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本編17
「それで、彰人…泊めたっていうのは…」
「…歩いてるところを見て、声かけようとしたんだよ」
「その時あの人、道に倒れて…運ぼうとした時に傷とか痣があるのを見つけた」
「は……っ?」
「んで…とりあえずうちに連れてって手当てして…」
「センパイの話聞いたんだ」
「……………」
「…彰人…?」
「…いじめられてるって、話」
「………え」
「神代センパイ…ショーやってる人達にも見捨てられたらしくて」
「そんな…」
「…っ司先輩は…今何を…」
「…学校は退学してて、ショーキャストのバイトもやめたって言ってた」
「俺がわかってるのはそのくらいだ…」
なんだ、それ
いじめられてる…?学校の人に?神代先輩達に?
信じられない
信じたくない
「……分かんねえことばっかだな」
「………………」
「…教えてくれてありがとう、彰人」
「おう…んで、その咲希さんって人に伝えるのか?」
「…まだ、迷っている」
「家族に知られたくないかもしれない、心配かけたくないかもしれない」
「そうやって考えてたら…どうすればいいのか…」
「…とりあえず、今日はもう暗い。早めに帰って落ち着いた方がいいな」
「…ああ、また明日」
「またな」
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わからない
彰人の話を聞いて、一気に心臓の音が早くなった
司先輩はこれからどうなってしまうのだろう
俺はどうする?
助けたい気持ちは当たり前、でも俺は関係者じゃない
事情も詳しく知らないし、実際にいじめられてる現場を見てもいない
そんな俺が、どうやって先輩を助ける?
どうやって救う?
気づくと時計の針は1を指していた
明日も学校がある。
いつも通りに見えて、いつも通りではない
先輩がいないことを確認させられてしまう
そんな現実見たくない
「……………」
「連絡、返してくれるだろうか…」
「…司先輩………」