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7.
|私《美咲》は爽やかな日差しによって目覚める。
「・・・眠い」
二度寝してしまおうか、そう思った矢先。
コンコン
ドアから軽やかで規則正しい音がなる。
「お嬢様、入りますよ」
「シャルムか、いいよ。入って」
美音の気配りによって、私とシャルムは一部屋ずつ自分の部屋を手に入れた。
部屋に入ってきたシャルムの手には、見覚えのある服があった。
「お嬢様のお洋服です。服、持ってきてないんでしょう?」
・・・・あ。
改めて私の荷物を確認する。
兄から掠め取ったゲーム機と充電器、姉から奪い取ったコントローラー。
ずっと使っている日記、鉛筆と消しゴム。
これしかない。私はどうやって生活しようとしていたんだ。
「・・・・お嬢様らしいですね。服も忘れるなんて」
「シャルムが持っててくれたんだ。ありがとう」
これは120% 私が悪い。生活力がない。
「あと、これも忘れてましたよ」
そう言って取り出したのは、私の大切なもの。
「マジか・・・・、私はアイテムBOXも忘れてきたのか・・・・!」
*アイテムBOX:持ち物を自由に出し入れできる道具。量に上限はない。美咲のものは、ズボンなどにつけられるポーチっぽいやつ。*
「お嬢様にとっては必需品ですから・・・、気をつけてくださいね」
「そうだね。何から何までありがとう・・・」
シャルムは本当にすごい。私が覚えていないことも、できないこともフォローしてくれる。
「着替え終わったら、1階に降りてきてくださいね」
「わかった」
言われたとおりに着替えて下の階へ降りる。
なんで美音の家は、2階建てなんだ。やっぱりお金持ちなのかな。
そんなことを考えながら、ドアを開ける。
ガチャ
「美咲、おはよう。よく眠れた?」
「おはよう。おかげさまで、ぐっすり」
これは真っ赤な嘘、どこからか魔王軍の刺客が来るのではと怯えてた。
でもいいよね、誰も傷つかない嘘だもん。
コトン
「はい、美咲のごはん。口に合うかわからないけど」
「これ、美音が作ったの? めっちゃ美味しそう。いただきます」
やわらかな湯気をたてるスープと、バターが乗ったパン。
シャルムも美音も料理が上手で羨ましい。
私は何も教えられてこなかったから、全く分からない。練習しようかな。
そんなことを思いながら朝食のパンを口に放り込む。
「うまっ・・・・・!」
これまでなら考えられない美味しさ。思わず笑みをこぼす。
「なら良かった。今日はきっと疲れるから、たくさん食べて」
・・・今日はきっと疲れるから、って言った?
「美音、何する気なの?」
「魔法を使う練習だよ。あと、美咲の能力も知りたいし」
経験ゼロの私に、優しく教えてくれるか・・・・?
「・・・・覚悟しとくね」
「お嬢様、応援してますね」
他人事みたいに微笑むシャルム。
私は曖昧な笑顔で頷くしかなかった。
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その後、朝食を食べ終わった私たちは魔法の特訓をするために草原へと来た。
「美咲の能力って何なの?」
「いや、わからない。鑑定してもらってないから」
能力を知るには、分析や鑑定の能力やスキルを持っている人に鑑定してもらう必要がある。
でも、能力発芽時期に能力がなかった私は自分の能力を知らない。
「ていうかさ、能力とスキルって何が違うの? 同じようなもんじゃない?」
「なら、そこから説明するね。一番大きな違いは、先天性か後天性か。
能力は、種族によって発芽する年齢が決まっていて生まれつきではない。
スキルは、生まれつき持ったもの。持っているかは人によるけどね」
なーるほど。
「それ以外にも、細かい違いはあるけど気にしなくても大丈夫です。お嬢様」
「僕のスキルは、『分析』だから美咲の能力とかも調べられるよ」
私からするととっても都合がいい。
早速調べてもらうことに。
「それじゃ、見させてもらうね。『スキル発動 分析』」
そのとき、目の前にステータス画面のようなものが映った。
なぜか私には読むことができない。その画面を美音はじっと見つめている。
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*名前:美咲*
*能力:能力を創造・管理・破壊する*
*スキル:重力操作*
*魔力:15万*
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「え・・・・?」
私のことを分析した美音が、息を漏らす。
もしかして、くっそ弱い能力だったりした?無双できない?
「強すぎるでしょ・・・・・!!!」
あ、逆だったみたい。
「美咲、君の能力はチートだよ。強すぎる」
「なんていう能力だったんです?」
すっごい気になる、そんなに強いのか。私の能力は。
「『能力を創造・管理・破壊する程度の能力』、よくわからないけど強そうじゃない?」
え、強そう!
「お嬢様、何か試してみては?」
「そうだね、試してみよう」
・・・・とは、言ったものの。
こんなよくわからん能力をどうやって使えと?
なにか出てきて! ちょっと使うの怖いから!
バサッ
な、なんか出てきた〜!?
「え、上から本が降ってきたんだけど!? 勉強しろってこと?!」
「お嬢様、落ち着いてください。苦丁茶でも飲みますか?」
「同じネタを擦るな!そのお茶、健康にはいいけど!」
(僕、蚊帳の外なんだけど。)
「美咲、本に何か載ってるんじゃない?読んでみたら?」
「そうか、確かに」
もしかしたら情報が載ってるかもしれないもんね。
「なんとなくわかるでしょ・・・?」
呆れたように言う美音。その可能性に至らなかった私は一体・・・・?