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なんでも知っていたあの人/💎🐇【IRIS】
今回はいむしょーです!
それじゃあスタート!初兎くんsideです!
今日はりうちゃんとゆうくんと図書館に行く約束をしていた。
……が、
🐇「やばい遅れる……急げっ」
今は待ち合わせ時間の3分前。
…寝坊、してしまった。
🐇「なんでこんな日に寝坊するん…って」
動かしていた足を、思わず止めてしまう。
なぜなら……
そこに、エグいほどのイケメンがいたから。
ちょっと可愛い雰囲気もある……
🐇(こんな人絶対モテるんやろなぁ……って、急がな!)
そう思ってまた走り出そうとすると、
💎「…こんにちは」
🐇「……えっ?」
そのイケメンに、声をかけられた。
周りに人おらんし、多分俺にやよな…?
🐇「こ、こんにちは……」
💎「…そんなに急がなくても、図書館は逃げないよ?」
🐇「……は?」
え、なんでこの人……
俺が行こうとしてる場所知ってるん?
🐇「え、いや…え?」
💎「あぁ、僕が君の行こうとしてる場所を知ってたことにびっくりしてる?」
ちょっと煽るように言うこの人。
な、なんか悔しい……!
🐇「こっ、この道通るのはほとんど図書館に行く人だから…それで分かったんですよねっ!」
💎「……そう思う?」
🐇「え?」
💎「じゃあ言わせてもらうけど…」
💎「君は今友達2人と図書館に行く約束をしてるけど、寝坊しちゃって今めっちゃ急いでる…そうでしょ?」
……この人は占い師なのか?
さすがに当たりすぎてる……
🐇「いや、その…」
俺が言葉に迷っていると、その人はまた新たな言葉を繰り出す。
💎「んで、ちなみに言うともう待ち合わせ時間5分くらい過ぎてる」
🐇「…えっ!?」
思わずスマホの時計を見る。
待ち合わせ時間は9時。
今は…9時5分。
🐇「やっ、やばい…!」
💎「図書館は逃げないけど…時間は刻々と過ぎるからね?」
🐇「あーもう分かりました!早く行かなきゃ…」
そう言って走り出そうとすると…
🐤「あ、いた!しょーちゃん!」
声が聞こえてきた。
聞き覚えのある声だ。
🐇「りうちゃん!」
🐤「遅いよ〜、どこで何してたの?」
🐇「いや、男の人と喋ってて……」
🐤「え、しょーちゃん男の人と会ってたの?誰?」
🐇「…え?」
「今ここにいる」と言おうとしたが、りうちゃんは本当に見えていなさそうだったから、口をつぐむ。
……なんで、見えてないんだろう。
---
🐤「じゃあばいばい!」
🐇「ばいばい〜」
🦁「初兎、次は遅れんなよ?」
🐇「分かってるよw」
図書館を出た俺たち。
俺だけ帰る方向が違うから、1人で帰ることになる。
🐇「…そういえば、あの人まだおるんかな」
そう呟くと、耳元で声がした。
💎「それって僕のこと?」
🐇「うわっ!!」
💎「そんなに驚かなくてもいいじゃんw」
🐇「いやびっくりするって…」
…そういえば、名前聞いてなかったな。
聞いていいのかわかんないけど…一応聞いてみよ。
🐇「あの…名前なんていうん?」
💎「僕?」
🐇「あんたしかおらんて…」
💎「僕はね…ほとけっていうんだ」
🐇「ほとけさんかぁ…」
💎「あ、いむくんって呼んでね?」
🐇「…はい」
そう言ったほとけさ…いむくんの圧がすごくて、思わず敬語で返事をしてしまう。
そうだ、俺の名前も教えなきゃ……
🐇「あ、俺の名前は…」
💎「しょーちゃん…だよね?」
🐇「…なんで知っとるん?」
思わず素で返してしまう。
図書館行く時も俺の状況を知ってたし…どういうこと?
💎「だって…呼ばれてたじゃん、あの赤髪の子に」
🐇「……たしかに」
思えば確かにそうだ。
てかりうちゃんのことは知らんのかい……。
💎「しょーちゃんはさ…僕の正体知りたい?」
🐇「え?」
急にそう言ったいむくん。
確かに知りたいけど…聞いていいのだろうか。
🐇「…知りたいっちゃ知りたいけど……」
💎「教えてほしい?はいかいいえで答えて」
🐇「…はい」
💎「いいよ、教えてあげるね」
💎「じゃあさ…しょーちゃん、僕に触ってみて」
あまりに簡単なお願いをするいむくん。
さすがに簡単すぎやしないか?
まさかとは思うけど…もしかして、いむくんって幽霊?
……いや、それはないか。幽霊にしては体はっきりしすぎだし。
🐇「じゃあ…失礼します」
そう言っていむくんに触ろうとすると……
俺の手は、いむくんを突き抜けてしまった。
🐇「…は?」
💎「これが…僕の正体だよ」
いむくんはそう言うが、にわかには信じられなかった。
だっていむくんは体がはっきりしすぎているし、そもそも俺は幽霊なんて今まで見たことがない。
🐇「…えっと、催眠術師ってこと?」
「幽霊」とは言いたくなくて、思いついた言葉を口にしてしまう。
いむくんは一瞬ぽかんとして…
💎「さっ、催眠術師?wそんなんあるわけないじゃんww」
めっちゃ笑い出した。
……俺を煽るかのように。
🐇「そんな笑わんくてもええやん…」
💎「いや、まさかそんなこと言うなんて思ってなかったから…w」
🐇「…じゃあ、幽霊ってこと?」
💎「そうに決まってるじゃんwあー面白かった…」
やっと笑いが収まったようだ。
でも…なんでいむくんはそんなことを俺に明かしたんだろう?
🐇「あのさ…なんでそれを俺に言ったん?」
💎「…やり残したことがあったから」
🐇「やり残したこと?」
💎「僕さ…自分で言うのもなんだけど、生きてた頃はけっこう人生充実してたんだよね」
💎「勉強もまぁまぁできたし、友達もいっぱいいたし…学校が毎日楽しかった」
🐇「え…じゃあやり残したことなんてないんじゃ?」
思わず口にしてしまう。
学校が毎日楽しかったならやり残したことなんてないんじゃ…?
💎「いや、それがあったんだよ」
💎「それは……好きな人を作って、その人と楽しく話すこと」
💎「……こんな風にね」
そう言うと、いむくんは俺を見つめる。
💎「君を見つけたのは結構前なんだけど…その時、何かを感じたんだ」
💎「他の人とは、何か違った」
思い返すように、しみじみと話すいむくん。
そんなことは初めて知ったが、正直嬉しかった。
💎「君を目で追ってるうちに…話したいって思うようになってさ」
💎「気づいたら、声をかけてた」
💎「しょーちゃんが気づくかどうかは一か八かだったけどね」
🐇「…やから、図書館に急いでた理由も知ってたん?」
💎「まぁ…そうだね」
🐇「そうやったんや…」
話し終わったいむくんは、どこかすっきりした表情をしていた。
まるで抱えていた何かを落としたように。
💎「僕はもう行かなきゃだから…君に伝えたかったんだ」
🐇「…え?行かなきゃ…って?」
💎「うーん…簡単に言ったら成仏しなきゃいけない、かな」
🐇「そっ、そんな…!」
ショックを隠せない。
今日出会ったとはいえすごく仲良くなれたし、ずっと一緒にいたいと思うのも事実だ。
🐇「…もう、会えへんの?せっかく仲良くなれたのに…」
💎「ごめんね…僕も悲しいけど、もう行かなきゃなんだ」
そう言ったいむくんの体は…少し透き通っていた。
そして、足が少し消えている。
🐇「…なぁいむくん」
💎「ん?」
🐇「もし何かで…僕を見つけたら、声かけてほしい」
💎「…当たり前じゃん、しょーちゃんだって声かけてよ?」
🐇「うん、もちろん…約束な?」
💎「うん、約束」
🐇「……またな、いむくん」
💎「…またね、しょーちゃん」
そう言っていむくんは…
景色に溶け込むように、消えてしまった。
今日は、本当に色々あった日だ。
1日で驚き、嬉しさ、悲しさの3つの感情を体感してしまった。
今は悲しさの方が大きいが…少し嬉しさもある。
この世…いや、この世界で俺を愛してくれる人がいたから。
🐇「いむくん…絶対、声かけてな?」
🐇「俺もかけるから……」
🐇「約束、な」
そう呟くと、風が俺の頬を撫で、そして包み込むように吹いていった。
まるで、「もちろんだよ」と言うように。
これはきっと俺の思い違いだろうけど……
たとえ思い違いでも、今はそれが嬉しかった。
はい!
今回はここまでです!
感想とかお待ちしてます〜(マジでお願いします)
それじゃあおつあや👋🏻