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第三話:黒板に書かれた名前
三夜目の怪談は、町の駄菓子屋を営む老人・平川源蔵が語り部となった。語られるのは、今は廃校となっている「鬼灯小学校」にまつわる話。
「わしらが通っとった頃な、卒業間近になると、“名前を黒板に書かれた者は連れて行かれる”って噂があったもんじゃ」
昭和30年代、学校の理科準備室で一人の生徒が失踪した事件をきっかけに、その噂が広まった。誰かが夜の校舎に忍び込むと、翌朝黒板にその名前が書かれており、本人は姿を消す——そんな不気味な話が子どもたちの間で囁かれていた。
源蔵は続ける。
「数日前な、町の若者が肝試しにあそこへ行ったんじゃ。翌朝、その子の名前、“大澤陽一”ってのが、黒板に書かれてたって、今朝聞いたんじゃ」
またしても大澤の名が語られる。住人たちは偶然なのか、それとも何かに関連しているのか、ざわつき始める。
その夜、旧校舎に風鈴の音が響いたという。誰も風鈴など掛けていないはずなのに。
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