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化け猫憑きの男と祓い屋の女
化け猫さん。私の後ろにおいで。
戦時中。我々は歩いた。噂の祓い屋に"挨拶"をするために。
稲荷坂神社。祓い屋がいるとされる神社。私は短い階段を登り、巫女姿の女を見つけた。
女はこちらをひらりと向くと、少し動揺した後、優しく微笑み私に言った。
「お初にお目にかかります。ここで祓い屋をさせてもらっております。」
敬礼をする巫女姿の女。筋肉もなければ細身ですぐに貧血やら何やらで倒れてしまいそう。
そう心配したが、この女は祓い屋だ。祓うときは莫大な金がいる。
それをもらっているとしたら、食える飯なんてそこらじゅうにあるだろう。
「あぁ。噂によれば、お前が一つ道具を振り払えば傷も治るそうだな。」
本題とは違ったことを考えていたので切り替えて言葉を紡げば、目を瞑って嬉しそうに手を合わせた。
「そう言っていただいております。」
私にそう言ったのだが、女の目線の先は私では無かった。私の後ろに憑く、化け猫だった。
「お前、何が見えている。」
私は目を細めて女を見下ろし睨んだ。
「…貴方の後ろの猫さんですかね。ずーっとそばにいたんですね。仕草がそっくりで可愛らしいです。」
この私にそっくり…。しかも可愛らしいとは。よくぬけぬけとそう言える。
私への侮辱に繋がるかもしれないその言葉選び…。
「そうか。私に猫がついているのだな。よし、祓い屋。コイツを祓え。」
「え?本当によろしいのですか?」
女はポカン、と私の後ろに憑く猫を見て唖然とした。
「なにか、いけない理由でもあるのか?」
「いや、その、えっと…。」
しどろもどろになりながら、言うのを拒んだ女に私は、
「なんだ、怒らないから言ってみろ。」
女の目を言いながら私は諭した。
母親のような言い草でまとめることで安心感を与えられるとあの方の言いつけの通りにやってのけた。
そうすると、女は恐る恐る口を開いた。
「その猫さんは、『治癒猫』と言いまして。
貴方…いや、私たち人間に憑いては、その人間の回復能力を三倍にするのです。」
「だから、祓わない方がいいと?」
「そう言うわけじゃないんですけど…。。
貴方は結構憑かれやすい体質のようで…前にお見かけした際も色々な霊がひっついておられました。
今回祓ったとして、また違う猫さんが憑いてしまうと思うんです。」
「…構わん。またここにくれば良い話だからな。」
「わかりました。すぐ終わりますので、目を瞑ってください。」
私は肩がすっと軽くなり、女に礼を言おうと目を開いた。
そうすると、女は猫のように鋭い目つきに爪は長く伸びて、先ほどの面影は残っていなかった。
化け猫系は昔ハマって結構書いてたんですよね(笑)
そのリメイク版?みたいな感じです!
読んでくださった方ありがとうございました!
全員大好きです!!