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得ていた熱 故 暫しの幻最中
ABC探偵 様の「 【冬】に関連した小説&イラスト コンテスト 」参加作品です。
何か思うことがあっても一旦最後まで読み進めてください。
「あっ、つ!!!!」
窓に手が触れてしまった。
指先が赤くなる。
せっかく自然豊かな山にあるログハウスを借りてキャンプに来たというのに、2日目でこのザマだ。
外は積雲の白が芝生を支配していた。
窓の近くにいるだけでもあつい。
嫌な汗が頬を伝う。
ふと、扉に目が行く。
逃げ出したい。
そんな何度繰り返したかわからない思いが、もう一度金属製のドアノブに手を掛けさせようとした。
ねつをまだ帯びたその塊は、まだ触れていないのに激しく開けることを抵抗した。
勇気を出して、握る。
「あづっ!!!」
…やはりだめだった。
このあつすぎる環境では、どうやら電波が曲がってしまっていて、うまく電話が繋がらないらしい。
一刻も早く外に出たいのだが……
開けられない扉の前に立っていても仕方がないので、リビングに戻る。
それでも特にやることもないので、備え付けられた岡夏史郎の本を読む。
脳みそを使えば紛れるかと思ったからだ。
それでもこのあつさは耐え難かった。
じっとしていたら死ぬと直感し、ほぼ機能していない冷蔵庫へ向かった。
手に冷えた水の感覚がする。
良かった。
それを一気に飲み干す。
水を飲む時、いつも息を忘れて飲んでしまう。
体内に水が落ちる感覚がした。
一瞬だけ紛らわせられた気がした。
そのままの頭で、少し硬めのソファーに向かった。
横たわって少しだけ眠ろうと、目を閉じようと、もう夢を見ようとした。
眠気は確かにあったのに、眠ったら助けを逃してしまう気がした。
その恐怖で、むしろ眠ることができなくなった。
胸がとんでもなく苦しい。
すこし動悸がする。
また紛らわすために水に手を伸ばそうとした。
だが今後の事を考えるとこれ以上飲むに飲めない。
…なんでわざわざ3本も取り出してしまったんだ。
あまりのあつさにやられてしまったのか、頭がやられてしまっているようだ。
手が痺れて動かなくなってきた。
少し白くなっているようにも見えた。
温度計を見た。35℃以下だった。
だめだ。死ぬ。
思いっきり扉に体当たりをし、外に飛び出した。
もう正常な判断なんて出来ない。
あつい。
羽織わされていたコートを脱ぐ。
あつい。
上着を脱ついぐ。
あつい、
靴あつい脱あついあついぐ
あつい
あついあついあついあついあついあつい服あついあついあついを脱あついあついあつい
あついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあついあつい!!!!!!!!!!!!
全身が焼ける。爛れる。燃え上がる。焼き切れる。焦げる。黒くなる。溶ける。
足がもつれてしまった。
雲の白に倒れる。
筋肉が硬直しているのだろうか。
体が言う事を聞かない。
息ができない。
そこでようやく気がついた。
さむい。
あたり一面雪景色だった。
ほんのりやさしい雪がこの家を囲んでいた。
予想外の大雪に見舞われる前までは、自然豊かでのびのびとできる場所だった。
一緒にキャンプに来た親友が「助けを呼びに行く」と外にでてから帰ってこない。
思えばそこからより強く降ったんだっけ。
雪が降るほど冬が深まればその年は営業終了のログハウスだったため、暖炉なんて無かった。
ここに来て服を脱いでしまったことを後悔する。
びっくりするほど寒い。
矛盾脱衣と呼ばれる死亡者の一人になってしまうのか、と少し寂しくなった。
…眠よう。
作品のテーマ:「冬」と「矛盾」、「安全と言われていても怖いものは怖いよね」という小説です。
作品の拘り :「なんかよくわからないけどおかしい」と思わせたかったです…
要望 :長文感想ファンレターがほしいです
お任せ欄 :お任せ欄はお任せします
(突然質問失礼いたしました。ご対応がとても丁寧でとても助かりました。)