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ep.4 初任務は危険な化け物を。
凛都とシアンがバディになり、1週間が過ぎようとしていた____
2人はなんやかんやでうまく生活をしていた。
この1週間は模擬戦闘をしたり、訓練場で銃の練習をしたりしていた。
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「緊急放送。ただいま、旧東京都渋谷区____ゲシュタルト保護区にて化け物『番号#010』が出没しました。直ちに戦闘要員は現場に向かってください。」
緊急連絡用のインカムからうるさいくらいに放送が鳴り響く。
その音で部屋にいたシアンも心配そうに見つめてくる。
凛都は腹を括り、シアンに喝入れる。
「行くぞ。仕事だ。」
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ゲシュタルト保護区に着くと、先に着いた戦闘要員たちによる避難誘導が行われていた。
「皆さん、落ち着いて避難してください。避難用シェルターはあちらです!」
先輩の明日花を見つけ、声をかける。
「明日花先輩。避難状況と詳細を。」
「よぉ、リン。住民の避難はちょうど終わった。これから、敵を迎え撃つ。って、シアン。お前も来たのか。初めてだから、お前は後方の支援に回れ。リン、お前は私と前線に出るぞ。」
どうやら、今回の任務の指揮官は明日花だろう。指示に従い、凛都は前線へ。シアンは後方へ足を運ぶ。
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凛都のいる前線。そこには、ボスと思える
化け物がいた。
世界中の悪という悪を煮詰めて、溶かしたような見た目をしたヤツがそこにいた。
臭くはないが、ものすごく不快な匂いがする。
本能的に、喰われるという感情が身体に沁み渡る。
パァン____
先陣を切ったのは明日花の銃声だった。
銃弾はヤツの頭部に掠る。
ヤツは怒り狂い、こちらに向かって一心不乱に走ってくる。
それを見かねて、2人で一斉に銃弾を浴びせる。
パァン、パーン____
頭部に脚部に腹部にあらゆるところ銃弾がに掠る。
だが、岩なのかというくらい頑丈で、一向にヤツを撃ち抜けない。
ヤツの人殺しの手が凛都を襲う。凛都は宙返りをし、間一髪で避ける。その時、制服のマントが翻る。
化け物との一進一退の攻防を繰り広げる。
ヤツの攻撃が凛都の腕に当たり、傷口から鮮血がぼたぼたと滴る。
止血している暇もなく、ヤツが情けをかけず攻撃をしてくる。
明日花が敵を引きつけている間に、凛都は自分の愛銃にマグナムを装填する。
そしてよく狙いを定める。
バァン____
勢いよく引き金を引く。
銃弾は化け物の頭部を撃ち抜く。
化け物はひくひくと痙攣をし、その場に倒れ込んだ。
やったか____そう思った。
だが、2人はこの『#010』の最大的な特徴を忘れていた。
それは...
ヤツは死んだ時の保険のために分裂を起こし、近くにいる人間に自爆を仕掛けるのだ。
それを2人はすっかり忘れていた。
「討伐お疲れ様でした。油断は禁物です。『#010』は自爆を起こします。直ちに後方に戻ってください!」
『#010』を殺せるのは最後に本体を殺した人間だけだ。
2人はすぐさま駆け出し、後方へ急いだ。
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後方の雑魚敵も片付き、シアンはみんなは休憩をしていた。
そんな中、インカムが任務の終わりを告げる。
「『#010』の討伐が完了しました。」
みんなほっとしたのも束の間、またインカムが鳴り響く。
「緊急。緊急。『#010』が分裂を起こし、こちらは急激な速度で向かっております。直ちに避難をしてください。」
その瞬間、
ギュルギュル____
と『#010』が旋回をしてこちらに向かって突っ込んでくる。
--- 危ない! ---
シアンは咄嗟に自分の体を盾にし、他のみんなを守る。
バン____!!!
シアンの身体が弾け飛ぶ。
鮮血が飛び散る。
悲鳴が聞こえる。
シアンの意識が段々と遠のいていった。