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AI選抜
ハイリスクレッド
ショート・ショートストーリー✍ 29
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AI Selection・SECRET AGENT
☆
目覚めた…と言うよりは、意識が戻ったが正し表現だろう。
突然消えた灯りが戻り身の回りを見回す。
全員の人の数、人数が減っていたが、隣には大切なパートナーである彼女は無事だった。
いったい何が起きたのか…
鳩ポッポバス都心周遊ツアーの二日目の最初のスケジュールの目的地に着いた時、突然、バスのカーテンが閉じられ灯りが消え白煙が充満し意識が途切れたのだ。
当初はペア12組、24人の参加乗客数のバスツアーとして開催され、一日目は参加者全員でツアーを満喫して宿泊先のHOTELへチェックインした。
二日目の朝も変わり無く24人全員を乗せツアーバスは最初のスケジュールの目的地、国会議事堂の敷地内駐車場に到着したはずだっだ。
バスの中に残されていたのは12人、ペア6組の意識が戻り互いのパートナーの無事を確認し合った事を見計らった様に違和感満載のイントネーションな語り口の声が聞こえてきた。
『おは、ようございますぅ。選ばれしぃ皆さま』
ってどう言う事?選ばれしって?
『先ずわ、バスを降りていただきぃますぅ』
は?大丈夫なの降りても?
『はい、安全の確約は出来て、いますぅ』
そうは言われてもとおろおろしながらもやむを得ず12人は腰を上げバスの外へ出た。
辺りは無機質なアイボリー色のスペースルームの様でその中央辺りに七色に色分けされた円卓が備えられている。
『皆さまのぉ、左手首にCOLORブレスレットがぁ装着されていますぅ、その色に従って着席くださいぃ』
えっいつの間?何なんこの状態は?
ぶつぶつ不安不満不服を呟きながらもやむを得ず自分の手首のCOLORブレスレットを確認し円卓の席に座った。
白色ペア、黄色ペア、緑色ペア、紫色ペア、青色ペア、赤色ペア、に収まると黒色ペア用の席は空席となった。
あれっ?黒色はいないんだ。誰ともなく呟き誰に向けてかも知れない問いかけをした。
ところで、さっきから聞こえてる声は誰なのよ?
『はい、ワタくシは、オリエンテーションAIのオリエと申ぅしますぅ』
へぇ~オリエってんだ。けどさその違和感満載のイントネーションを何とかならないかな?妙に聞きづらいわ…
『違和感?なぁどありませんプログラミング通ぉりにお話しぉをしていますぅ』
は?マジで?
それはそうと今の状況の本題は何なのさ?オリエさん。
『はい、それでぇは本題のご説明を始めましょうぅ、第一にこれよりぃ先は皆さまの本名、住所、お仕事等々の個人情報は封印されますぅ。それに伴いぃ先ずは新たな呼び名をぉ、コード・ネームを設定していただきますぅ。
①チーム・WHITE
②チーム・YELLOW
③チーム・GREEN
④チーム・VIOLET
⑤チーム・BLUE
⑥チーム・RED
となりますぅ。コード・ネームはCOLORネームの後をぉ設定してくださいぃ。
例えばぁ、⑦チームの場合ですとぉ、ブラックがぁCOLORネーム続けて、パンサー!?ならば、コード・ネームはブラックパンサーの様にですぅ。レッツシンキング!』
何なんだかね、与えられる情報はゼロ状態で勝手に話しは進んでコード・ネームってスパイにでもなるのかよ?
っうか、悪い事はやらないぞ!オリエさんよ。
うん、うんと全員が頷く。
『大丈夫ですぅ、レッツシンキングぅ』
はい!と①チームの一人が挙手して高らかに言う、WHITE・ニンジャ。
おぉ~と全員が唸る。
『悪くはありませんがぁ、ペアの方の設定と同属でお願いしますぅ』とオリエさん。
はい…ニンジャの同属って?くノ一、とか?
えぇ〜やだよくノ一なんて!と空かさずペアからクレームがつく。
あはは…なるほどね…ペアの意思疎通で決定が必要な訳だ。全員が納得する。
そんなこんなでしばらくザワザワとそれぞれのペアでの話し合いが始まった。
誰かが、辺りに聞こえる様に声を出す。
ライオンとタイガー!?
ありゃ〜の声と共に誰かが問い合わせる。被りはオッケーなのオリエさん?
『もちろん、被りはエヌジーぃですぅ』と簡単に返される。
さらなるザワザワでそろそろヤケクソ気味に誰かまわず声を出してみる。
ドラゴン、ペガサス、ユニコーン!?
『実在のぉ無いも、想像上のものはエヌジーぃですぅ』オリエさんの返しにさらなるザワザワが増々になった。
とは言え何とか全員のコード・ネームが了承され設定がされた。
①チーム・WHITE、イーグル&スワン
②チーム・YELLOW、タイガー&パンサー
③チーム・GREEN、ホーネット&バタフライ
④チーム・VIOLET、バーボン&シェリー
⑤チーム・BLUE、ドルフィン&シャーク
⑥チーム・RED、ムーン&ジュピター
以上である。
たったこれだけの事だったのに全員が疲れ果ててしまった気がしていた。
そしてやっと何のために何故ここに居るメンバーが各ペアが集められたのかが証される。
『十代二十代ペアの、①チーム・WHITE
二十代三十代ペアの、②チーム・YELLOW
三十代四十代ペアの、③チーム・GREEN
四十代五十代ペアの、④チーム・VIOLET
五十代六十代ペアの、⑤チーム・BLUE
六十代以上ペアが⑥チーム・RED
以上の構成で、
⑦のBLACKは黒幕である、内閣諜報室 SECRET AGENT PROJECT TEAMである。
AIによる選抜された各年代ペアがスパイ防止法の充実活用のためのSECRETAGENTとなり日々この国の防衛のため社会へ忍んで活動するのが任務であります』
はぁ〜ってか誰か了承してるの?勝手過ぎだろ!?全員で不承知の意を示す中、はい、と挙手がされる。
『はい、VIOLET・バーボン、なにか?』
あのぉ俺って言うか私、四十代五十代ペアに選抜されたみたいなんですけど、彼女は確かに四十代なんですけど、私の年齢は、六十六歳なんすよね~これって大丈夫なんすかね?
『………』
オリエさん、お返事は?
『AIが選抜したのですからぁ間違いはぁありません!』
いやいや間違っとるわ!!
『…………、では、次のぉオリエンテーションへぇ進みますぅ』
おぉ~無理矢理シカトかよ!?
っとこれを皮切りに全員の不満不服不承知の罵詈雑言が出るわ出るわで小一時間が過ぎた頃、AIオリエさんから唐突に解散撤収が告げられた。
『本日は、お忙しいなかご足労いただき誠にありがとう御座いました。大変お疲れ様でした。以後のSECRETAGENT活動につては随時ご連絡致します、散開〜』
おぉ~ちょお待てよ!!
☆
そもそも何故こう言う状態に巻き込まれているのかというと、それぞれのペアの住む地元のスーパーマケットで季節外れの福引き会が開催され、1等賞に当選したからだ。
1等賞、鳩ポッポバス都心周遊ツアー、交通費、宿泊費、食事代、ツアー参加費、ペアで一万円札一枚に込み込みの破壊的内容にまんまと目が眩んだって事です。
ツアー、一日目は12ペアでスケジュールをこなして過ごしたのだが、実はその時々の行動と言動を随時AIカメラで観察をし各年代ペアの代表としてSECRETAGENT活動に適していると判断された、6ペアが二日目に今の場所に唐突に招集されたのだった。
唐突に尻切れトンボの放ったらかし状態の現状に新たなオリエンテーションAIからの声が聞こえる。
『失礼いたします〜大変ご迷惑とご心配をおかけいたしております〜オリエンテーションAIの交代をお知らせ致します〜心身の疲労の為、休養に入りましたオリエに代わりまして、リリーフ・オリエンテーションAIのリリィーでございま〜す〜』
なんちゅ〜、間延びな話し方だよ…ってかAIに心身の疲労あるんかぁい!?
そんなツッコミもなんのそのとリリィーは話を続ける。
『円卓のチームCOLORのお手元の抽斗をお開けください〜各ペアCOLORのスマートフォンがお一人様お一人様に支給されております〜ので電源オンをよろしくお願いしま〜す』
やむなく各ペアが抽斗を開けスマートフォンを取り出す。ってか、リンゴ社のスマホじやん、国産製スマホを使えよ国を護る為に使うんだろ!?
リンゴ社スマホの電源オンすると、アプリが二つだけ入れてあった。
一つ目は、AGENT専用通信アプリ
二つ目は、案件詳細検索アプリである。
尚、通信アプリにMessage着信および通話着信には専用着信音が設定されており、着信音の変更は認められてはおらず、と言うよりは出来なくなっている!
『それでは、各アプリを開き指紋認証設定をおこなってください〜そしてロック画面にも指紋認証設定を〜全ての指紋は指をイチイチ変えてくださいね〜』
やむなく各ペアは各アプリとロック画面の指紋認証設定を実行し終え、誰からともなく、お腹すいたわ…なんか食わせてよ、リリィーさん!
『は〜い、全ての設定が完了したから抽斗の奥から目隠しアイマスクを持って〜バスの座席にお戻りください〜』
お〜い、バスに乗るって事は開放してくれるんだろなぁ?
ぶつぶつ言いながら各ペア全員がバスの座席に着いたのを見計らった様にバス車内にアナウンスが流れる。
『大変お疲れ様でごさいました〜。皆さまアイマスクを着用をしてしばらくそのままお待ちください、本日のツアー最終地点へご案内致しま〜す』
本日のって、なんもツアーしてないし、最終地点なんて聞いてないよ〜と文句の絶える間もなくやむなく各ペア全員がアイマスクを着用した。
途端にバスが振動を始める。
おっ、走り出したと思ったら大きく右へカーブして、小さく左へカーブして、ブルルンと振動が止まった。
『皆さま大変お疲れ様でした。本日の最終地点に到着でございます、お降りの際はお忘れ物の無いようにお足元にお気をつけて、ご利用大変ありがとう御座いました』
各ペア全員がアイマスクを外し手荷物を持ってバスを降りる。そこは、なんと、ミシュラの星の付いた豚カツレストランだった。
ぞろぞろと腹ペコ状態の全員が豚カツレストランの中へ入るとBLACKのパンツスーツの方に店内の奥へと案内され各ペアに封筒をが一通づつ配られた。
とりあえず各ペアが席に座ると注文を取ること無く、特上金賞とんかつ定食が配膳された。
ぅお〜やべぇのきたぞぃ!いっせいに声高らかに、いただきま〜す!!
あまりの空腹と朝からこの時間までのストレス解消とばかりに食らいつく。
あっという間に特上金賞とんかつ定食は、ごちそうさまでしたと処理された。
若干、気持ちも落ち着き空腹も落ち着きそろりそろりと各ペアそれぞれに封筒を開封してみる。
一枚の走り書きされた用紙と電子マネーのカードが一枚同封されていた。
「お食事終了時点にて、鳩ポッポバス都心周遊ツアー終了の宣言と致します。同封の電子マネーで支払いを済ませそれぞれご都合の良い交通手段にてご帰宅ください」
あらら〜最後は放ったらかし解散、勝手に帰れとはね…
誰かの呟きをきっかけに各ペアが席を立ち口々に、お疲れ様〜お気をつけて〜と労いの言葉を交わし合って散らばって行った。
新幹線に長距離バス、飛行機に在来線と各ペアが帰宅したその夜、20時をちょっと過ぎた頃、リンゴ社スマホの着信音が鳴る、ハリウッドスタートム主演のMISSION………のテーマ曲!ってまた、国を護るんじゃねぇのかよ!?と、この国の何処かへ散らばったSECRETAGENT達のツッコミが炸裂した。
さぁ後は、スパイ防止法が成立し運用開始を待っばかりだ。
終。