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1話「転生」
Snake
俺の名前は木村正。ごく普通の一般高校生だ。今日も1人で帰路についていた。
「はぁ…」
1人ため息をつきながら、横断歩道を渡る。すると、急に隣からトラックが来た。
「__え」
その瞬間、彼**木村正は死亡した**
「ん…あれ?ここどこ…?」
未来の日本?彼は一瞬そう思ってしまった。しかし進みすぎていて、あまり日本味がない。さらに見慣れない言語だ。一体どうなっているんだろう。自分の今ある知識で必死に考えた結果、異世界と言う結論にたどり着いた。確証はないが。
「異世界…だとしたら…俺はこの世界で最強…!」
完全に浮かれている。そんなことを今彼も気にせずに、自分の力を発揮できる方法はないかと必死に考えている。
まずはステータス画面だ。異世界転生の定番といえばこれだろう。
「出よ、ステータス!」
正は誰もいない空間に向かって、少し恥ずかしさを堪えながらポーズを決めて叫んだ。
ブゥン。
耳障りな電子音とともに、目の前に半透明のブルーの画面が飛び出してくる。
「本当にあった……!」
興奮を抑えきれない手で、正はその画面に表示された文字を目で追った。しかし、そこに書かれていた現実は、彼の淡い期待を無残に打ち砕くものだった。
名前:タダシ・キムラ
種族:異界人(人間)
レベル:1
【固有能力(スキル)】・『ネットサーフィン(閲覧のみ)』
「……は?」
正の口から、間の抜けた声が漏れる。最強の代名詞である『魔王級の魔力』もなければ、『一撃必殺の聖剣』もない。『身体能力10倍』のような、冒険に役立ちそうな戦闘スキルすら見当たらない。あるのは、前世の日本で毎日のようにやっていた、スマホの画面をダラダラと眺めるだけのアレだ。しかもわざわざカッコ書きで(閲覧のみ)とついている。書き込みもできなければ、チート武器の購入もできない。文字通り、ただ「見るだけ」の能力。
「いやいや、待てよ……。異世界だぞ? 何かの間違いだろ?」
慌てて身体を動かしてみるが、筋肉が増えた感覚もなければ、手の平から炎が出る気配もない。ジャンプをしてみても、ごく普通の男子高校生の高さまでしか飛べなかった。最強どころか、ただの戦闘力5の一般人が、見知らぬ未来都市に放り出されただけ。
「終わった……。これ、ただの迷子じゃねえか……」
ガックリと膝をつく正。しかし、その時だった。近くの路地裏から、バチバチと激しい火花が散る音と、機械が駆動する重苦しい金属音が響いてきた。
「なんだ!?」
顔を上げた正の視線の先。見慣れない超高層ビルの隙間から、赤いセンサーの目を光らせた、明らかに不穏な二足歩行の警備ロボットが、こちらに向かってゆっくりと迫ってきていた。その手には、物々しい銃器が握られている。最強ではない。武器もない。そんな正が、この高度に発達した未知の異世界で生き残るための、泥臭いサバイバルが今始まろうとしていた。
「待て待て待て! 俺はただの一般人だ! 撃つな、死んじまう!」
必死に手を挙げるが、ロボットに言葉が通じる気配はない。銃口の奥で、赤いエネルギーがチャージされ始める。
クソ、どうする!? 戦う力なんてない! 逃げてもあの銃から逃げ切れるわけがない……!
頭が真っ白になりかけたその瞬間、正の脳裏に、さっき見た自分のステータス画面がよぎった。【固有能力(スキル):ネットサーフィン(閲覧のみ)】戦闘スキルじゃない。攻撃魔法でもない。だけど、これが今、正に与えられた唯一の『力』だった。
閲覧のみ……見るだけ……。だったら、見るしかねえだろッ!!
正は一か八か、目の前の空間に向かって必死に叫んだ。
「いでよ! ネットサーフィン!!」
ブゥン!
再びブルーの半透明な画面が目の前に広がる。いつもの見慣れた検索バーが表示された。正は震える指先を必死に動かし、目の前の敵を指差しながら、脳内でキーワードを打ち込んだ。
――『目の前の赤い目のロボット 弱点』――『型番 緊急停止コード』
「頼む、繋がってくれ……!」
祈るような気持ちでエンターキーを押した瞬間、画面が激しく明滅し、この世界のネットワークの海から、ある『情報』が正の目の前に弾き出された。検索結果を正は読み上げる
「1543276906843!!」
その瞬間、ロボットが止まった。