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そこにいた。
読み切りです。
永遠なんて物は無いって。
あの瞬間私は全て分かっていたはずなのに。
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私、永那(えな)は昨日起きたあの事について頭を占領されていた。
届くはずもない雲に手を伸ばしてみたり。
でもーー
触れられた瞬間千切れて消えて。
もう少し君と笑っていたかった。
あの日は自然に出来なかった。
君が、私が振り向いた。
でも、もうそこにはいなかった。信じたくない|現実《いま》に涙が溢れる。
君と分け合った過去。独り占めになった未来。
太陽が慰めに来るけど、私はそれすらも無視する。
寂しく響くアラームの音が遠くで聞こえる。
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目が覚めたらこの現実という名の悪夢から醒めますように。
願っても聞き入れる訳が無いのにーー
もし、悪夢の中から醒められなかったら答え合わせから、君と私で始めよう。
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でもね、まだ君と居たいな。
笑い合いたいな。
一緒に頑張りたいな。
明日になれば何事もなかったみたいに君が隣にいるような気がする。
手を伸ばしても届かないのに。
夕焼けは暗闇を連れてくる。
今、私は寂しさを抱えたまま暗闇を迎える。
確かにそこにいた。のに。
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居たいな。まだ君と居たいや。
会いたいな。
明日、どこにも君は居ないんだ。
でも、確かに君も私もそこにいた。
読んでいただきありがとうございました!