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7.コンビニ
チャイムが鳴ると、罪木は慌ただしく自分の荷物をまとめた。
部活動などがあるが、罪木には向かうべき場所があった。
それは、アルバイト先のコンビニエンスストアだ。
なぜなら、彼女にはどうしても成し遂げたい、切実な目的があったからだ。
「わ、私…!ペルソナのために…バイト、頑張りますから…!」
罪木がアルバイトをする理由は、ただ一つ。
ペルソナシリーズのゲームソフトやPS4を購入するためだ。
レジ打ち、品出し、清掃…。
慣れない接客に、最初は何度も失敗してしまった。
お客さんの顔色を窺い、心臓はバクバクと鳴り響く。
それでも、ゲームを思い浮かべると、不思議と力が湧いてきた。
『ペルソナ』のためなら、これくらい、どうってことない。
「あ、あの…お、お釣りです…!はい、どうぞ…!」
ぎこちない笑顔で接客をこなし、一日分の給料を受け取る。
そのたびに、罪木の心は少しだけ温かくなった。
このお金が、いつか自分の『ペルソナ』になる…
どんな苦労も報われる気がした。
アルバイトで得たお金は、罪木にとって、単なる金銭ではなかった。
それは、彼女が『ペルソナ』の世界で手に入れることができた、
ほんの少しの自信と、自立の証だった。
罪木は、ペルソナを召喚するために、バイトへと向かう。
コンビニのレジは、タルタロスで、シャドウと戦うための戦場だった。
そして、罪木は現実の世界で、確かに自分の『ペルソナ』を覚醒させていた。