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魔物が悪なんて誰が言いました?#14
カナタ視点
昼飯の時間が終わり、今は2つに分かれてピクニックを楽しんでいる。
そして今、俺達が来ているのは………、
ピア「うささんいっぱい!✨」
クリス「すっご~い!✨」
エル「……………」
エス「これは……中々の数ですね……」
ディーア「あぁ………」
そう、|魔兎《ラビット》の群生地に来てるで!!!
カリー「カナタ、何ぼーっとしてるの?」
カナタ「なんでもありませんよカリー様(即答)」
カリー「……ならいいわ」
素っ気ないカリー様も素敵です!!!!(流石に引くぞbyディーア)
エル「……………」
エス「にしても、ここにはこんなに大量の魔兎達がいるんですか?」
ディーア「いいや、俺もこの量は見たことないな」
クリス「う~ん、妾もかな。こんなにいたんだね」
カリー「きっと南から群れで来たんでしょうね」
カナタ「最近の南は荒れに荒れてるらしいもんな」
ピア「わぁ!この子もふもふ~!✨」
ディーア「……(ピアは)精霊?」
カリー「見間違いも甚だしいわディーア(ピアちゃんは)天使に決まってるじゃない」
ディーア「それもそうだな」
……この二人の会話は聞かんかったことにしよ()
カナタ(それに俺…天使は苦手やからなぁ……)
でもまぁ、カリー様も天使みたく麗しいけどな。
ピア「クリスくん、こっち!」
クリス「はいは~い」
ピア「エスおにいちゃんと、エルおにいちゃんも!」
エル「………?」
エス「私達も……ですか?」
ピア「うん!いっしょにあそぶの!」
エル「チラ…………」
エス「…そうですね。一緒に遊びますか」
あそこは平和やな~………。
こっちは……、
ディーア「明日はこの地域の魔物の保護を頼みたいんだが……」
カリー「そこはもう終わらせてる…と言いたいけど魔兎みたいな南から来てる魔物もいるものね。よく見ておくわ」
ディーア「ありがとう。あと~~~~」
めっちゃ明日の話しとるねん。どうせこの話始めたのディーアやろ満喫しようとは思わへんのか!
ピア「カナタおにいちゃんなにしてるの?」
カナタ「んお、何もしてへんで~」
俺も実際は明日やる事とか行きたい所とか、カリー様の事とか考えてたなんて言えへん……。
ピア「?ならカナタお兄ちゃんもいっしょにあそぼ!」
カナタ「何するん?」
ピア「えーっとね……えーっと……うささんもふもふしてあそぶ!」
カナタ「そうやな、もふもふして遊ぼか~」
ピア「うん!」
それから数分後、ピアは魔兎のもふもふさで眠くなったのか、現在寝ている。
ディーア「あとは__」
リュウ「ディーア様、カリー様」
カナタ「え、リュウ!?」
さっきまでおらんかったのに……、
あ、リュウって確か竜にもなれるんやっけ……。
なら短時間でここまで来れるし、納得やな。
と、自分で疑問になって、自分で解決している間に、大体の話が進んでいた。
カリー「何かあったの?」
リュウ「城の周りに狂暴化した魔物が多数発見されています。いずれも保護下にいない魔物です」
ディーア「そうか。……カリー、頼めるか?」
カリー「えぇ、|こいつ《カナタ》も連れてくわね」
え?俺も?
カリー「行くわよカナタ」
カナタ「はい喜んで!!!!」
カリー様に呼ばれて嬉しくない奴がどこにいるんやろうな(?)
ディーア「ああ」
エス「私達も手伝いますが………」
エル「……………」
ディーア「これは俺達の問題だし、大丈夫だ。ここでクリスと一緒に待っててくれ」
エス「……わかりました」
カリー「リュウ、案内して頂戴」
リュウ「承知しました」
そして、ある程度離れた所でまたリュウが竜の姿になる。
リュウ「お乗りください」
先ほどは俺よりも目線が低かったというのに、竜の姿になると、さすがにこちらが顔を上げないといけなくなる。
カリー「えぇ、失礼するわ」
カナタ「おい、しょっ」
リュウ「……では、最短で参ります」
カリー「お願いね」
カリー様がそう声をかけると、勢いよく翼が広がり、空へ上がり、城の方向へと猛スピードで進んでいく。
カナタ「はえぇ……」
リュウ「カナタ様、喋っておりますと舌を噛みますよ?」
カナタ「…たしかn……」
言われた傍から舌を思いっきり噛んでしまった。
カリー「ほら噛んでるじゃない」
カナタ「……うぅ…すみません…」
リュウ「………見えましたよ」
まだ数分しか経っていないのに、気付けば城が大きく見える場所まで飛んできていた。
カナタ「っと、ここら辺か」
先に俺が降りて周りを見渡す。
ここは……城の裏側か。
周りの安全確認を行い、降りようとしているカリー様に手を差し伸べたものの、余裕で無視された。
カリー「そうね。…………居たわよ」
「グルルルル」
こちらを威嚇してきている狼型の魔物の傍に、どうやら子供もいた様子。
カリー「落ち着きなさいな。貴方が暴れないというのなら、命と子供の命を保証してあげるわ」
「《何を言う!そう言って人間は、我々の里を滅ぼしたんだ!》」
カリー「私達は人間ではないわ。見てわからないかしら?」
「《……悪魔か………》」
カナタ「せやで、あんたらを傷つけた人間はここにおらんで」
「《………すまなかった》」
カリー「……一応聞くけれど、貴方達、帰るべき場所、行くべき場所は?」
「《我々の帰るべき里は滅ぼされた。行く場所もない……》」
カリー「なら、魔王ディーア直属部下、このカリーが貴方達を保護します」
「《保護……だと?》」
カリー「もしかして、保護は脆弱な魔物にしかされないと思っていたのかしら?」
リュウ「今現在、保護は全魔物を対象としています。しかし、強制ではありません」
「《ぬぅ………》」
カナタ「ここで大人しく保護して子供を守るか、行く当てもなく生きてくか選びや」
「《………何が望みだ?》」
カリー「そんなに警戒しないで、私達は貴方に何か求めようとは思っていない。ディーアの望みを叶えてあげたいと思ってるだけよ」
「《……わかった。申し出を受けよう》」
そう言ってこちらに頭を下げ、それに続くように子供も頭を下げる。
カリー「賢いわね。リュウ、あとは頼んでいいかしら」
リュウ「はい。承知いたしました」
カリー「さてカナタ」
カナタ「はい!!」
カリー「ここからディーアのところまで、走るわよ」
カナタ「え?」
全速力でディーア達の所に戻り、少し息を整えて周りを見ると、そこにディーア達の姿はなく、エスとエルがこちらに気づき、近づいてきた。
カリー「エスとエルだけ?ディーア達はどこにいったの?」
カリー様も何かがおかしいことに気付いたのか、少し顔をゆがませながら二人に聞いた。
エル「………………」
エス「私達も少し席を外していて、ついさっき戻ってきたばかりです」
カリー「……そう、とにかく探しましょうか」
カナタ「はい」
そして各自散らばろうとした時、クリスとディーアが木の陰から戻ってきていた。
クリス「あ、み、皆……」
カリー「ディーア!どこに行って……」
ディーア「………」
カリー「……待って………ピアちゃんは何処に行ったの?」
ディーア「っ……」
カナタ「まさか……」
クリス「__っ__……」
カリー「ねぇディーア、何が起きたか教えて…?」
ディーア「実は………な……」
---
--- 回想 ---
カリーとカナタが出払ってもらって、数分が経った頃だ。
ディーア「よし、ここで異常なし……だな」
エスとエルはお手洗いに行き、クリスはピアと一緒に寝ている。
カサカサッ
ディーア「ん?」
何か魔物でもいるのか、と思って近付いた。
いや、近付いてしまった。
ボン!
ディーア「!?」
急に近くで煙が起き、周りが見えなくなってしまった。
ディーア「まずい、ピア!クリス!」
クリス「ん…んん……」
ディーア「クリス!ピアを守ってくれ!」
クリス「!わかった!」
ディーア「ゲホッゲホッ…くっそ……」
煙のせいで咳が出て、前が見えず、目が痛い。
クリス……頼む…!
ディーア「ゲホッ、ゔっ…」
__クリス「ぁれ?…ピアちゃん?…どこいっ……ピアちゃん!!」__
__ピア「ぃやぁ!ねぇえ!やめっ!」__
ディーア「!!」
何が起きてる?一体なんで叫んでいるんだ?
疑問が絶えない中、これだけは分かった。
"ピアが危ない"。
ディーア「っ!」
しかし、ここから俺の能力を打てば二人にあたるかもしれない。
しかも二人とも寝起きで、クリスは頭が回っていないかもしれない。
__ピア「おにいぢゃっ!__やだぁ!!」
ディーア「ピア!!」
どうしようもない感情だった
苦しい、つらい、助けたい、助けれない。
そして感情が爆発し、魔力が暴走しかけた。
魔力が暴走すれば周りのものが壊されるどころか、自分自身を破滅させる可能性もある。
幸いなことに尋常な被害はなく、見事に霧だけを晴らすことができた。
しかし………
クリス「ぁ、ディー君!」
ディーア「クリス、無事だったか。ピアは……」
クリス「ごめん、何も見えなかった。ただ、人影が何個かあって…きっとピアちゃんは……」
きっとクリスが悪いはずない。俺だって、何も警戒せずにピアから離れてしまったんだから。
ディーア「……探しに行こう。まだ遠くには行ってないはずだ」
クリス「…うん!」
そして、近くの森を全力で探し回ったが、魔物も人間の気配も、何一つなかった。
---
カリー「…………」
ディーア「すまない……俺の注意不足のばかり…!」
カリー「………」
カリー様は何も反応できず、ただ顔を俯かせるだけだった。
カナタ「カリー様……」
カリー「………すぅ……はぁ………」
ディーア「すまない………」
カリー「一度戻りましょう。マラ達と、ジェリアも呼びましょう」
クリス「じゃあ妾、ジェリさん呼んできます」
カリー「いえ、いいわ。部下を向かわせる。そのまま戻りましょう」
そう言って、城まで一直線に歩き出す。
カナタ「………」
なんだか、今のカリー様は怒りを包み隠しているような、地雷を踏みぬいたらやばい気がしてたまらへん……。
でもまぁ、わざと地雷を踏み抜いたりするほど命は軽くない。
ディーアもクリスも、エスとエルも、そして俺も、素直にカリー様のあとに続いて歩いた。
よ~っしシリアスまで持ってけたぞ~!☆
う~んむずい!!長くなっちゃいましたね!
結構予想通りの展開に持っていけてよかった……。
ピアちゃんはどうなるのか、これからどうなるのか………!?
では次回!!
おつせる!