まわした。
21人の生徒たちの目を、ひとつひとつ見るつもりで、私は見まわしていた。
そして、ふと思った。
この、何も知らない生徒たちの中に、あの子たちがいるのかもしれない。
この子たちが生まれたその日に、私のせいで亡くなった彼らが。
キャラブレとかうまく伝わってないとこあれば教えてください。音速で反映させます。
すいません音速はさすがに嘘です。