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𝙿𝚛𝚘𝚕𝚘𝚐𝚞𝚎𓂃𓈒孤狼と主人
初投稿ですのでお手柔らかに……
……静かな森。
鳥の囀りすら聞こえない、夜の森。
??「…………………」
『………ぇ、ぁ……は…?』
__*ボタボタ………*__
『……な"っ、なんで…《白銀の魔狼》がここにいる……!?』
??「……なんでって……お前等が"ぼく達"の縄張りを荒らしたからだろ?」
『ここは、あそこから何十キロも離れてるのに…!!なんで……!?』
??「そんなのぼくの耳で全部わかる。そんなこともわからない?」
__**ゴロンッ……**__
男の目の前へ、元仲間だったモノの生首を投げてよこすと、男は「ヒッ…!!」と喉を鳴らし、ズルズルと後退った。
『……お、俺は本当に何も知らない…!!俺はただ、「金が欲しくないか」って唆されて、ほ、報酬に目が眩んで……あいつがあんたら"|𝑙𝑢𝑝𝑢𝑠《ループス》"の商売相手だったなんて知らなかったんだよ…っ!!!』
??「……でも、ぼくの"御主人様"の敷地を踏みにじったことに変わりはない。」
男の目に焦りが浮かぶ。
『……わ、わかった!他の奴の居場所も全部吐く!!だから…だから俺だけでも……ッッ!!』
??「…………へえ?」
『あ、ああ!拠点まで案内する!!ついてきてくれ!!!』
男はそう言って急ぎ足で歩き出す。ぼくはその後ろ姿を少し見つめる。
__ピタッ…__
男が死体の内の一つ前で立ち止まる。そして。
『***………う"わ"ぁぁァァァ!!!***』
男は半狂乱に叫びながら足元にあった拳銃を拾い、こちらへ向けた。
??「…そうくると思った。」
`***パァンッッッ***`
『………ア"……?』
目の前にいたはずの敵に背後から撃たれた男は、状況が理解できないまま前のめりに倒れた。ぼくはその背中に跨り、顔をこちらへ向ける。首から骨が軋む音が聞こえた。
??「狼の反応速度と足、ナメてた?」
『……ぅ、あ…ぁ………』
??「ぼく、こう見えても"御主人様"の部下なんだよ。お前等みたいな生半可なゴミ、大量に見てきてるわけ。」
『……ぁ゙……あ………ダ…すけ……て………』
??「助けても何も、誰も来るわけないだろ?」
『…………は?』
??「だって、ここに来る前に、ぼくが全員殺ってるし。」
男にそう伝えた瞬間、男の目から完全に光が消えた。ぼくは腰のナイフを取り、男の首へと振り下ろした。
---
じんわりと血溜まりが広がる。足元には、先ほどの男の生首だけが残っている。
??「………早く帰ろ。」
ぼくは床に転がっているソレを両手に抱え、ボスの待つ拠点へと足を進めた。
??「………"御主人様"、今日は褒めてくださるかな…♪」
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??「……ただいま。」
『はっ!お帰りなさいませ隊長様!』
??「ボスは?」
『最上階にいらっしゃいます!』
??「ん。」
__トコトコ……__
『__あれ、ボス直々の隊長様か…?__』
『__噂によれば、ボスの命令ならどんな敵の頭でも噛み砕くとか……__』
『__あの無慈悲な仕事で、《白銀の魔狼》って呼ばれてるらしいぞ。__』
<巨大犯罪組織《|𝑙𝑢𝑝𝑢𝑠《ループス》》。それは裏社会に生きる者なら誰もが知る名であり、同時に誰もが恐れる名でもある。狼を象徴としているこの組織は、十数年前に設立された国際規模のマフィアであり、その勢力は今や、情報網、武装部隊、資金力の全てにおいて他組織を圧倒していた。>
そして、ぼくは今。
??「……失礼します、|緋月《ひづき》様。」
この組織をここまで飛躍させたボスの前にいる。
緋月「…ああ。おかえり、|朔牙《さくが》。」
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朔牙「本日の任務も、無事に終了いたしました。」
ぼくは手に持っていた生首を緋月様へと渡す。緋月様はソレを手に持って一瞥した後、満足げに小さく頷き、ぼくに返した。
緋月「うん、お疲れ様。この子が、今回私達の仕事場を荒らした|標的《ペルソナ》かい?」
朔牙「はい。ぼく達の密輸先の客を殺し、それを隠蔽しようとしていたので、全員処理しました。」
緋月「この子達の正体は、結局何だったんだい?」
朔牙「小規模の犯罪組織でした。恐らく、《|𝑙𝑢𝑝𝑢𝑠《ループス》》の妨害及び商品の略奪が目的かと。」
緋月「ふふ、やっぱり朔牙は真面目だねぇ。いつもありがとうね。」
緋月様は、片手に持った煙草を灰皿へ置き、そっと席を立った。
緋月「じゃあ私は少し見回りをしてくるね。朔牙、もう下がっていいよ。」
そう言って緋月様はぼくの後ろにあった大きな扉へと歩き出した。なぜか、ぼくの尻尾が少し垂れる。
朔牙(………?)
なぜか、少しだけ手が震える。知らない間に、口から声にならない空気が漏れていた。
朔牙「__………あ……ひ、ひづき…様……__」
緋月様が扉に手をかける音がする。
__*ガチャ……*__
次の瞬間。
朔牙「**……ご、"御主人様"…っ!!**」
自分でも吃驚した。気づけば、ぼくの口から無意識に声が出ていた。持っていた首は手から滑り落ち、床を転がっていた。
緋月「ん?どうしたの朔牙?」
緋月様が不思議そうにこちらを見る。ぼくは慌てて口を閉じようとしたが、もう止められなかった。
朔牙「……き、今日は単独任務だったし、迅速に、処置できたので…__その………__」
緋月「………」
朔牙「__……ご褒美が、欲しいです………__」
緋月「…へぇ、珍しいね、朔牙がそんなこと言うなんて。」
緋月様はこちらへ向きを変え、ゆっくりと歩み寄る。そして、ぼくの目の前で立ち止まった。数秒、静かな空気が流れる。そして。
*ぽふんっ*
緋月「今日もお疲れ様。偉かったね、朔牙。」
__よしよし…__
朔牙「……っ!…えへへ…////」
緋月「朔牙は本当に甘えただねぇ。」
朔牙「えっ、そ、そんなことは……っ…」
緋月「耳がこんなに倒れてるのに?」
朔牙「……あ……」
ふと耳を触ると、普段はピンと立っているぼくの狼耳が、ぺたりと後ろへ伏せていた。
朔牙「__……んぅ……__」
緋月「……ふふ、じゃあ。」
緋月様は手を頭から離して、ぼくの頬にそっと触れる。そしてその手をゆっくりと下に滑らせ、ぼくの顎を軽く持ち上げた。喉元の赤い首輪がわずかに揺れる。緋月様の真紅の瞳と優しい笑みに、思わず見惚れてしまう。
緋月「明日からもお仕事頑張ってね。朔牙。」
朔牙「…はい。御主人様のためならば、ぼくはなんだってします。」
そうぼくが答えると、御主人様は穏やかに微笑んで、ぼくに優しく口付けをした。その柔らかく温かい感触に、銀色の毛に覆われた大きな尻尾は、ただゆらゆらと揺れていた。
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<巨大犯罪組織《|𝑙𝑢𝑝𝑢𝑠《ループス》》の戦闘員には、一人、人間ならざる者がいる。月光を反射する銀の髪に金色の瞳、狼のような尻尾と耳、圧倒的な戦闘能力と冷酷な判断で任務を遂行する《白銀の魔狼》。そんな彼には、一つの噂がある。それは、【《白銀の魔狼》はボスの前でだけ忠犬になる】なんてものだとか。>
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