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孤独
ウォォオオオオン…
俺の声が夜の森に響く
すると…俺の近くから誰もいなくなる
「グルルルゥゥ…」
俺はただ…“トモダチ”というものが欲しいだけなんだ
一人で孤独に生きる人生は大嫌いだ
でも…
「ピュィィィイイイイ」
ある日俺はメスの鹿に出会った
「ピュィィィイイイイ」
初めてできた、俺の”トモダチ“
可愛くて優しい、俺の”トモダチ“
でも…幸せはすぐに終わりを告げる
俺はそのことを痛いほど知っていた。はずなのに…
**バーン!**
「グルゥッ…!?」
嫌な音。嫌な思い出。嫌な匂い。
---
「ガオッ!グルラァォッ!」
「ヴォンッ!グルゥッ…!」
**バーン!**
「キャヒンッ!…」
「クゥン…」
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この音を聞いた時、俺は全速力で走り出した
速く…もっと…もっと速くッ…!
でも…遅かった
「コイツの毛皮、いくらで売れるかな?w」
「珍しい鹿の毛皮だからな…結構高くつくんじゃないか?w」
その時、激しい憤りを覚えた俺は…
いつのまにか目の前にいるやつを喰い殺していた
ああ、やっぱり俺は孤独なのか…
俺の唯一の友達のキミも、今は冷たく、目もどんよりと濁っている
俺は幸せになってはいけない
せめて森の奥でキミの元へ逝く準備を進めるよ
ウォォオオオオン…