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あの夏、幼馴染の味。
「カニバリズム」
この単語わからなかったら本当に帰ってください。
それか安全そうなページで調べてから来てください。
僕の作品の中でトップレベルにグロいかつ僕の好きな要素ばっか入れてます。
夏になると、思い出すんです。
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「鈴音ちゃん…大丈夫?」
「うん………柘榴ちゃん………ちょっと、やす、やすもうか………」
私達は裏山の探検に来ていた。
私、柘榴と幼馴染で親友の鈴音。ふたりともおてんばで、やんちゃだったから、多少暑いことなんて気にせず、山に飛び出して行ってしまったのだ。
結局広い広い裏山の中腹あたりで道に迷い、持ってきていた女児用の小さな水筒の水もなくなり、おまけに鈴音ちゃんが脱水を起こし、私は途方に暮れていた。
周りにあるのは今にも崩れてきそうな不法投棄物の山で、自然と不安は募っていく。
大体7歳の少女二人がこんな山に入るなんて危険な事だ。
だからこそ大人に止められていたのに、私はそれを無視してしまった。
(どうしようかな…)
辺りを見回すと、視界の端に何やら建物が映った。
「あ、そうだ!」
ここは暑いから、あの建物で鈴音ちゃんを休ませてあげよう、と。
私は鈴音ちゃんの腕を引っ張って立たせて、「あの建物で休もう!」と提案した。
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鈴音ちゃんはかなり衰弱していた。
もう返事はほぼ聞き取れなかったし、顔中汗に塗れていた。
少し歩いただけなのになぜか吐いてしまった。もう歩きたくない、と3回ほど蚊の鳴くような声で呟いた。
それでも、子供の残酷さで、私は鈴音ちゃんを建物まで連れて行った。
当時の私は、脱水症状がどんなものなのかわかっていなかったから。日陰で休ませればなんとかなる、としか思っていなかった。
どうやらその建物は倉庫らしく、しかも時々誰かが手入れをしているようだった。
おそらく山の整備に使われるのであろう軍手、黒いビニール袋、鋸。草刈り鎌まであった。
私は息も絶え絶えの鈴音ちゃんを建物の中に入れると、これらの備品がすっかり気になって、鈴音ちゃんからしばらく目を離していた。
何回か、か細い声が聞こえた気がした。思えばそれは、私の名前だったのかもしれない。
とにかく、鈴音ちゃんは、私が軍手なんかを見ているうちに死んでしまった。
おかしい、と思ったのはすぐだった。ぜいぜい言う声がふと途切れた。
「鈴音ちゃん?」と呼んで振り返る。誰の目からしても体調が良くなったから、なんてことはなくて、じゃあ、鈴音ちゃんが静かになったのは。
「すずね…ちゃん…?」
いつものように、頬をつつく。こうすれば、昼寝をしていたって鈴音ちゃんは起きてくれるんだ。
鈴音ちゃんは動かなかった。まぶたも心臓も何もかもが。
不思議な事に、焦りはなかった。私は静かな気持ちで、そのまま頬をつつき続けた。
あんまり触りすぎると鈴音ちゃんは怒ってそっぽを向いてしまった。今はそんなことしない。そんな鈴音ちゃんが悲しくて、涙が一粒こぼれた。涙は汗と混ざって簡単に消えた。
今はどちらかと言うと、不思議な嬉しさがあったから。
(…ずっとほっぺ触ってたいな………)
ただの興味だった。幸いな事に、道具は全てあった。
手始めに、私は鈴音ちゃんの頬の肉の辺りを草刈り鎌で軽く抉ってみた。軍手をはめていたから、危なくはなかった。無事にそれを切り取り終えた後の鈴音ちゃんは、なんだか鈴音ちゃんではないように見えた。
表面の皮膚を何度か撫でてから、手の中の肉をぎゅっと握ってみる。ぶちぶち、と、何かがつぶれて、血が滴る。軍手が濡れた。
恐る恐る、私は舌を突き出して、鈴音ちゃんの頬の肉、その内側を、
まるでアイスクリームのように、そっと舐めた。
(すずねちゃん、すずねちゃんなんだ…)
この足が、舌触りが、この血が、この…何かが。
全部全部全部鈴音ちゃんだ。
ぽい、と肉を投げ出して鈴音ちゃんに向き直る。
もう鈴音ちゃんに見えなくなってしまった遺体。
私は、この遺体全体が鈴音ちゃんだとはもう思えなくなってしまっていて。
どちらかと言うと、切り取った肉の一欠片、滴る血の数滴から、一番鈴音ちゃんを感じた。
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食べた鈴音ちゃんのパーツは、頬の肉、小指、耳たぶ、脇腹の一部だった。
子供の力で、しかも草刈り鎌だけで切り取るとすると、やはり限界があったから。
とにかく、それらを味わって、鈴音ちゃんに最後のお別れを告げた私は、黒いビニール袋に、残りの鈴音ちゃんを体育座りの状態で入れた。
私はふざけて鈴音ちゃんをよく抱っこしていたから、持っていくのは簡単だった。
持って行った先は、不法投棄物の山。
真っ黒で大きなビニール袋は、まるで最初からそこにあったような顔で、ゴミの山の端っこに並んだ。
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大人たちには、裏山で鈴音ちゃんと鬼ごっこをしていたら、鈴音ちゃんがいなくなった、と説明した。
家に帰る前に、公園の水道で手を洗って口をゆすいだから、誰も私がした事に気が付かなかった。
鈴音ちゃんも、結局見つからなかった。
これは、
私が、私だけがしっている…
幼馴染の、味。
2036文字お疲れ様でした…
自分の好きな要素詰めたらこうなりました。マジで夢中になって書いてました(やばい)
柘榴ちゃんは、最近考えてるオリキャラで、いつか成長したこの子が主人公の話作りたいなー、と…
この話で僕にドン引いても、僕は一切の責任を負わないので…
ここまで読んで頂き、本当にありがとうございます!趣味同じ人語りましょう!
ばいびる〜