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第五話:郵便受けの古い手紙
旧郵便局長・園田誠一は、今も昔の郵便受けを自宅に残している。その受けに、ある朝奇妙な手紙が差し込まれていた。
「消印は昭和二十年。差出人もわからん。宛名は“大澤陽一様”。そんな名前、最近よく耳にしますな…」
手紙には「待ってる」の一言と、灯籠会館が描かれた鉛筆画。絵の中には、現在の語り部である町民たちの姿が並んでいた。不気味なのは、その中の数人の顔が歪み、目元が黒く塗り潰されていたことだ。
「いたずらだろう」と笑い飛ばす者もいたが、園田はそれ以降、夜になると玄関の郵便受けにカタ…カタ…という音を聞くようになった。
翌朝、受けには投函された形跡はなかったが、戦前の切手が数枚、濡れて貼り付いていた。文字のにじみをなぞると、そこにも“大澤”の文字が浮かび上がった。
これからだんだん短くなってくるかも…