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episode4. 女嫌いのトラウマ
エレンが1人、部屋でくつろいでいた時、部屋の扉が叩かれた。
エレン「はーい」
ドズル「すみません、少しいいですか・・・?」
声の主は、リーダーのドズルだった。
エレン「どうぞ」
エレンは鍵を外し、ドズルを部屋に招き入れた。
ドズル「ありがとうございます」
エレン「文句でも言いに来たのですか?騒がしくしてしまってすみませんね」
ドズル「・・・そうじゃ、ないんです」
意外そうな顔をするエレンに、ドズルは聞いてもいないのに話し始めた。
エレン「なるほど、女性への恐怖、ですか・・・」
ドズル社にはかつて、女性のメンバーがいたそうだ。でも、度々癇癪を起こしてはメンバーに当たり散らしていたらしい。特に当たりがひどかったのは『おらふくん』だという。とうとうおんりーとおらふくんが殺されかけ、慌てて追い出したらしい。その後も時々女性メンバーを募ったが、顔やステータスだけで擦り寄ってくる人しかいなかったという。
ドズル「あれ以来、僕達はずっと女性を避けていた。女嫌いというより、女性不信だったんです」
エレン「それはまぁ・・・女の人を嫌っても仕方ないですね」
ドズル「でも、今日のあなたを見て確信しました。あなたはそんなひどいことをしない。僕達をわかってくれるかもしれないと」
エレンは静かに立ち上がると、慣れた手つきでピエロの仮面を取った。
ドズル「・・・?」
きょとんとした顔で見守るドズルに目もくれず、髪飾りを外し、ポニーテールをほどく。
エレン「これなら・・・わかるかしら?」
口調も変わったエレンの姿を見て、ドズルは声も出ないほど驚いた。少し時間が経って、叫んだ。
ドズル「あ、あなたは・・・英玲奈姫様⁉︎」
英玲奈「そうよ。私は城ヶ崎英玲奈・・・。ルミエール王国の改革のために旅をしている、普通の王女よ」
ドズル「いや普通じゃないですって!改革?旅⁉︎頭が全然追いつきません!」
英玲奈「敬語じゃなくてもいいわ。私、ルミエール王国で貧困に困っている人たちをたくさん見てきた。そんな人たちを助けるために、改革に協力してくれる仲間を探して、私は旅をしているの」
ドズル「仲間・・・?」
英玲奈「ええ。・・・ドズルさん、私、必ずみんなのトラウマを払拭して見せる。だから、改革に協力することを約束して」
英玲奈は色白で細い手を差し出し、強い決意のこもる目でドズルを見つめた。
ドズル「もちろん、協力するよ。君ならきっと打ち解けられる。僕は信じる!」
英玲奈「・・・ふふっ、ありがとう!」
英玲奈はにっこりと笑ってみせた。