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第6話 永遠に君想ふ
私が書いてる途中で泣くかも…
冬休みになった。その日から、僕は毎日花鈴の元へ見舞いに行った。この日も、いつものように見舞いに行こうとした。すると、電話が入った。
「花鈴が、危篤状態なの。だから、来てほしい。」
嘘…。僕は急いで病院に行った。この日は、雨が降っていた。傘なんて忘れて、ザーザー降りの中走って行った。
病室に入ると、先生と花鈴の両親がベットを囲んでいた。僕はすぐにベットの側に寄って、花鈴に最後の言葉を掛けた。
「最期まで、絶対に一緒にいてあげるから。花鈴を愛せて良かった。」
この声が届いたのだろうか、花鈴は重い瞼を少し開けて、僕の手をそっと握った。良かった、僕の声が届いて。僕は、日が暮れても、花鈴が旅立つ最期まで、この手を離さないと決めた。花鈴はきっと辛いと思う。苦しいと思う。でも、それが僕には、一生懸命に生き延びようとしているという強い気持ちが、しっかり伝わっていた。
でも、それは長くは続かない。花鈴の時々少しだけ開く瞼が、完全に閉じてしまった。僕は願った。まだ生きてほしいと。そうすると、医者が口を開いた。
「御臨終です」
僕は膝から崩れ落ちた。涙が目に溜まる。でも、まだ落ちることはなかった。どこかにまだ花鈴の前で泣きたくないという感情があった。
しばらくして、花鈴のお母さんに手紙をもらった。
「花鈴が、自分が旅立ってから、渡して欲しいって」
病室から出ていって、袋から取り出して読んでみた。
「優くんへ
この手紙を読んでいる頃は、きっと優くんは悲しい思いをしていると思う。私はこの頃、もう優くんに思いを伝えることなんてできないから、この手紙で今までの優くんへの思いを書こうと思う。
私が、初めて優くんに出会った時、なぜか安心したの。理由は今でも分からない。それで、優くんと話していくうちに、とても、優くんのことが好きになった。優くんなら、絶対に私に何があっても守ってくれると思った。2人で色んなところに行って、思い出が作れてよかった。私は今までこんなに幸せな生活を送れたことはなかった。私にとって、優くんは恩人です。最後にこれだけ言わせて。優くんに今まで隠し事しててごめんね。黙っててごめんね。でも、優くんと一緒にいた1年間はすごく特別な時間だった。私は、優くんのこと幸せにできたのかな。私は優くんに幸せな生活を送らせてもらった。ありがとう。ところで、優くんはお医者さんになりたいんだね。お母さんから聞いたの。うん、優くんなら名前の通り、みんなから信頼される、優しいお医者さんになれるよ。私、天国で応援してる。これから、優くんのこと、見守ってる。辛いこととか、悲しいこともあるかもしれないけど、優くんならきっと乗り越えられる。絶対に、大丈夫。私、優くんのこと、永遠に忘れない。優くんも、私のこと忘れないでね。辛くなったら、この手紙を読んで、私のことを思い出して。少しでも助けになったら、嬉しいな。
天国で、またいつか会おうね。永遠にありがとう。
花鈴より」
この手紙を読んで、ようやく、目に溜まった涙が溢れた。花鈴に言われた通り、僕は絶対に良い医者になる。大切な命を守る。これから、本気で勉強頑張る。
本章はこれで終了です!同日に、エピローグあげます!