公開中
Ep.03 奇怪な幸運
悪いお知らせと超悪いお知らせ、どっちから聞きたいですか?
…とりあえず悪いお知らせから。
勉強と環境の変化に追われてしばらく書いてなかったので文章力が前二つと比べて明らかに落ちてます。
しばらく書けばマシになると思いますのでお時間ください。
そして超悪いお知らせ。
書き溜めていた「Clown」全編のプロット、約10万文字が消し飛びました。
大枠の設定と流れは頭に残ってますが、さっき話したブランクとプロットの復興作業と勉強、その他私生活周りも相まって全然進みません。
もちろん楽しんで、なんとか書き上げたいとは思っておりますのでしばしお待ちを…
それでは、この先も甘味ルタがお送りします。
『はーい新入生のみなさーん!アルファベット順に荷物を取って、事前に配布した寮番号まで向かってくださーい!!』
『寄り道しないこと!!押さないこと!!ちゃあんとこれだけは守ってね〜!!』
『荷物を置いたらクラスに集合〜!!』
先程までの司会とは打って変わって陽気な声が響き、それでも変わらず音の質は悪かった。
重いバッグと『荷物』を肩にかけ、列に沿って式場を出る。
降る陽光に目を細めながら、渡り廊下の石材を踏み締める。
かなり広い廊下だが、変わらず人はごった返してうるさく、また列が進むのは想像する数倍は遅かった。
「Tsubaki Kadenokouji…Tsubaki Kadenokouji…」
共通語表記の自分の名前を唱えながら、白いパネルに目を走らせる。
なかなか見つからず、見逃したかと内心焦り出した頃に、1−19、その場所に名前を見つけた。
レティ…入学初日に不審者と化していた私に声をかけて、学校まで案内してくれた恩人の名前も藁に縋るような思いで探すが、見当たらない。
だがそんなことも気にする余裕もなく、長い廊下全てを余すことなく使って張り出したクラス表が途切れる。
とうとう寮前の受付に放り出されるが、列も何もなくただごちゃごちゃになっていった。
「風紀」の腕章の人はなんとか列を保とうと声を張り上げるが、1000人弱の前ではなかなか難しいようだ。
「どうしようもないね、サボっていい?」
「…チャントしないと怒られるヨ、知らないヨ」
そんな会話を小耳に挟みつつ、人混みをかき分け自分の寮棟受付へ向かう。
確かに、見たこともないレベルの人に圧倒されはしたが、持ち前の反射神経があるのだ。苦戦するところではない。
背中の『荷物』が誰かに当たることもなくなんとか切り抜け、寮番号…R−127を目指す。
Rの寮棟の、現1年生フロア。その2階で、7番目の部屋。存外わかりやすい寮番号だ。
「ええっと、127…127………なんでこんなに貼り紙が多いんですの…」
注意書きや食堂の開く時間について、キッチンの利用時注意に部活動の宣伝…。
廊下の扉と扉の間に所狭しと貼られた貼り紙。そしてその上から「貼り紙精査 4/12 風紀委員会」の簡素な紙が、覆い隠すように貼ってあった。
「…なんですか、この「魔力を注いで料理しないでください」って貼り紙は…向こうの宣伝は…「オカルト探究部、新人募集!」……昨今のオカルトなんて大抵魔法では…??」
椿は頭がくらくらしてきた。具体的には内容も色使いも主張の強い貼り紙にだ。
ともかく、椿は興味深い貼り紙を眺めて寮の前を…通り過ぎて…。
「いけないいけない、私は寮に来たんですの。貼り紙を見に来たんじゃありませんの!」
同じ廊下の人からの怪奇の目をなるべく気にせず、自分の寮へと逆走する。
R−127の寮番号の下の所属生徒欄に、当たり前にも「|Tsubaki Kadenokouji《ツバキ・カデノコウジ》」の名前。
その更に下には…「|Letifone Robetta《レティフォーネ・ロベッタ》」。
今年の運を、全て使い果たした気分だった。
✶ ” ──────────────────────── ” ✶
「クラスがダメだったのに、寮は一緒になるのね…」
「…色々教えてくれると、ありがたいですわ…」
「ええ、全然構わないわよ」
2人は荷を解かずに置き、クラスへの道を歩きながら話す。
曰く、これから受ける教科の教科書などの受け取りをするらしい。
だから2人とも通学用のバッグを肩からかけているのだ。
人の喧騒の中で2人は別れて、それぞれ違うクラスへ向かう。
パンフレットを取り出し、改めて1年19組が2階であるのを再確認して上がっていく。
そうして開け放たれた1年19組の中へと、踏み込んでいった。