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オトナの覚悟、キラメキアクア誕生
私は|水野青海《みずのあおみ》。22歳の会社員。
とある食料品メーカーで働いている営業担当。
訳あって高卒で働いているのだけど、みんな私に優しくしてくれて助かっているわ。
辰哉「お、あおみさんお疲れ〜」
私「辰哉先輩、お疲れ様です」
この人は私の二つ年上の先輩で、|雷園辰哉《らいえんたつや》さん。みんなはたっつんって愛称で呼んでる。8歳下の妹がいるらしく、同じく高校生の妹がいる私と話が合い、時々昼ごはんや飲みに誘ってくれる。私のお気に入りの先輩なの。私も先輩もお酒が飲めないから、いつも選ぶのは定食屋だけどね。
最近は妹・|瑠奈《るな》との会話も減り、心の距離が空いていた。
いつか、ちゃんと話し合えたらいいな。
私「行ってくるわね、ドロップ」
飼ってるダックスフンドのドロップに挨拶して、いつも通り会社に向かった。
瑠奈はまだ起きてきていない。顔合わせるのも気まずいし、別にいいんだけど・・・。
いつものように混んでいる電車に乗り、いつものように職場の最寄駅で降りる。
コンビニでおにぎりを買って、食べながら会社まで歩く。
普段のルーティーンというやつね。お決まりのルートと予定だから、面白みも何もない。
私服で働ける会社で、わかりやすい制服とかはない。毎日違う服を選ばなきゃいけないのが面倒くさい。
辰哉「あおみさぁん」
私「なんです?」
辰哉「またしくってもうてん、昼ご飯一緒に行こうや・・・」
私「いいですよ。また愚痴ですか?」
辰哉「なんでもええやろ・・・」
私「はぁ・・・。私より失敗多いじゃないですか。そろそろ失敗しないように尽力してくださいよ・・・」
私は先輩と一緒に外に出て、いつも行きつけのお店に向かう。
私「先輩、いっつもあのお店行ってますよね。普段からあそこで食べてるんですか?」
辰哉「ん?せやで!唐揚げうまいやろ?」
私「そうですね、味が濃くて美味しかったです。他にも美味しいお店とかあります?」
そう聞いても、返事が返ってくることはなかった。
私「先輩?」
隣を見ると、先輩が倒れていた。
私「・・・え、先輩?」
先輩の体はモノクロだった。綺麗な金髪も灰色に染まってしまっている。
ガックリン「うひゃひゃひゃひゃひゃ!あーおもしれぇ!」
私「あ、あなたが先輩をこんなにしたの⁉︎」
ガックリン「せいかーい☆俺様はガックリン!そいつのキラメキは貰った!」
私「キラメキって何⁉︎先輩を元に戻しなさいよ!」
ガックリン「無理ぃ〜!戻したけりゃ、このダークエイリアンを倒してみろよ!」
ガックリンと名乗るやつはどこかに行ってしまった。
私「嘘・・・。先輩が、なんでこんなことに・・・」
ただ茫然としていると、赤髪の女の子が走ってきた。
赤里「フレア!お願い!」
フレア「任せてあかりちゃん!『キラメキフィールド!』」
あっという間に光の壁のようなものが現れ、あかりという女の子はその中に消えた。
私「今の・・・何?」
咄嗟に私も壁に手をつけてみた。
入れる・・・!
私「せめて、何が起こっているのか見たい」
私は覚悟を決めて、壁の中に入った。
私「・・・」
中ではあかりちゃんが怪物と戦っていた。
なぜかドロップもいる・・・。どういうことなの⁉︎
フレイム「やあっ!」
あれ・・・火、よね。なんで熱そうじゃないの?
フレイム「うわっ!」
ドンッ!
フレイム「いたた・・・」
多分あかりちゃんが押されてる・・・。助けたいけど、どうしたらいいの?
何か、何か突破口は・・・!とにかく早くあかりちゃんを守らなきゃ!
私「やめて!」
フレイム「え・・・?」
私「私は・・・そこの子みたいに、不思議な力は使えない。強くもないわ。でも!」
“守りたいものがあるなら、守るだけよ!”
無我夢中であかりちゃんの前に立ち塞がったら、突然私の目の前が輝いた。
私「・・・え?何、これ?」
これ・・・ブローチ?つけてみると、私も姿が変わっていた。これで戦える・・・?
ドロップ「あおみ!」
私「え⁉︎ドロップあんた喋れたの⁉︎」
ドロップ「お願い聞いて!あなたは知性のキラメキに選ばれた、水の魔法戦士キラメキアクアだよ!」
私も・・・魔法戦士として戦えるの?
とにかく、これであかりちゃんを助けられるかもしれないわ!
私「あかりちゃん!」
フレイム「今はあかりじゃなくて・・・フレイムって呼んで欲しいな!」
私「わかったわ。私は水野青海。アクアよ!」
フレイム「アクア、2人でこいつ倒しちゃおう!」
私「そうね!はっ!」
地面を蹴って怪物を蹴った。想像以上に手応えがあるわ。続いてフレイムが頭をぶん殴り、怪物は倒れた。
私「私、必殺技使うわ!」
フレイム「了解!」
ドロップが教えてくれた呪文を叫んでみる。
私「『マリンスプラッシュ!』」
手のひらから水の柱が出てきて、怪物を貫いた。怪物から何かキラキラしたものが出てきて、怪物は消えてしまった。終わった・・・のよね?
フレイム「これでキラメキが戻ったはずだよ!フレア、フィールド消して!」
フレア「オッケー!」
フィールドが消えると、私の姿も元の私服に戻っていた。あかりちゃんも同じだ。
私「辰哉先輩!大丈夫ですか⁉︎」
辰哉「あおみさん・・・?俺何しとった?」
一瞬、言おうか迷った。でも、見られてないのなら・・・。
私「何もなかったですよ」
目を覚ました先輩に、私は笑顔でそう言った。
魔法戦士のことは内緒・・・。それが私にとって、1番いい選択だと思ったから。
先輩に先に帰っててもらい、私はあかりちゃんと少し話した。
私「あなたも魔法戦士なのね」
あかり「そういう君もでしょ?」
私「改めまして、私は水野青海。22歳よ」
あかり「私は穂村赤里、17歳。よろしくね、あおみちゃん!」
私「こちらこそよろしく、あかりちゃん」
私たちは秘密の仲間として、固い握手を交わした。
あおみ(私服)
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キラメキアクア
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次回
雷の魔法戦士登場!