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第一話
※こちらは私が他サイト(魔法のiらんど)で連載している作品です。
同じ作品を見かけても無断転載ではありません。しかし、もしこの短編カフェと魔法のiらんど以外でこの作品を見かけた場合、それは私の作品ではございません。
ご理解お願い致します。
「恋したーい!!!」
ゴトンッ、と大きな音を立ててグラスを置く。
中には何を隠そう、ビールだ。やはり疲れた体にはこれが1番。
|山北《やまきた》 |潮《うしお》、20歳。ついこの間お酒を飲めるようになったところだ。
さすがに人生で初めてのお酒だから実はまだ1杯目。居酒屋に来て少しづつ飲むのはなんだか恥ずかしくて、飲んだ感じを出しておく。
なんというか、小心者だ。
「すみません、ここいいですか?」
「あっ、はい!どう、ぞ……」
さっきの言葉、聞かれていただろうか。
……なんて、思う暇もなかった。
私の隣に座った男の人。
爽やかでストレートな黒髪に、綺麗な二重の切れ長の目。けれど何故か怖いとは思わない、優しい目。
高い鼻筋に、少し薄めな整った唇。
それに加えて清潔感のある格好。というかただのシャツのはずなのだが、何故かブランド品のように見えてしまう。
見た感じ、どこかの会社員だろうか。
いや、こんな見た目なのだから芸能人というのも有り得る。
じっと見ていると、彼は少し戸惑った顔でこちらを見た。
「えっ、と……どうかしましたか?」
「えっ!?あっ、あの、すみません!えっと、悪気はなくて……あの……」
慌ててそう答えたが、逆効果な気がする。しどろもどろで、語彙力のごの字も無い。
どこからどう見ても、ただの変人だ。
何とか言い訳を探していると、ふっ、という声が聞こえた。
「……あ、すみません悪気はなくて、なんだか面白くて……って、これだとさっきの貴方と同じですね」
けらけらと笑ってそう言う彼。
いつもなら少しイラッとくる言葉な気がするが、彼に言われると悪い気はしない。
「ふふ、すみません、急に笑い出して……」
「あっ、いえそんな…私も傍から見ればただの変人でしたし……」
ふと顔を見合わせ、また二人して吹き出す。
それからはお酒やつまみを食べ、他愛のないことを話した。