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雨と休日
初流
1人、夜の街を歩く。 周りは煌々と明るく、とても夜とは思えない。けれど、その眩しさがかえって、私の中にどこか居場所のない寂しさを生み出していく。
赤提灯の灯る居酒屋へ、吸い込まれるように消えていく大人たち。 今日という1日を終え、それぞれの帰路につく学生たち。 すれ違うのは、さまざまな背景を持った色んな人たちだ。そして私は、その有象無象の中の、名もなき1人に過ぎない。
賑やかな街の中心からはみ出し、少し薄暗い路地へと足を踏み入れた時だった。
ポツリ、と頭に何かが当たる。
「あ、雨だ」
私は心の中で、小さく、けれど確かに嬉しくなる。私は雨が好きだ。 世界中の騒がしい音をすべて、ザーザーという一様な響きで包み込んでくれるから。みんなが傘の下に閉じこもり、下を向いて歩くから、まるで世界が私の孤独に合わせて、歩幅を緩めてくれたような錯覚に陥る。雨は、私の乾いた心をそっと満たしてくれるのだ。
……でも、服や靴が濡れてベタつくのだけは、どうしても嫌だ。
ロマンチックな余韻に浸るのもそこそこに、私はカバンを頭の上に掲げ、駆け足で家へと向かった。
カギを開けて滑り込んだ我が家は、静かで安心する。 湿った服を脱ぎ捨てて部屋着に着替え、まずはパソコンの電源を入れる。起動するまでのわずかな間に、レンジで温めた簡単なご飯を机に運ぶ。画面の明かりに照らされながら、動画を適当に流し見して食事を済ませる。
そんないつもと変わらない、特別何もない生活。 寝る時間、外から聞こえる雨の音を聞きに眠りにつく時間は、私にとって最高に贅沢だった。
次の日の朝。 アラームが鳴るより少し前、まだ薄暗い時間に目が覚めた。
カーテンを開けると、外はまだ雨がしとしとと降り続いている。世界がまだ半分眠っているような静けさの中、窓の外を眺めながら、マグカップに淹れたお気に入りのカフェオレをすする。 じんわりと指先から温かさが伝わり、甘さと苦みが口いっぱいに広がる。
「幸せだな……」
そんな、自分だけの小さな幸せを噛みしめていた、その時。 ふと壁の時計が視界に入った。
長針と短針の示す位置を見て、一瞬、心臓が跳ね上がる。
「あ、やば。バイトの時間じゃん!」
余韻もへったくれもなく、私は慌ててマグカップをシンクに置き、慌てて支度を始める。髪を整え、服を選び、財布とスマホをカバンに突っ込んで、文字通り家を飛び出した。
ドアを開けると、ひんやりとした雨の空気が頬を叩く。 やっぱり雨は、私の小さくて不器用な日常に寄り添ってくれる、最高の幸せだ。 今度はしっかりと傘を開き、私は水たまりを跳ね上げながら、進む。
梅雨好きなんですよねもうそろそろ梅雨に入るのかなと思いながらこの話を書きました。
皆さんは雨は好きですか?