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「今度こそ永遠の眠りになると良いですね」①
とふぁ
第一話は紅美鈴視点で話が進みます
「・・・ん、寝てました・・・」
また門番の仕事中に寝てしまっていた。風が心地よいのが悪いのだ。こんなの、眠気を誘っている。誘われる私より、誘った風が悪い。そんな事言ったら、咲夜さんに「屁理屈を言わない」と怒られてしまう。
「あぁ。咲夜さんは、居ないんでした」
まだ、どこかで信じてた。咲夜さん。十六夜咲夜は、生きている、と。
いつだったか。明確には覚えていない。咲夜さんが死んでから、無気力な日々を送っている。私だけに限らず、だ。小悪魔さんは、悪戯好きとは言えなくなった。毎日毎日、椅子に座って一日が過ぎていくのを見つめている。パチュリー様は、本を読まなくなった。それどころか、本の扱いが雑になっていった。お嬢様は、食事を取らなくなった。毎日「咲夜の所に行きたい。私も・・・」と言っているのを聞くのは心が痛む。妹様は、完全に地下から出なくなった。元々、自分から閉じこもっていたのだが本当に閉じこもるようになった。
こうして、紅魔館はどんどん朽ち果てていったが、誰も何も思わなかった。逆に、このままでいられる私がおかしいのかもしれない。
変わったのは紅魔館の面だけじゃない。巫女も魔法使いも、完全に脱力している。いつも通り境内の掃除も、魔法の研究も、宴会も行っている。笑う時はちゃんと笑っている。いつもと変わらないように見えるが、何かが違う。それは私でもハッキリ分かった。
幻想郷にウイルス、という物が蔓延した。百年ほど前に外の世界で脅威となった存在だったらしい。有名な人達がその「ウイルス」という物によって帰らぬ人となった例もあるらしい。
私達は、舐めていた。ウイルスを。
妖怪だから、病気なんかに負ける事はまず無い。だけど、人間への影響を甘く見ていた。いや、甘く見ていたのは私達だ。
霊夢は博麗の巫女として、スキマ妖怪のスキマに暫く隠された。魔理沙は秘神のお気に入りなので、後ろ戸の国に匿われた。その他の人間もそれぞれの形で守られた。
「咲夜なら、大丈夫よね。私の自慢の掃除係だもの」
そうお嬢様は咲夜さんに言い、咲夜さんは微笑んで「はい」と返事した。
多分、私達は完璧な咲夜さんを過信していた。
いや、求めていた。演じさせていたのだろうと、今気づく。
死亡例があって、自分だけ無防備で。きっと怖いに決まっている。
どうして。どうして。あの時の咲夜さんの笑顔をもっとちゃんと見ていればよかった。
そうすれば、きっと口角が震えていたはずだ。
そして、咲夜さんの異変に気付いて、永遠亭に行った時にはもう遅かった。
「死者に使える薬は無い」
それだけ言われて、追い出された。
最後の言葉は「死ぬまで、一緒にいますから」だった。
どうして。時を止めてくれなかったのだろうか。進まなくていいから、終わらせたくなかったのに。
「おやすみなさい。咲夜さん」
そうして、幻想郷での最初の犠牲者は、十六夜咲夜になった。
それ以来、誰も来ない紅魔館の門の前で。
私は咲夜さんが帰ってくるのを待っている。
書ききった・・・!
シリーズと言っても、短編集的な感じです。
気に入っていただけたら本当に幸いです。