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いわゆるヒロインになったので
あおはたみこ
前の世界は正直言って楽しくなかった。
楽しかった時間は和菓子をぼりっていたときだけ。
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私が気づいたときはもう12,13歳ぐらいの女の子に変わっていた。
(……誰!?)
私が心の中でぐわっと叫ぶと間髪を入れずに脳内に響く声があった。
《あなたは転生しました》
「……天声?」
あり得ない展開に私は頭を背けようとする。
《確かに天の声ですけれども……転生です。転ぶに生まれる。その名の通りです。あなたは今日からマリーです。マリー・ウォーリッシュ》
「誰やねん!?」
《私の声は誰にも聞こえていないからあなたはただの変な人ですよ。何も考えずにしたがってください。あなたは転生しました。これはいいですね?》
ナガナガとしたは嫌いだ。
(うん)
《あなたは今、15歳です。明日から高校生です》
(ちっちゃっ!?)
《そうです、あなたは小さいのです。これからの高校でもさぞ可愛がられるでしょう。でも、その代わり悪も疼く。いわゆる悪役令嬢があなたをいじめます。あなたは庶民ですから》
(駄目じゃん。庶民が王立学園に行ったら絶対になるパターンじゃん。そういう乗って、ヒロインだよね。くそドMの)
私はうんうんと頷きながら天声の話を聞く。
《あなたは可愛いヒロインですから、絶対にそんなことを言ってはいけませんよ》
(わかった)
《ヒロインですから、ね?》
(ヒロインね。わかった)
《ヒロインですよ?!》
(うん。……え……私がドMってこと?)
《そうです。ではそこまで判ってくれたならよしです。それでは》
「ま、まて!」
幸い家には誰もいなかったようだ。
物音一つ聞こえない。
《今からあなたの記憶とするべきことを吹き込みます》