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フェロモンに、乗せられて。#1
「ッは、はぁ…んっ…」
なんで俺はΩなんだろう。
とてつもない倦怠感と吐き気、
そして少しの性欲に抗おうとベッドをのたうちまわる俺の姿は、さぞかし醜いことだろう。
俺はΩ。
所詮は子を作るための奴隷。
でも、子を作る相手にすら恵まれない俺がΩである意味はなんなんだろう。
どうせアルファと結ばれないなら、
いっそのこと、βが良かった。
「んッ、ふ、ふぁっち…」
Ωに来る|発情期《ヒート》は、あくまで子供を作るためにある。
なら、子供を作るときにだけなれば良いのに。
そんな叶わぬ願いを胸に勝手に口から出て来たのは、密かに片思いを拗らせているαの名前。
彼は、俺がΩだと知らないからこそ今の親友という素敵な関係でいてくれている。
…ただし、この恋が、そして俺の第2の性がバレればどうなるか。
そんなこと、考えたくもない。
絶対、引かれるに決まってる。
分かりやすく距離を置かれて、今のような関係では間違いなくいられなくなる。
確かに、なれるのであれば恋人…いや、これ以上…番に、なりたい。
でも、正直今の親友という関係が居心地が良くて。
これ以上は攻められないからこそ、今の関係を、俺はかなり好いていることも事実ではある。
でも…叶うなら。
「番いたい…なぁ…」