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猫の女の子
その子を見たとき、私は目を疑った。
7、8歳ぐらいに見えるその女の子には猫耳と尻尾が生えていた。しかも動いてる。
…え?《《動いてる》》?カチューシャとかじゃなくて?なんで皆普通の顔で通り過ぎとるん?私知らない間に未来に来ちゃったかな?
そう思いながら見ていると、彼女と目が合ってしまった。
そして
彼女は私に向かって一直線に走ってきた。
そして私に飛びついた。
私をぎゅっと抱きしめ、彼女はないた。
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「みかね、ずっとあいたかったの。」
…まーじでみかなんて人知らないんだけど〜
飛びついてきた女の子――みかをそのまま抱っこしながらこのス●バまでやってきた。
「みかちゃんはどうして私に会いたかったの?」
「え?おこってないの?」
「何が?」
「…おこってないなら、よかった」
「?」
これ以降みかは私にひっつくようになった。
家のことを聞いてもみかは答えてくれなかった。
仕方なく私はみかを自分が住んでいるボロアパートまで連れてきた。本当は警察に届けるべきなんだろうけど、どうやら私以外の人はみかを視認できないらしいので連れてきた。
「どうぞ、入って」
「…あのときと、かわらないね」
「?」
みかは時々意味深な事を言う。
まるで前々から私のことを知っていたかのような素振りをする。
みかは、部屋の端に立てかけてあるみかんの段ボールを床で組み立て、中に入った。
私は「それは、、、!」と注意しようとしてハッとする。
「…ミカ?なの?」
そう尋ねると彼女は「正解」と言うように「なーお」と《《鳴いた》》。
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5年前、アパートの前にみかんの段ボールが置いてあった。中には子猫が入っていた。朝4時からランニングをするのが日課だった私は段ボールごとこっそり部屋に連れて帰り、育てることにした。と、同時にSNSで里親募集をした。
みかんの段ボールに入っていたから名前は「ミカ」にした。
ミカはアルバイトから帰ってくるといつも玄関で出迎えてくれた。
大人しかった為、近くの部屋の人も気づいていなかった。
ある雨の日、帰宅途中で携帯が鳴った。
ミカの里親になりたいと会う人が現れた。
その人はなるべく早く渡してほしいと言った。
ずっと準備していたミカの性格や好きな物を沢山書いた小さな冊子と、少し大きくなったミカを抱きかかえて待ち合わせ場所の公園へ走った。
だが、雨でぬかるんだ地面で足を滑らせ、転けそうになった。
…あ、これ体勢立て直せない。
瞬時にそれを理解した私はミカを守るために腕を掲げながら地面に突っ伏した。
驚いたミカは私の手を抜け出し横断歩道へ走った。
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捨てられたわたしを拾ってくれたのは優しそうな女性だった。わたしと少しずつ距離を縮めては何か本のようなものにまとめていた。
彼女はわたしに「みか」と言う名前をくれた。
あるじめじめした日、いつもどおりの時間に帰宅した彼女は悲しそうな、うれしそうな顔で「里親が見つかったよ」と言いながらあの本のようなものとわたしを抱きかかえて外に出た。
彼女はわたしが濡れないようにしながら走った。
でも、体勢を崩してしまった。彼女はわたしを守るために腕を掲げた。
私は驚いてしまい、まっすぐ走ることしかできなかった。
しましま模様の地面を走る。
横から光が差してきた。
そして
彼女はわたしに向かって一直線に走ってきた。
そして私に飛びついた。
わたしをぎゅっと抱きしめ、彼女は泣いた。
わたしはもう、意識を失いかけていた。
「ごめんね」
そう言って泣き続ける彼女が、わたしの最後の記憶だった。
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「思い出したよ、、、そっか、ミカだったんだ」
「うん、、、」
「ごめんね、守れなくて」
「わたしも、いきなり、とびだして、ごめんなさい」
そして私達は夜が明けるまで|泣き《鳴き》続けた。
そのまま抱き合いながら寝た。
朝目が覚めるともうミカはいなくなっていた。
でも、そこには確かに猫のぬくもりと猫の毛があった。
わお、猫の日過ぎちゃった☆