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レンズの裏の
sutu05212
居酒屋を抜け出した二人は、タクシーに飛び乗り、ゆうせいのマンションへと向かった。車内でもゆうせいは星太郎の右手をしっかりと握り締め、指を絡めたまま離そうとしなかった。「……ゆうせい、手が痛い」「離したら、どこかに行っちゃいそうだから」少し拗ねたようなゆうせいの横顔に、星太郎は胸をくすぐられる。いつも要領よく立ち回る男が、自分のこととなるとこれほど余裕をなくす。その事実だけで、星太郎の胸は高鳴っていた。マンションのドアが閉まった瞬間、ゆうせいは星太郎を抱きしめた。暗がりの中、互いの鼓動が重なり合う。居酒屋での騒がしさが嘘のように、静まり返った室内には二人の吐息だけが響いていた。「星太郎、あの先輩に触られてるのを見て、ずっとイライラしてたんだ」「……ただの付き合いだよ」「わかってる。でも、俺以外の誰にも、お前に触れてほしくない」ゆうせいの瞳には、隠しきれないほどの独占欲が渦巻いていた。彼はベッドの脇に置いてあった一眼レフカメラを手に取り、ファインダー越しに星太郎を見つめた。「今の星太郎は、俺しか知らない。この表情を、ちゃんと記録に残しておきたいんだ」「バカ……、恥ずかしすぎるよ」カシャ、と静かなシャッター音が寝室に響く。ファインダー越しの視線は、優しく、けれど熱く星太郎を捉えて離さない。星太郎は照れくささに顔を赤くしながらも、ゆうせいの愛情を全身で受け止めていた。二人の夜は、言葉を交わすよりも深く、確かな絆を確かめ合う時間となった。翌日の午後、大学のサークル棟。「あれ、星太郎? 大丈夫だった?」昨日、星太郎に親しげに接していた先輩が声をかけてきた。星太郎は首元に緩くストールを巻き、少しぎこちなく笑う。「あ、はい……ご心配をおかけしました。ゆうせいに送ってもらって、助かりました」その時、背後からやってきたゆうせいが、自然な動作で星太郎の肩に腕を回した。「先輩、星太郎は俺が責任を持って送り届けたので、もう大丈夫ですよ」ゆうせいは爽やかに微笑んでいるが、その目は「これ以上近づくな」という無言の警告を放っていた。先輩を牽制するように、星太郎をぐっと自分の方へ引き寄せる。二人がサークル棟の影に入り、周囲に誰もいなくなった瞬間、ゆうせいは星太郎の耳元で囁いた。「昨日の写真、あとで見せてあげる。俺だけの星太郎が、すごく綺麗に撮れてたよ」「……もう、意地悪言わないで」星太郎が睨むと、ゆうせいは嬉しそうに笑った。二人の関係は、レンズの裏側に隠された秘密として、より深く、より熱く育まれていく。