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異世界から帰ってきたら、最強になったことに気づいてしまいました。第二章『最後の晩餐』
NOVEL CAKE ライト版にて転載。
初めての人でも、第二章からでも楽しめます…!!(多分…)
第一章も短編カフェに投稿してありますが、ちゃんとしたストーリーじゃないので、第二章からでも楽しめるということです(๑>◡<๑)
※あとから気がついたのですが、四話と五話のタイトルが一緒ということに気づきました…。まあいいでしょう。気にせずに…。
あと、ところどころ誤字がありましたので修正して投稿しております。
NOVEL CAKEの方ものちのち…
文字数24000ぐらいあって普通にこんだけ書いたんだって…怖い…自分が怖い…(((
本編どうぞ。
【第一話『美味』】
今日も究極の美味を探し続ける少女がいた。その少女は、究極の美味と言われる食べ物が食べたくて仕方がなかった。
少女は究極の美味をどうしても食べたくて、食べたくて、究極の美味を食べるためならば、全てを捨てても構わないと思っていた。
そもそも究極の美味とは何なのだ?少女は、頭を抱え、考え始めた。
そもそも究極の美味なんてないのでは??
少女はまた、究極の美味を探し始めた。
---
火曜日、俺は学校から帰ってきた後、友達の『|裕太《ゆうた》』に、電話をかけた。
プルルルル…
裕太『もしもし、あ、海渡!どうしたんだ?』
海渡『明日さ、ゲリラ豪雨らしい、どうする?』
裕太『何が?』
海渡『みんなと遊ぶって約束、したでしょ?』
裕太『あ、ああ、そうだったな!!忘れてたw』
なんでだよと思うが、人にもそういうことがあるんだなとは思った。
そして裕太がまた話す。
裕太『まあいいんじゃない?こっちで遊んでたらやばい状態になってもさ、こっちで泊まればいいよ。今週は、親誰もいないから。』
海渡『わかった。』
そう言って、電話を切った。
俺は冷蔵庫にあった封をきっていないコーラの封をきり、飲んだ。一気飲みをし、ラベルの下まで飲み続けた。まだ少しだけ、コーラは残っている。
窓を見ると雨が降っている。テレビをつけてdボタンを押し、天気予報を見る。一週間の天気は、綺麗に雨マークが横に並んでいた。
一日中雨だとほんとにつまんない。傘をさして散歩も、結構めんどくさい。だったら家にいたほうがマシ。でも、暇だからやることはない。
ソファーに座って、全く興味もないテレビ番組を見る。
課題をやるか…
と思うと、妹の優が帰ってきた。今日はやけに遅かった。
海渡『遅かったね優、どうしたの?』
優『忘れ物、取りに行ってたら近所のおばちゃんに捕まっちゃってさあ〜、雨だからおばちゃんの家にも入らせてもらって、話続いちゃったぁ〜。』
相変わらずの近所のおばちゃんだな、と思う。
窓を眺めていると、優がこういった。
優『…明日、遊びに行くの?』
海渡『ああ。』
優『《《夜9時に、他人の家にいないように。》》』
優『荵晄凾縺ォ縺ッ螳カ縺ァ蟇昴k繧医≧縺ォ』
海渡『…!?』
海渡『お前、今なんて…』
優『ん?何?何も言ってないけど。』
何だったんだ…?
---
【第二話『夜9時』】
水曜日、俺は予定通り、友達の裕太の家に行った。土砂降りの雨で、家族にもやめておいた方がいいとは言われたが、せっかく5年も待ったんだ。俺は勿論裕太の家に行った。
思い切ってドアを開けてしまった。裕太の家の玄関の鍵は空いていた。玄関の奥には、裕太が手を振って待っていた。
裕太『やあ!よく来てくれたな、ありがとう。もうみんなもいるぜ!』
そう言って、裕太は部屋の方へ走っていった。
俺も家にあがった。
裕太の家はとても綺麗に整頓されてる。もちろん裕太がやったのではなく、親がやったことだろう。あの裕太がやるわけがない。
俺以外の参加する人たちがもう集まっていた。そして、裕太が喋り始めた。
裕太『よし、全員集まったな。じゃあ始めるぞ!』
まず始めたのは、トランプ。七並べというもので遊んだ。
次に人生ゲーム、その次にUNO?
カードゲームを沢山した。遊びに夢中になっていたため、時計を見てみると、既に時間は21時をすぎそうなところだった。
…そういえば、妹の優がこう言っていたな、『夜9時に、他人の家にいないように。』と。そして、その言葉を言った後に、"異世界語"を言っていた。
何故だ?何故、異世界に行ったことない、そもそも異世界を知らないであろう優が、何故異世界語を喋る?
よく考えてみると、わけがわからなかった。
みんなと同じく遊んでいた『あかり』が、時計に指を差して、こう言った。
あかり『もう9時になるじゃない、そろそろ帰る?』
裕太『けれど、土砂降りだぜ?帰れるか?』
あかり『えぇ…土砂降り?』
そして遊んでいた『|颯太《そうた》』と、『|健二《けんじ》』が手を止め、帰ろうとした。
しかし、それを裕太が止めた。
裕太『やっぱりここで止まっていけよ。土砂降りで帰っても、親に怒られるだけだろ。』
健二『まあ…そうだな。泊まって行った方が、きっといいと思う。わかった、俺は泊まる。』
颯太『んじゃ、僕も!』
あかり『お言葉に甘えて、私もそうする。海渡は?』
家に帰りたいが、土砂降りで帰るのもあんまりだ。
海渡『俺も泊まるよ。ありがとう裕太。』
裕太『へへ。まあ今日は親が出張だから、家には俺しかいなかったし、賑やかになるぜえ?』
健二『ひとりぼっちが嫌なだけだったんじゃないのか?』
裕太『なわけねえええ!』
みんなが笑っていると、俺は少し不安になった。夜9時までに帰れ…あの言葉は忘れられなかった。
---
【第三話『あの言葉』】
寝る準備をしていると、いろいろとあの言葉について考えてしまった。
優はもしかして何者かに言わされている…?でも異世界から元の世界にわざわざ来て、優に言わせる魔法をかけるって、少し面倒じゃないか…?とは言っても、異世界から言わせるっていうのも、かなり難しいことだ。"上級魔物"や、"上級者"しか使えないのではないか…。
…上級魔物、上級者の話はまだだったな。
まず上級魔物について話す。基本的には、異世界の化物、モンスターの中で特に強い魔物だ。魔物は、初級魔物、中級魔物、そして上級魔物。ざっくり分けられているが、中級魔物と上級魔物は差が大幅に開いている。だから上級魔物はあまりいなく、倒したらラッキー程度にいる。
上級者は、魔物を倒す者。これも初級者、中級者、上級者とわかれている。俺は異世界生まれじゃないし、なんならこの世界で生まれた。だから、初級にも、中級にも、上級にも入れない。ただの人間ってわけだ。異世界には人間はいないけどなw
でも俺はレベル的には…中級者程度だろう。手を進めていると、急に裕太と颯太が枕投げを始めた。それにあかりがため息をつく。そして健二が止めてくれた。はあ、しっかりやれよ、と思った。
そして布団の準備ができると、みんなが布団の中に入り始めた。
あかり『そろそろ寝ないとね、もう9時半。寝ないと。』
颯太『ちょっと待ってよ。親に連絡しないと、迷惑かけちゃうよ。』
裕太『それなら安心して。もう全員の親にした。』
颯太『よかった〜、ありがと。』
みんなが喋っている。俺は枕を抱きしめる。ああ、いつもこんなふうでいいのになと思う。布団はふかふかだ。失礼だが、家とは違う。
でもそんな時だった。楽しかった時は、あっという間に過ぎた。
【こっちへおいで。】
!?
声がした。今、声がした。
だが、みんなは気にしてないのか、聞こえてないのか、まだ喋っている。
そして裕太が俺の異変に気づいたのか、話しかけてくる。
裕太『おい海渡。どうした?そんな驚いた表情してさ。』
裕太は完全に気がついていなさそうだ。
海渡『ちょっとお手洗い行ってくる。』
裕太『オッケー』
おかしい、何かがおかしい。
【こっちだよ、こっち。】
っ…?また声だ。
【ほら、玄関の前においで。ねえ。】
体が吸い込まれるように、いや、行きたかったのかもしれない、俺は玄関の前に行った。
【君が、約束を破ったせいだよ。】
その瞬間、玄関のドアから複数の手が伸び、俺を掴んだ。
俺はすぐに手を切った。俺を掴んだ手は離れたが、切られた手は徐々に回復していく。こいつ、この世界の奴ではないな?
まだみんなは気づいていない。よし、騒ぎにならないようにさっさと対処しなければ…
【君は、異世界で魔王を倒した人間だねぇ?】
海渡『…は…?』
なんで知っている…!?だが、そういう発言をするということは、すぐに異世界にいる魔物か生き物ということがわかった。喋れる魔物だって沢山いる。勿論、この世界の言葉だって、覚えればあとは忘れない。魔物は記憶力が高い。
【今日を、君の最期にしてあげるよ。】
随分とやるきだな。相手は手を伸ばしてきた。
相手の手は厄介だ。切っても切っても回復できるということがさっき分かった。だから、もう二度と手を動かせないように、止める。
海渡『|施錠《ロック》』
俺は生活魔法の施錠で、相手の手を使えないようにした。
【…はっ、酷いじゃないか。】
海渡『酷いのはお前だ。』
【よく聞け、今アリルエル様は、至高の食物を探している。究極の美味、だっけなあ。あたしはそれを探してるんだよっ!】
アリルエルという方は、上級者の一人だ。最強とは言えないが、上級者のため、強いだろう。勿論上級者も少ない。
【あたしが見つければ、魔物でも、究極の美味を見つけたら、許される!あたしはとにかく上級者に認められて、上級者の味方になり…いつかは…はっはっ。】
やばいこと企んでそうだ。だがなんでここを当てにしたのか。くだらん。
海渡『…そんな上級者を困らせようとする君には、魔法をかける。』
海渡『魔物で生まれて悪かったね。』
海渡『|地獄への招待状《ヘルズクレスト》』
---
【第四話『上級者の呪い』】
海渡『|地獄への招待状《ヘルズクレスト》』
俺が放った魔法は、地獄への招待状。文字通りだ。こいつを地獄に招待した。
【っ…よくもこのっ…!】
海渡『君は手を封印されているが、どうやって攻撃するのかな?どうせ遠隔だし、俺の近くにもいない君が、どうやって攻撃するか。』
【舐めるな舐めるな!あたしは上級魔物だぞっ!!えやっ!!】
上級魔物は、手ではなく、足で攻撃してきた。さっきから手とか足とか言っているが、玄関のドアに生えているだけで、実物の上級魔物はいない。厄介だなぁ。
海渡『|施錠《ロック》』
勿論、足も施錠した。
【くそっ、くそっ!!上級者でもないお前が何故あたしを…!】
海渡『俺は上級者レベルじゃない。俺は強くない。でも、あなたが上級魔物レベルぐらいじゃなかったってことになるんじゃないかな?自称上級魔物さん。』
【な…!…こいつに構っても仕方ない。お前なら確かに攻撃できるが、上級魔物の怖さも知らない、あの子供の人間に攻撃したら、どうなるだろうなぁ??はははっ!!】
海渡『ふ〜ん…』
正直動揺はしていなかったが、攻撃されたら俺が一から説明とかめんどくさくないか???
【じゃあ攻撃してこよw、その手があったか。】
海渡『じゃあその前に倒すのがいいんじゃないか?君は今地獄にいるから、倒すのも簡単。地獄の悪魔。やっちゃって。』
【え?え?ぎゃあああああ!!】
そして声が途切れた。聞こえなくなった。
海渡『ラッキー。』
地獄で楽しく暮らしてるかな。想像してるほど苦笑いする。
これで一安心だと思っていた。黒い影が、みんながいる寝室の方へ動いている。
黒い影が動く?全身が黒かった。今動いていたのは生き物だ。そして、黒い生き物なんてこの世界にいることは聞いたことがない、ということは…
異世界の生き物?
俺は寝室に急いだ。生き物にもしかしたら襲われるのでは?とも思っていたし、さっき寝室から出る理由をお手洗いと言ってしまった。少し遅いと感じているだろう、違和感を感じさせたくはない、後から面倒だからね。
俺は寝室に行った。黒い生き物は寝室の中にいた。みんなは黒い生き物を見つめている。そして、裕太が俺に話しかけた。
裕太『な、なあ、これ海渡の友達…?』
海渡『違う。』
あかり『え、なに?あれ…!』
黒い生き物は、あかりに近づく。
健二『なっ、あかりさん!!すみません!あかりさんに、近づかないでください!』
黒い生き物は、健二の話を一切聞かず、あかりに近づいた。
あかり『ぇ…なんなの…!?』
黒い生き物『キミはイラナイ子。』
黒い生き物が喋った。明らかに違和感があった。
黒い生き物は、異世界語を喋っている。俺が今翻訳したが、少しやばそうだ。
俺は魔法を使った。勿論黒い生き物に。
海渡『クリーン』
クリーンの魔法の効果は、清潔な服装にすること。でもそれだけじゃない。
綺麗にすること、も含まれる。
黒い生き物の黒いものが、溶けていく。
そして黒いものが完全に溶け、顔が見えた。
海渡『ん…?アリルエル・クラレス…!?』
異世界の上級者の一人。アリルエル・クラレスだった。
アリルエル『究極の美味はドコダ。』
海渡『|索敵《サーチ》』
俺は魔法を使う。索敵の効果は、まず相手を知ることが可能だ。まあさらに高度なことをすると、半径50mの範囲内の中に、武器を持っている人が何人か、そして種類などがわかる。
今回は、相手を知ることだけを使う。高度なことは今はしない。相手の個人情報や今の機嫌、病気を患っているか、色々わかる。
……アリルエル様は、"呪い"がかかっている。
---
【第五話『上級者の呪い』】
……アリルエル様は、"呪い"がかかっている。
正直信じ難いところだが、魔法を使ったら、分かった。
元の世界に戻る前に、異世界で上級者が洗脳とかどうのこうのとかと騒いでいたのを思い出した。お陰で上級者ですら、呪いがかかった上級者が処分され、上級者の数も勿論減ったようだ。
異世界ではそれが問題になっており、現在、上級者たちに呪いをかけた黒幕を探してるそうだ。
さっきの手や足で攻撃してきた上級魔物は、恐らくアリルエルに気に入られたくて命令聞いただけだと思われる。上級魔物が上級者にすぐに気に入られるわけがない。俺は少し呆れた。
魔法でさっさと攻撃して倒したいところだが、異世界を知っている者には、ルールがある。その一つが、上級者を殺してはいけないということ。上級者は少ない人数のため、とても貴重な人材だ。殺してしまったら、上級者は減る。しかし、呪いがかかった上級者は処分された。恐らくまだ呪いの解き方が分からないため、このまま放っておいたら、呪いがかかった上級者は、もはや上級者ではなくなる、信頼も失う。そうなる前に、処分したのだろう。
でもアリルエル様が何故この世界に来たのかが分からない。逃げてきたのか、意図的にこちらへきたのか、実に考え深いものだ。
あかり『ね、ねえ、海渡くん、この人知ってるの…?』
やばいな、そろそろみんなを移動させないと。
海渡『|瞬間移動《ワープ》』
俺は瞬間移動という魔法を使い、俺以外のみんなを移動させた。みんなは俺が作った白い空間にいる。勿論出口もない。上級者を異世界へ送るまで大人しく待っててもらえたら良いのだが…
アリルエル『ジャマなヤツがイナクナッテヨカッタです。』
喋り方も何かおかしいな…
アリルエル『究極の美味をシラナイか?』
海渡『究極の美味?何のことだろうね。ごめんだが、俺は知らないよアリルエル様。』
アリルエル『…ソウカ。』
アリルエル『何故、ワタシの名をシッテイルのか?』
海渡『異世界に行ったことがある人間ですよ。あ、俺は草野海渡と申します。』
普通に喋れている、もしかしてまだ自身の意識があるのか…?今はただの会話タイム…?
海渡『究極の美味とはなんですか?』
アリルエル『異世界最強の美味シイ食物ダソうだ。』
聞いたこともない言葉を少し思い出してみようとしたが、聞いたことない。一つも耳にしたことがなかった。
アリルエル『ココは…地球か。』
海渡『…あなたは今呪いにかかっていますが、自我はお有りで?』
アリルエル『アア、アルが、モウスグで壊れチャイソウだ。アイツに、ノロイをカケラレた。』
アリルエル『ワタシを異世界にツレテイッテクレ。』
何がどうなっている…?
まだ自我がある…?アイツとは…?
海渡『異世界に…でもどうやって行こうか…』
元の世界に戻れたのは全て"女神"のおかげだから、異世界に行くには、女神を呼ばないといけなくなる。だが女神を呼ぶと少々厄介なことが…
まあ上級者からの命令だ。従わないと俺がボコボコにされる。
海渡『女神〜。』
女神『海渡さまああああああああああああ!!!』
は。
---
【第六話『女神ちゃん』】
女神『海渡さまああああああああああああ!!!』
は。
女神が異空間から、この世界に俺の名前を叫んでやってきた。
女神『なんで元の世界で魔法をどんどん使ってるんですか!?』
海渡『いやぁ、緊急だし?てか、お願いあるんだけd…』
女神『魔法をこの世界では簡単に使ってはいけません!!女神ちゃん許しませんよっ!』
そう言って、女神は魔法を使いはじめた。
女神『記憶改変!』
記憶改変。それは、指定の人物の記憶を変える魔法のことだ。女神は上級者並みの魔法が使え、なんなら上級者になってもいいんじゃないと周りからも言われているが、女神は女神としての仕事がある、上級者もなんらかの役割があるから、掛け持ちもちょっとキツイとは女神が言っていた。
女神『海渡様の魔法を見てしまった全ての人物の記憶から、海渡様が魔法を使ったことを記憶上から消しますっ!いいですね海渡様?』
海渡『まあいいけど。』
女神『ふえっ!?』
女神は驚いた様子でこちらを見る。
そして女神は俺に近づいて話しはじめた。
女神『け、けれど海渡様が倒してくれたってことわすれちゃうんですよ!?つまり、ヒーローじゃなくなるってことですよっ!?あんなにカッコいい海渡様なのに…!?』
海渡『いや俺は別に…』
女神が記憶改変してるのに急にやめようよ感覚で来るのがちょっと笑ってしまった。まあ女神らしいとは思う。
結局、女神が記憶改変をした。
今後、元の世界で魔法を使ったら、女神に怒られるんだろうなと思うが、正直なところ、魔法があれば便利だし、本当に使いたい時もあるだろう、てか使いたいんだ。
異世界に行っていたため、もはや人間の普通の生活がわからなくなってしまったのか、魔法がない生活はおかしいと思うようになった。
そして女神が俺に話しかけた。
女神『よしっ…で、お願いがあると言っていましたが、なんでしょうか…?』
海渡『ああ、あっちにアリルエル様がいるでしょ?異世界に連れて行ってほしいんだけど。』
女神『…ん??え、アリルエル様!?無理無理無理無理、異世界に連れて行ったら逆に捕まっちゃう!』
海渡『え?』
そう言って、女神は俺にポスターを見せた。ポスターには、【アリルエル・クラレス、見つかり次第処刑されることに決定。】と書いてある。
確かに、この状態だと異世界に行ってしまったら捕まってしまう。でも、いずれこの世界にいることがわかってしまうだろう…、じゃあそうしたら俺らも処刑されるのでは…
初級者や中級者は何か軽い罪を犯しても、処刑される。上級者とは違って、弱いからだ。俺はまあ中級者あたり…?かな(俺が考えただけだけどね。)に入るから、処刑される確率はかなり高い。
海渡『でもこの世界で預かっててもバレたら最悪じゃん…。俺ら処刑されるよ?』
女神『いやいは、海渡様はお強い方ですからっ!』
いや全然なんだけど…と思いつつも、なぜか少し照れる。そして女神が話しはじめた。
女神『いい考えがあります!』
女神『海渡様は人間なので、異世界を知らないふりしとけばなんとかなるんじゃないんですか!?』
女神『異世界のルールには、『異世界を知らない者は殺さない。』というルールがありますね、てことは知らないふりしとけばきっと見逃してくれますよ!』
ということで、アリルエル様に事情を話した結果、アリルエル様もこの世界に住むことになった。
でも、まだ呪いはかかったままだ。
---
【第七話『呪いの解き方』】
結局は呪いを解かなければいけない。
アリルエル様は、俺の家族と一緒に生活することになった。凄く礼儀が正しく、お手伝いする率もかなり高い、こんな子が家にいてほしいなとも母が小声で言ったぐらいだ。
…俺はアリルエル様が手伝いをしている間、呪いの解き方を調べていた。どんな呪いかもまだよくわかっていないが、一か八かでやるしかない、呪いをこのままにしたら危なさそう、そんな危機感を感じた。
だが、あまりよくわからない。呪いを消滅させる方法がわからない、とは言っても呪いを解くなんてそう簡単ではないのだ。
女神も異世界の様子を見ていると言った。悪い情報が入ったらお知らせすると言っている、あれから何日かたったのだが、特に情報はまだ届いていない…
---
次の日、俺は学校から帰ってきた後、家で留守番をしているアリルエル様に話しかけた。勿論呪いの件だ。まだ呪いの解き方はいまだにわかっていないが、逆にそんなに考えなくてもいいのかもしれない、これは魔法でどうにかなる、そう思った。
海渡『アリルエル様、…呪いを解くのを…やってみたいだけなんですけど…』
アリルエル『イイよ、アリガトウ。』
礼を言うにはまだ早いのだが…と思いつつも、俺は魔法を使いはじめた。
海渡『除去、指定…呪い。』
俺は除去という魔法を使った。本当は物を消したりすることで使われるのが多い。そして除去という魔法には、ウイルスも消してしまうこともできる、だから呪いもできるのでは…?と思った。
アリルエル『……はぁ……治った…?治ったのか…?』
え、できた?…できちゃうんだ?
海渡『女神!呪い解けた!』
女神『…やってきました女神ちゃん…って、それは本当ですか!?海渡様さいきょー!』
女神はめちゃ喜んでいる、そしてアリルエル様が頭を下げた。
アリルエル『心より感謝いたします。このことは異世界に行っても忘れることはないでしょう…!』
海渡『いや忘れていいですよ。』
女神『では、アリルエル様!異世界へ!』
アリルエルは異世界に帰った。
そしてアリルエル様が異世界に行ってから数日後だった、
パーティーの招待状____
俺宛に届いた手紙、それはパーティーの招待状だった。
---
【八話『異世界でのパーティー』】
異世界、俺は今、異世界にいる。
先日パーティーの招待状が俺宛に届いた。内容的に、アリルエル様を助けてもらったお礼だという。そんなにやらなくてもいいけどなとは思ったが、女神に聞くと、どうやら異世界では普通だそう。あまり感謝されることなんて異世界ではしたことなかったから、パーティーなんて異世界では参加したことなかった。
女神に了承をもらえ、異世界に行く。招待状には勿論住所や電話番号などが書かれていて、住所と異世界のマップを頼りにパーティーの会場へと行った。異世界の広さはものすごく広い。元の世界みたいに、国や島国などに分かれてはいないが、その代わり『エリア』と言うものが存在する。
例えば、山で、雪が降りやすいところを『雪山エリア』、魔物が多くいるエリアを『魔物通常生息エリア』という。
異世界にも住所があるが、あまり役には立たない。基本数多くのエリアに分かれているため、エリアで示した方が楽に行ける。招待状にも、もちろんエリアが書かれていた。そのエリアは、『公共施設エリア』だ。
パーティーの会場は、とても大きな建物だ。言えば城か?というか、城なんて公共施設ではないだろう、城は常に上級者の手下が管理しており、中級者や初級者が簡単に入れる場所ではない。強いて言えば、中級者がちょっと入れるぐらいだ。
公共施設エリアとか言ってるくせに、公共施設じゃないものの方が多くあるのだが、名前詐欺じゃないか…
まあまあいろいろと説明をしていたら、いつのまにか会場へとついていた。会場はとても明るく、中は綺麗な方ばかりだった。それに比べて、俺は普通のスーツだし、中にいる方たちのキラッキラって感じじゃない。異世界の生き物で、スーツを着る人なんてほとんど見ないから、実質人間らしい格好って感じだった。
そして___
クラシコ『ようこそ、草野海渡様。本日は誠にありがとうございます。』
海渡『いえいえ。』
上級者のクラシコ様(クラシコ・エルアード)にご挨拶をされた。
このパーティーは上級者主催。でもあたりを見渡しても、見れる限りでは上級者の人数は少ない。(正確に言うと、上級者の全人数は15名。今海渡が見つけれた人数は4人。)
そして俺は城の中へと入った。
---
【第九話『異世界でのパーティー②】
城の中は、とてもキラキラしていて、眩しかった。輝いていたシャンデリアが、とても美しかった。
夜のため、暗いから中がとてもきれいに見えた。
クラシコ様がさっき俺にご挨拶をした。上級者から挨拶をしに来ることはあまりないが、クラシコ様は例外だ。クラシコ様は、生き物に興味を持っておられるのか、よく初級者でも中級者にも話しかけてくる。所謂…ファンサービス的な。明るい性格に、よく生き物と話をされるところから、人気度がとても高い。順位付けすると、2位ぐらい…?
クラシコ様の執事が俺を、指定された席へと誘導された。豪華な椅子や机、夢みたいだった。
そして、クラシコ様が、城のメインホールの一番高い場所へと立った。中心には高い台みたいなものがあり、それにクラシコ様がいる。そしてクラシコ様が左手で持っていたマイクを口に近づける。そして、話を始めた。
クラシコ『…本日は、お集まりいただき、誠にありがとうございます。わたくし、クラシコ・エルアードでございます。』
クラシコ様が名乗った後に、大勢の方々で作られた盛大な拍手がメインホールに響き渡った。その拍手は、いつ鳴り止むのか分からないぐらいだった。
クラシコ『ありがとうございます。』
クラシコ様が喋ると、拍手は止まった。
クラシコ『皆様は、大変素晴らしいことを成功させたでしょう。今夜は盛大に、盛り上げましょう!』
そしてまた盛大な拍手が送られる。クラシコ様は台を降りて、このメインホールから立ち去った。
そして、ウェイターやウェイトレス、まとめていうとホールスタッフという方たちが料理を持ってきた。あまり食べられないであろう、見た目から見ても絶品料理としか言えない。一度こんな城に似た城に入って食事をしたことがあった。その時も美味い料理ばかりだった。
料理を食べていると、やはり周りからは『美味しい』や『美味い』という声が聞こえて来る。俺も表現しにくいのだが、一言で言うと、美味しかった。
『バン!!』
明かりが消えた。暗くなった。停電か?と思ったが、異世界はそんなことあまり起きない、異世界の生き物は停電というものも知らないぐらいだ。
だがすぐに明かりがまたつく。そして、中央にある高い台に、上級者、『アルカナ・ディスエディア』が立っていた。
そして、大きな声で喋り出した。
アルカナ『ここに集まった諸君、残念ながらお別れの時間だ。』
なんのことだ?俺も少し戸惑ったが、なんとなくわかった気がした。
アルカナ様の眼球を見た、よく見えた席だった、見ると、眼球の中に絵のような目の模様みたいなものが描かれていた。アルカナ様はそんなおしゃれみたいなことはしていない。
……他のウェイターなどもそうだ…。集団おしゃれなどしないだろう。
…洗脳されている…?アリルエル様の時の洗脳の時は、目は普段の目、普通の目だった、が今回は違う。
これは罠だったのかもしれない。
---
【第十話『二択』】
アルカナ『ここに集まった諸君、残念ながらお別れの時間だ。』
アルカナ様から発せられた言葉、受け止めきれなかった。いや、受け止められなかったかもしれない。
全体がざわついている。だが、誰もアルカナ様に反対や文句などは言わなかった。何故って、そりゃあそうだ。誰もアルカナ様に勝てないのだ。指一本も近づけれない、流石上級者だとは思う。
そして、アルカナ様は右手の人差し指と中指を同時に立て、大きな声で話し始めた。
アルカナ『だが、お別れの時間を避けるには、たった一つの方法がある。よく聞きたまえ。』
アルカナ『究極の美味、それを見つけたものは避けれることが可能だ。だがしかし、違ったものを持ってきた場合、その瞬間、お別れの時間となる。じゃあ聞く、今言った方法をやらない人はいないか?』
………スッ‥
ただ一人、この大勢の中で手を挙げた人がいた。真っ直ぐ上に上がった手が、みんなの視線が奪う。
アルカナ『はっ…選ばなかった…?選ばなかったということは、この上級者、アルカナ・ディスエディア様に逆らうということになるぞ…?』
また周りがざわつく、アルカナ様を逆らったことに驚いているのだろう。
アルカナ『…まあ君が決めた道だ。反対はしないよ。でもわたしは言ったであろう、さっき言った方法以外は、死ぬ…お別れの時間となる。…じゃあ、また生まれ変わってから会おu…』
???『まだ死ぬとは決まってないですよね、アルカナ様。』
アルカナ『…。話の途中で話を始めるとは一体…。…まあいい。ここに呼ばれた奴がわたしに勝てるわけない。』
???『本当に、上級者って決めつけが早いのですね。』
アルカナ『な…?』
そう、手を上げた人は…
海渡『確かに俺はアルカナ様より弱いと思いますよ、でも弱いということだけじゃ、まだ負けたということにはならない。』
草野海渡、俺だった。
---
【第十一話『上級者と。』】
海渡『確かに俺はアルカナ様より弱いと思いますよ、でも弱いということだけじゃ、まだ負けたということにはならない。』
草野海渡、俺だった。
アルカナ「…ふっ、ふ…ははっ…」
アルカナ「上級者に喧嘩を売るとは…上等だな。お前、名は。』
海渡『草野海渡。』
アルカナ「…人間っぽい名前だなぁ。そういえば、服装も人間らしい。」
アルカナ様はそういうと、俺の服装をジロジロと見始めた。
アルカナ『…スーツだっけなぁ。相変わらず変な服だ。お前人間か、どうして異世界に…」
海渡『異世界に来てしまったただの人間ですよ。』
アルカナ『ふ〜ん…でも人間が俺を逆らうとは。人間なんて、異世界の生き物より遥かに強さが違う。人間は初級者より弱い。それなのに逆らうとは一体何事。』
海渡『さあ、何事でしょうね。』
アルカナ『人間にはこれで十分だ、撃て。』
アルカナ様の周りにいた重そうな服を着た生き物たちが一斉に銃を持って俺に攻撃してきた。勿論目もアルカナ様と同じ目をしていた、おかしかった。
だが銃を撃たれても俺は無傷だった。前にもこんなことしたね、銃弾をキャッチしてるんだ。
どんどん撃っているが、銃弾の無駄とは思う。アルカナ様は舌打ちを一回し、喋り始めた。
アルカナ『どうやら、草野海渡、ただの人間ではなさそうだ。』
アルカナ『人不足だ、増やせ。』
そしてどんどんと銃を撃ってくる人が集まってきた。段々と増えていき、キャッチできないほどの数、銃弾がどんどん撃たれてきた。
海渡『面倒くさいなぁ。オーバートレイダー』
俺は魔法、オーバートレイダーを使った。オーバートレイダーとは、肉体に受けたダメージを跳ね返すことができるが、自分に対しての障壁にすることも可能とする。とにかく使いやすい魔法なのだ。
アルカナ『人間が魔法を…?…やはり…』
アルカナ『ワイバーン、あいつを消滅させろ。』
アルカナ様は、ワイバーンを召喚させた。怪物召喚魔法だ。ワイバーンを召喚させる魔法はものすごくレベルが高く、扱いにくいがワイバーンが強く、使える人は使っている魔法だ。
アルカナ『これでもまだまだだ、無理だったら大人しく究極の美味をさがすんだ。今この現場を見てる奴らと一緒にな!!』
海渡『う〜ん…ワイバーンか〜…。ならこれがいい。ヘルバーン召喚。』
ヘルバーンとは、俺の大親友だ。家族とも言えるぐらい生活している仲間だ。元々は捨てられていたヘルバーンを拾って成長させたのがきっかけ。俺が戦っているのをヘルバーンが見ていて、ヘルバーンも戦いたいとか言って、今は強くなってる、もはや俺よりも。
アルカナ『(ヘルバーン…!?)』
海渡『俺の家族、ヘルバーンだよ。』
---
【第十二話『風を呼ぼう』】
海渡『俺の家族、ヘルバーンだよ。』
ヘルバーンは、アルカナ様とその仲間、そしてワイバーンに睨んだ。
アルカナ『…ヘルバーン…?確かにその姿はヘルバーンだ。だがしかし、ヘルバーンはもう数百年前、上級者の手で絶滅させたはずだが…!』
そう、上級者にとってヘルバーンという名前を呼ぶのも嫌になるだろう。昔、上級者を最も困らせていた生き物だった。上級者から見てヘルバーンは…化物とも言える。絶滅させたと言っているが、それはただの偏見だ。上級者の力で殺されたヘルバーンの子孫は沢山いた、その中のヘルバーンの一匹が俺のヘルバーンだろう。
アルカナ『…ワイバーン、目の前にいるヘルバーンを消滅させろ。』
ワイバーンはヘルバーンに大きな炎をヘルバーンに投げた、投げたというよりは当てようとしたかな、勿論ヘルバーンは避けた。
アルカナ『ワイバーン!ヘルバーンを…一つ残らず跡形もなく燃やし尽くせ!!』
ワイバーンは火の輪を何度も何度も出した、ヘルバーンにむけて。だが、ワイバーンは数多の火の輪を出したが、ヘルバーンは無傷だった。
アルカナ『…!?』
海渡『俺よりも強いヘルバーンが、ワイバーンの攻撃なんて当たるわけないでしょ。』
海渡『ヘルバーン、風を呼ぼう。』
ヘルバーンは、この室内で風を作り上げ、ワイバーンに攻撃した。強い風が、この城全体を襲った。
アルカナ『ワイバーン!避けろ…っ!』
攻撃範囲があまりにも広すぎたため、ワイバーンは避けきれなかった。そして攻撃が当たったワイバーンは、消えた、消滅した。
アルカナ『は…っ…!?』
海渡『ワイバーン、消滅しちゃったね。』
俺はそう言いながらアルカナ様に近づくと、アルカナ様の近くにいた銃を持った人々が、俺に銃を撃ち始めた。
ムキになったのか、アルカナ様に近づかせることはアルカナ様によって許されることではなかったのか、とにかく睨みながら撃ってきた。
海渡『オーバートレイダー、しつこいよ?君たち。』
そんなことを言ってもまだ撃ってくる。銃声がうるさくて聞こえてなかったのか?そういえば、五月蠅いな。
海渡『ああ、銃声五月蠅いなぁ。ロック。』
魔法をかけた瞬間、銃声は一斉に静まった。いや、銃の引き金を引いても撃てなかったのだ、誰も。
『ロック』という魔法は指定のモノに制限をかけることだ。言葉には発していないが、俺が今指定したモノは、銃だ。彼らはもう一生銃を使えない。制限を解除することもできるが、まあこんなことをした生き物たちだ、勿論しない。
何かに制限をかける、それがロック。
海渡『…銃はもう打てなくなった、さあどうする?』
アルカナ『…仕方がない、…暴力で解決しないか?…はは、お前ら!!選択肢が増えたぞ!!この草野海渡っていう人間を殺したら、究極の美味を探さずに生き残れる、さあ返事は。』
アルカナ『返事は??"ブレインウォッシング"』
全員(海渡以外)『あなたの仰せのままに。』
ブレインウォッシング、彼の魔法が全てを狂わせている…
---
【第十三話『君は一体』】
アルカナ『返事は??"ブレインウォッシング"』
全員(海渡以外)『あなたの仰せのままに。』
…ん?周りにいる人の様子が何かおかしい気がした。全員が命令に従う?そんなことは…
…!ブレインウォッシングって…!!…ブレインウォッシングは、簡単にいると洗脳だ。アルカナ様は俺以外のこの城にいる全ての人を洗脳させた。もしかして、アリルエル様の時も…?洗脳がまた別のものだと思っていた。ブレインウォッシングで約100人以上の生き物を操れるなんて、流石上級者。
てことは、俺はこの約100人以上の生き物から殺されるということになるのか?随分厄介だなぁ、しかもこの中にも中級者あたりはいるだろう。そう簡単なことじゃない。はあ…厄介ごとに巻き込まれたなぁ。
アルカナ『みんな了承したぞ?さあ、もう逃げ場はない。』
海渡『洗脳したんでしょ、みんな。』
アルカナ『…よくわかったな草野海渡、流石だ。この何百人もいる生き物たちを全て洗脳させた。流石にこれは無理だろう草野海渡。』
海渡『無理とは決まっていない、何度も言ったはずだ。』
アルカナ『どう見ても、この数。一人じゃ無理に決まってるだろう!』
ほぼみんなが俺に視線を向ける、俺を睨む。まるで俺が何かしたようではないか。確かに一人じゃ無理かもしれない、こんな大勢を倒すなんて、そんな実力はないってば。
だが、俺は戦うことに決めた、勿論"一人"ではない。
海渡『…確かに一人は厳しいと思う。でも、一人じゃなければ厳しくないんじゃないか?』
アルカナ『…一体、何をしようと。』
海渡『|召喚《サモン》。指定、女神。』
アルカナ『女神…?』
そう、俺は一人ではない。女神がいる、仲間がいる、だから、乗り越えられると思ったんだ。
女神『海渡様あああああ!!なぜご召喚をおおお!?』
相変わらずうるさいなぁと思う。何故俺のところに来るとまず叫んで来るんだ?まあまあその辺にしておいて。
海渡『この状況、なんとなく感じ取って。』
女神『う〜ん…、あ、わかりました!殺されそうなんですね!!』
アルカナ『いや何故わかった。』
海渡『とりあえず俺の周りにいる100人程度の人たち全部気絶させといて。』
女神『OKです!!海渡様!』
そういって、女神は魔法を使おうとする。女神は魔法を使う前に俺にウィンクし、魔法を使い始めた。
女神『スタン!!』
スタン、それは先ほど言った通り、気絶させることだ。どんな生き物でも気絶できる、でも強い者を対象にすると、失敗する時がある。だが、そんな人は全然いない、100人程の人を気絶させることができた。
アルカナ『女神、だったな。お見事。でも、勿論俺にも仲間がいる、なあ?エルアード。』
エルアード…エルアード?クラシコ様?
そう、クラシコ様はさっきの女神の魔法を避けたのか、無効化したのかは知らないが…効いていなかった。
クラシコ『こちらも、手加減は無しでいきましょうか。』
上級者が二人…、いろいろとヤバい。とりあえず攻撃しようと思ったが、後ろから声がした。俺は後ろを向く。いた、生き物がいた。
アルカナ『…んん?誰だ。…って、クラレス。連絡なかったからおかしいとは思ったが、そういうことか。』
アリルエル様だった。
アリルエル『アルカナは自分が相手するから、海渡と女神はクラシコの相手をして。』
女神『わっかりましたー!!いいですよぉ!!』
俺は一回頷いて、クラシコのところへ行った。
クラシコ『…先ほどの争いを観覧していました。…やけに強い、草野海渡と言いましたね。』
クラシコ『君は一体、なんなんだ?』
海渡『…』
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【第十四話『スーパースター』】
クラシコ『…先ほどの争いを観覧していました。…やけに強い、草野海渡と言いましたね。』
クラシコ『君は一体、なんなんだ?』
海渡『…』
海渡『普通の人間さ、…ただ、運悪くなのか、運よくなのか、俺は異世界に転移された。』
女神『運が良かったってことですよっ!!』
クラシコが下を向いて、スマートフォンを取り出し、高速でタイピングし始めた。
クラシコ『彼は異世界に転移された運悪い人間…』
女神『だーかーら!!運良いですよっ!!』
クラシコ『…面白くなりそうだ。僕は元々誰かの情報を上級者に新聞のように伝えるのが趣味でねえ、是非君のことを取材してみたいよ。ミスター海渡。勿論拒否権はない、闘いながら取材しようではないか!』
クラシコ『クラシコ・エルアード、勝ちます。』
そう言って、クラシコはナイフを生み出す。ナイフの刃の先は、尖っていて光に照らされて光っていた。クラシコはナイフを左手で持つと、俺の方へと走ってきた。
クラシコ『…顔面偏差値高そう。』
海渡『はっ?』
そう言って、クラシコはナイフを俺の体に刺そうとした。俺はギリギリ避けた。まさか、気をひいたか?いきなりの戦術に俺は興味津々だった。そして、顔面偏差値という言葉も興味深かった。
女神『クラシコ様よく分かってますね〜!!海渡様は、し・こ・うのお顔なんですよっ〜!!って、それで海渡様を戸惑わせて殺そうとするなんて、酷いですねっ…!』
クラシコ『別にルールを決めてはいないし、戦うんだから、どんな手でもいいだろう。別にどんなにずる賢いことをして勝っても、勝ちは勝ちだ。…海渡は銃は効かなかったんだっけなぁ…』
女神『銃は効かな…ってうぇっ!?』
銃の先は、女神の方に向けられていた、クラシコの周りには銃を持ったたくさんの人が、女神を狙っていた。流石、クラシコ様、既に手下を呼んでいらっしゃる。l
クラシコ『殺す順番は別に決まっていない、だからまず殺しやすそうなあなたから。撃て。』
そういうと、たくさんの銃が女神の方へと撃った。
海渡『はあ、めんどくさいなぁ…、バリアー』
俺は女神にバリアーを張った。おかげで無効化できるし、なんなら俺もその中に入れば身を守ることができる。
海渡『そして、チェーンライトニング』
クラシコ『っ…、地味に危なかったなぁ、まあ使い物にならない手下たちはその魔法でやられちゃったけどね。』
チェーンライトニングとは、単なる使いやすい雷魔法。だが、使う場面を工夫することによって、案外使いこなせることができる。初級者も、中級者も使える簡単な魔法。
クラシコ様は、魔法はほぼ使えない、普段は大体武器で戦っている、身体能力などが高く、魔法が使えなくても上級者に上がれるスーパースターみたいな立場にいる方だ。でも、…別に一つも使えないわけではない。つまり…
クラシコ『エニシングコピー、指定、チェーンライトニング』
クラシコ様に魔法だけで戦うということも、大体厳しかったのだ。
クラシコ様が使ったのは『エニシングコピー』という魔法だった。エニシングコピーとは、他人が使った魔法をコピーしてそのコピーを使うことが可能となる。クラシコ様は唯一このエニシングコピーという魔法だけは使える。
女神『えっ!?何今の!』
海渡『クラシコ様が使える唯一の魔法、取得するには結構な体力と時間がかかるね。僕もあまりやったことないよ、お見事。』
クラシコ『あまりやったことがないということは一度でもやったことあるということ。君、上級者レベルの人間か?』
海渡『な訳ないですよ、ただの…人間、魔法が使えるようになってしまった人間ですから。』
女神『ちーがーいーまーす!!!海渡様は、…ずばり!ヒーローなのですっ!!!』
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【第十五話『拝むべき少年』】
海渡『クラシコ様が使える唯一の魔法、取得するには結構な体力と時間がかかるね。僕もあまりやったことないよ、お見事。』
クラシコ『あまりやったことがないということは一度でもやったことあるということ。君、上級者レベルの人間か?』
海渡『な訳ないですよ、ただの…人間、魔法が使えるようになってしまった人間ですから。』
女神『ちーがーいーまーす!!!海渡様は、…ずばり!ヒーローなのですっ!!!』
少し女神が言ったことに動揺するが、気にしないことにした。相変わらず、女神は俺に甘いなとは思う。なんかやらかしても、すぐ許してくれる。
そして、クラシコ様が急に手を叩いている…拍手をしている。『パチパチパチパチ…』と。そして、言葉を発し始めた。
クラシコ『ヒーローかぁ…僕はただの悪役かな?君からみてさ。ほんと、悪役って恵まれないよね、…でも、俺はアルカナ様のために、究極の美味を探し求めるんだ。究極の美味、知らないかい?』
何度も聞かされる『究極の美味』という言葉。俺は唯一の謎として思っていた。結局究極の美味とは一体なんなんだ。何を言っているんだこの方達は。その究極の美味をゲットして何かメリットはあるのか、存在ごと不思議だった。
海渡『さあ、知らないね。さっきから究極の美味五月蠅いから、嫌になっちゃう。どういうのか、教えてくれないか?もしかしたら見たことあるかもしれない。だって、異世界は広いけど、もう結構探し回ったんでしょ?だったら、地球に住んでいる人間にも、聞いておいた方がいい。地球は大地は少ないが、海は広い。海は資源が豊富だろう?もしかしたら…、ね。』
クラシコ『ほう、まあ僕は見たことはないが、アルカナ様が昔見たそう。それが究極の美味とは知らずに…。特徴としては、赤黒く、ワカメという海藻に似ているそう。』
ん?
海渡『…ちょっとまって?じゃあなんでそれが究極の美味だと分かったのか、アルカナ様はなんか言ってた?』
クラシコ『そんなことは質問していないし、おそらく辞書とかで載っていたのだろう。アルカナ様に質問なんて、失礼だろう。』
君も上級者でしょ?とは思ったが、まあいい。なんせ、アルカナ様は上級者の中の強さで1、2を争う方だ。クラシコ様がアルカナ様と戦っても、ボロ負けするだろう。上級者の中でも強さはそれぞれバラバラだ。
というか、どうやって見つけたのか、それをどうして究極の美味とわかったのかの根拠を聞かないと、その赤黒いワカメみたいな海藻が本当に究極の美味かわからない、まあ無理か…。知ってても隠すか…
海渡『…でも、そろそろ終わらせようか、流石に戦いを長時間にわたらせたくはない。』
クラシコ『ほう、終わらせようとするのか。できるかなぁ。』
海渡『…コピーできないぐらいの技、あげますよ。』
海渡『ブリザード!!』
ブリザード、それは猛吹雪を伴う冷たい強風…、それを俺は発生させた。
クラシコ『まあコピーできないぐらいとは言っていたが、流石に僕も上級者…!無理なことはない!エニジンg…』
海渡『コントラクト、指定、エニジングコピー』
クラシコ『っあ!?』
海渡『終わりだねクラシコ様。’
クラシコ『どんなに強い代償を受けても…!!僕はお前を!エニジングコピー!』
クラシコ様はとても身体を痛そうにしている。コントラクトとは、指定したものを使用すると、苦痛を感じる。長時間使うと死ぬ危険性もある。それなのに彼は…
クラシコ様は、ブリザードをコピーし、俺に攻撃した。そして…
ブリザードが消えた、クラシコ様は倒れていた。
女神『…彼は生きてます。気絶してるだけ…。』
海渡『気絶でよかっただろう、死なせるなんて、彼は洗脳されているだけ。死ぬのはアルカナ様の方だ。』
女神『そうですねって、大丈夫ですか!?』
…そういえば、さっきコピーされたブリザードに当たって…右手を負傷した。まあ軽い傷だが…
女神『海渡様の美しいお肌があああああ!!これは許せません…!!まずは手当てを!!』
手当てする箱でも持ってくるのかとは思った。だが、女神はそんなことはしない、俺の時だけいつも魔法を使ってくれるのだ。回復魔法を。
女神『水の精霊たちよ我との契約の元、彼かのものの傷を癒し給え――アクア・ヒール』
アクアは水、ヒールは治癒のことを示す。女神が得意とする水魔法、それはとても強力だった。(まあ女神は魔法下手なんだけどね…。)
女神『よおし、アリルエル様の方の様子見に行きますか!!』
女神はアルカナ様とアリルエル様が戦っている方へいく。
女神『…え…?』
女神が見た光景は、想像もしない光景だった。そういえば、やけに静かだったことが気になった、防音室とか、そういう場所ではない。
俺もその光景を見た。確かに、あり得なかった。いや、ただの運が良かったから…?
アルカナ様は倒れ、アリルエル様がこちらを向いていた…
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【第十六話『用済み』】
アルカナ様は倒れ、アリルエル様がこちらを向いていた…
明らかにおかしかった。アリルエル様よりアルカナ様の方が断然強い。二人とも上級者だが、上級者の中でも強さはそれぞれバラバラだ。めちゃ強い方もいるし、なんで上級者になったの?とも思う方もいる。
アリルエル様はまあまあの強さ、だが時々中級者に負ける、だから上級者から下そうとも、俺が異世界にいる時からも議論されてた内容だ。けれど、アルカナ様はかなりの強さ、それにアリルエル様が勝った…?
女神『ちょ、え、アリルエル様!勝ったのですか…?』
アリルエル『あれ、知らなかったんだ。てっきりそんな強さだから知ってるかと思ってた。まあ知ってたらあんな行動しないか…w』
アリルエル『アルカナ様が洗脳なさってたけど、僕はアルカナ様たちを洗脳している、もはや洗脳の上に洗脳してる感じかな。だから、もうアルカナ様は用済み。死んでもらったよ。』
女神『えっ…!?あ、ん…!?』
女神は動揺している、両手を口に当てて、顔を青ざめている。アリルエル様は、僕をじっと見つめた。
女神『なんで…、なんで殺したんですか!?』
アリルエル『アルカナ様は勿論すごく強い、僕より強い。だからいつまでも洗脳してるわけにはいかない。いつか洗脳が解けられてしまうから。だから先に殺しておいたんだよ。他の奴らは僕より弱いし、まあアルカナ様だけ…はね、早めにしておかないと。』
…まあアルカナ様なら自分にかけられた洗脳を解くことも可能だったであろう、だが、よりによってアルカナ様に洗脳をした相手が、上級者だったから難しかった、時間がかかっていたのだろう。だから…間に合わなかった。
アリルエル『そうだ、君も利用しようかな。海渡くん、女神。何に使おうかなぁ…。そうだ、僕以外の上級者全員殺してもらおう、そうしたら…僕が本当の"最強"だ。いや…でも、海渡くん、君なら究極の美味なんてすぐ探せそうだね。ねえ、海渡くん?』
そう言って、指を指される。本当の最強?自分でやってないくせに、よく言える。てか、俺は上級者全員殺せるわけがない、そんな強くないからさ。
海渡『わざわざ褒め言葉みたいなことをありがとう。でも無理だよ俺は。そんな能力使えないし、なんなら究極の美味がまだ何かわかっていない。手下も何も分かってなかったよ?』
女神『わ、私を洗脳して何か得するんですか…!!』
アリルエル『…女神、君はいい子だ。得するよ。女神、おいで。』
女神『えっ…?』
…何か、嫌な予感がする。
---
【第十七話『利用』】
女神『わ、私を洗脳して何か得するんですか…!!』
アリルエル『…女神、君はいい子だ。得するよ。女神、おいで。』
女神『えっ…?』
…何か、嫌な予感がする。
アリルエル『僕のそばにいれば、きっと君は得するだろう。…海渡くんのそばにいるよりね。』
女神『ちょっ…待ってくださいよっ!アリルエル様のそばって…私アリルエル様の雑用係になるということですか!?』
アリルエル『雑用係ではないけど、手下ってことかな。』
手下…?今のアリルエル様の手下になると、用済みになった時大変じゃ…。
女神『え、めっちゃ嫌なんですけどっ!!私はアリルエル様のそばにいるより、海渡様のそばにいた方が絶対良いですよっ!!』
アリルエル『…はぁ…、じゃあ女神"だけ"に良いこと教えてあげるよ。~~~~~』
アリルエル『~~~~~~~~~~』
女神『~~!?~~~~』
…ん?何かおかしい。…俺は、女神とアリルエル様の話の内容が聞こえてない?
アリルエル『~~~~~~~~~~~~』
女神『~!!~~~~~!』
女神『~~~~~!!!』
アリルエル『~~~~~~~~~』
俺の耳がおかしい?いや、さっきまで正常に聞こえていた。急におかしくなるなんて、何か仕組んだに違いないだろう。でも話の内容が聞こえないとなると、…女神が危険だ…!
海渡『女神!一体何を喋って…』
アリルエル『はいはい五月蠅いよ、カモフラージュ。』
海渡『っあ…!』
「バタっ…」
前が見えないっ…!カモフラージュは、確か眩しい光によって、一定時間前が見えなくなるという魔法だったっ…!くそっ…、助けるということしか考えていなかった。よくよく思えば、先にアリルエル様を倒さないと女神なんて当然助けることなんてできない…!
アリルエル『一つの油断が、僕を勝利へと導く。』
---
【女神site】
アリルエル『…はぁ…、じゃあ女神"だけ"に良いこと教えてあげるよ。サイレント』
アリルエル『海渡は、女神がウザいと言っていた、何故だかわかるか。』
ウザい…?海渡様が?いや、嘘だ嘘だ。そんなこと海渡様が言うはずない。
女神『えっ…!?海渡様がそんなこと言うはずが…』
アリルエル『叫んで登場してくるのが本当にうざいって、僕があっちの世界にいるときに聞いたよ。』
っ!?確かに…いつも海渡様が生まれた世界に行くとき、毎回叫んで登場してるかもしれない…っ!あれ、迷惑だったの…!?
女神『海渡様!!どうして…!』
女神『海渡様〜!!!』
私は思いっきり叫んだ。海渡様がそんなことするはずないと思っていたものの、自分がやったことには自覚があった、そんなこと言われるのも当たり前と思った、やったことは事実なのだから。
アリルエル『|無償の信頼《インビジブルトラスト》』
海渡『女神!一体何を喋って…』
アリルエル『はいはい五月蠅いよ、カモフラージュ。』
海渡『っあ…!』
「バタっ…」
海渡様はアリルエル様の魔法を受け、倒れた。
アリルエル『一つの油断が、僕を勝利へと導く。』
アリルエル『なあそうでしょ?女神も、僕に勝ってほしいって思ってるでしょ?あの、裏で人に君の悪口を言ってる奴をさ。』
女神『…海渡様…いえ、海渡…見損ないました。』
アリルエル『ふふっ、そうでしょそうでしょ?』
アリルエル『これは無償の信頼が効いたなぁ。女神、こいつが起きたら思う存分こいつと遊びたいでしょ?』
アリルエル『こいつが起きるまでに、魔法の紐でこいつを縛る。そうしたら、こいつが起きた後、君はこいつと遊べる。大丈夫だ、魔法の紐は、紐に縛られている人に行動を制限する。例えば、魔法を使わせないようにするとか、命令に従わせれることができるとか。』
女神『良いんですか…?』
アリルエル『ああ、いいとも。君がそれで楽しめるのなら。』
絶対に、私は海渡を許さない。
例え誰かがそんなことかと思っても、私はそんなこととは思わない。私のことだから。
私に悪口言ったのだから。
---
【第十八話『悪者は即排除します。』】
ん…ん…?
あれから意識を失っていたのか、俺は起きた。って、あれ、自由に身動きができない…?ってこれって、紐…いや、ただの紐じゃない、これは魔法の紐だ、魔法の紐の特徴は光っている。…でも待てよ、魔法の紐だとわかったところで何か起こるわけじゃない、めちゃ大ピンチだ。
女神『起きたのですね、海渡。』
女神…!女神がいる、そこに。
海渡『女神!この紐は外からじゃないと取れない、取ってくれないか?』
女神『無理です。』
は…?
女神『今更甘える?自分が私を傷つけたこと、自覚なしなのですか?自覚がないのは恐ろしい。』
な、何言ってるんだ女神は。俺は女神を傷つけた…?いやいや、長い時間過ごしてきた"親友"を傷つける?そんな馬鹿なことはしなかったはず…
女神『…私の悪口言ったんでしょ。知ってますよそんなこと…』
悪口?は?俺は混乱してきた。
海渡『悪口?誰に。』
女神『何って、アリルエル様にですよ。悪口を、アリルエル様に言ったようですね。』
一体何のことを言っているのか…?頭が整理できていない、言っていることが意味わからない。
海渡『ちょ、ちょっと待て、俺はそんなことしてないぞ…?』
女神『口なら簡単に嘘がつけます!!大人しく攻撃くらってなさい!!ポイズン!』
毒攻撃…!!…避けないといけないのに、紐で体は縛られているし、魔法の紐だから魔法を使うことができない…!!
俺は毒魔法のポイズンという魔法が当たった。当たった数秒後、頭がくらくらしてきた。息も荒い。
海渡『はぁ…はぁ…はぁ…』
女神『毒をたくさん吸いなさい海渡。そうしたら、あなたも少しは思い出せるのでは?』
俺はたくさん毒を吸い始めた。いや、吸い始められた。魔法の紐は、その紐で縛られている生き物を、近くにいる人が命令することができる。その命令は、絶対に聞かないといけない、いや、聞かされて勝手に身体が動いてしまうのだった。
さらに息は荒くなる。手も震え、このままだと死ぬんじゃないかと思った。まあ別に俺は無敵じゃないし、異世界に行けるぐらいだから、若い頃に死ぬだろうなとは思っていた。
女神『毒入りの料理も食べなさい、私が作ってあげたの。』
俺はその料理をガツガツと食べる。手が勝手に動く、足が震える。魔法が使えない俺にとって、これは痛手だろう。魔法が俺の一部だった。
最後の晩餐は女神が作った毒に料理になっちゃったなぁww、この料理を食べたせいで腹が痛い、苦しかった。
死ぬんだ、そう思ってたとき、声がした。女性の若々しい声が。
女性『アンチドート!大丈夫ですか!?』
アンチドートって、確か…解毒魔法、俺が一番苦手とする魔法の分類だ。俺は解毒魔法が大の苦手だった。
アンチドートで、俺の体に回っていた毒が解毒され、周りの毒も消え去った。
海渡『あっ…大丈夫です…』
女性『よかった…紐も切りました!って、あなた!何してるんですか!』
女性『この私が許しませんよっ!』
アリルエル『海渡を助けたことも、僕は許せないなぁ。』
また声がした、今度は誰かはっきりわかった。アリルエル様だ。
アリルエル『こいつは悪い奴なんだよ。人の悪口をコソコソという最低な人間だ。』
女性『…それだけで?他には。』
アリルエル『…は…っ?』
女性『悪い奴かもしれませんが、悪口より毒を吸い込ませる奴の方が、悪い奴なんじゃないですか??』
女性は、アリルエル様に向かってこう言った。
女性『正義は常に私を守る!インフェルノ!』
インフェルノは、煉獄の炎という意味。炎魔法だ、かなり強力。
アリルエル『そんな攻撃、楽に交わせr…』
女性『範囲攻撃魔法、エクスプロージョン!』
大きな爆発音が聞こえる。エクスプロージョンは、広範囲にわたる爆発攻撃魔法だった。範囲攻撃魔法とも言う。
まあでもこれだけじゃ倒せないと思うから、ちょっと手を加えるか…
海渡『ファイヤーウォール』
ファイヤーウォールとは、火の壁という意味の魔法。炎魔法だ。結構攻撃範囲広い。
でも、攻撃範囲が広い二つの技が重なっても危険だなぁ。じゃあついでに、女神と俺に結界でもはるか。俺は結界をはった。
二つの攻撃が爆発した。黒い煙が広範囲に広がる。煙が消えると、アリルエル様の姿が見えた。
アリルエル様は、倒れていた。
女神『ん〜…ってあれ?海渡様…って、ええええええ!?大丈夫ですかあああああ!?』
女神は洗脳が解けたようだ。支配者が死んだ?からだろう。(まだ死んだかは不明)
女性『よかった、洗脳解けたみたい!じゃあ私はここで!』
海渡『ちょっと待ってください、あなたの名前は…?』
名前を知りたかった、ちょこっと女性の個人情報とか知りたかったからだ。異世界ではそれをOKされている。不思議だよね。
女性『私?私…|浅野秋葉《あさのあきは》って言います!人間なんですよね〜』
海渡『えっ…ちょ、人間!?』
女神『え…か、海渡様!!』
人間…!?俺と同じ…?…初耳だと思うが、俺は異世界に行ける人間を探していた、そして今…人間が目の前に…。
秋葉『そりゃ驚きますよねwww』
海渡『ああ驚いたよ。君も名を言ったから、俺も名を言っとこう。』
海渡『草野海渡、と言います。』
秋葉『…えっ…?に、人間…?』
秋葉『え、あ、えっと…とりあえず!では!』
浅野秋葉は、走り去っていった…
---
【第十九話『異世界』】
俺はあのあと、異世界から俺が生まれた地球の世界へと帰った。
あのあと、すぐに『浅野秋葉』という名前を調べた。どうやら彼女は異世界をパトロールしている人間らしい、だから俺のことを偶然見つけたのか…。浅野さんがパトロールしてなきゃ、俺は死んでた。そう思うとやっぱり俺は油断しすぎたんだなと思う。
あ〜、あっつ…。俺の部屋にエアコンないんだよね…。今日の温度は…まあまあ高い。6月だからジメジメしてるし、寝心地も悪い。俺は片付けてあった扇風機を取り出した。扇風機をつける。
扇風機の前に行き、風に当たる。ああ、涼しい。ついでにアイスでも食べて体冷やすか。そう思って冷蔵庫の前に行く。冷凍庫を開く、アイスクリームを取り出す。部屋に戻って食べた。
…異世界に行ける人間はほんの数人で、いけたらラッキー程度に思うだけだ。人間があんなところに行って、得するものはない、逆に行けてそれは幸せなのか。異世界に行ってなかったら、今頃俺はどうなってたのか。知りたい、知れないけど知りたかった。
異世界は地球と全く違う環境だ。荒れてるし、治安は悪い。一応警察っていう役職の奴らはいるが、大体魔法で(警察が)撃退されて悪人とかは全く捕まえられてない状況、もはや警察という仕事が成り立っていない状況。
一人一人がルール守るわけがないし、法律も曖昧。法律なんて世間が知らないぐらい存在感がない。
まあ異世界より地球にいる方が楽ってわけ。
そんなこと言ってもねぇ、うん。まあいいや。
女神はあのあと、魔法の勉強とかしに行ったよ。どうやったら自分で洗脳が解けるかとか、あのことがあったから、勉強してるんだろうなって思ってる。
と、いうかもうすぐ夏休みだね、7月下旬楽しみだなぁ。まあその時に異世界行って遊べればいいなって思う。それでも時間はあまるんだけどね、てか異世界の時間って地球にとっては全く進んでないからめちゃ余る。その時は…課題かなぁ。やるかあってなるだけ。
女神『海渡様あああああああああああ』
海渡『いやこわいこわい。』
急に出てくる女神に驚いた。
女神『究極の美味の存在が分かりましたよ〜!!』
海渡『え、なになに?』
女神『……架空のものです!!!』
………え。
海渡『架空…?つまり架空の人物とか物とか、そういうこと…?』
女神『はい!!あとからアリルエル様に沢山いろいろ吐かせて、わかった情報です!!』
海渡『あ、ありがと。架空…』
二人で話していたその時だった。
___ガチャン…
女神『あっ、ではまたっ!』
女神は帰って、入ってきたのは優だった。
優『お兄ちゃん、あのさあ、夏休み自由研究の宿題出るからさ、夏休み入ったら手伝ってくれない?あれ難しくて毎年悩むんだよね。』
自由研究…。ああ、って、え、俺優の手伝わないといけないの…。
---
月日は流れ、7月下旬…、夏休みに入った。
優『私さ、別に研究とかめんどくさいから、ほら、虫とか魚ね、だからさ、もうお兄ちゃんを研究することにした。』
海渡『…は?』
優『人間は動物でしょ?だから動物の研究したってことにする。いいでしょ?お兄ちゃん〜!』
発想力がすごいな優は…
---
第三章ものちのち公開しますので…!
よろしくお願いします…!
読んでいただきありがとうございます…!
タップお疲れ様でした…!
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目次
- 1......第一章『殺し合いゲーム』一話「異世界から。」
- 2......第一章『殺し合いゲーム』二話「怒り」
- 3......第一章『殺し合いゲーム』三話「強制沈黙」
- 4......第一章『殺し合いゲーム』四話「ゲーム」
- 5......第一章『殺し合いゲーム』五話「困惑」
- 6......第一章『殺し合いゲーム』六話「人間」
- 7......異世界から帰ってきたら、最強になったことに気づいてしまいました。第二章『最後の晩餐』
- 8......異世界から帰ってきたら、最強になったことに気づいてしまいました。 第一章『殺し合いゲーム』
- 9......異世界から帰ってきたら、最強になったことに気づいてしまいました。第三章『優の自由研究』
- 10......異世界から帰ってきたら、最強になったことに気づいてしまいました。ワード集。
- 11......異世界から帰ってきたら、最強になったことに気づいてしまいました。第4章
- 12......異世界から帰ってきたら、最強になったことに気づいてしまいました。第5章