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まっしろな私は
紙晴さんの自主企画参加用です。
私は昔から、"まっしろ"だった。
肌の色とかじゃなくて。
私の肌の色は綺麗じゃないし。
まっしろっていうのは、中身と外見と特徴のことで。
私は平凡な人間だった。
平凡すぎた。
運動神経は中の下。
頭も良くない。
顔面偏差値も下の下。
なにも取り柄がなくて、特出した才能なんて何もない。
そんな私のことを、母はとても嫌っていた。
父は早くに事故で他界している。
兄弟は居なくて、家は完全に母の支配下だった。
ガシャン、とガラスの割れる音がする。
酔っ払った母が、リビングに居る。
衣服に染み付いたタバコの臭い。
私がとても嫌いな臭い。
「皿洗っとけって言ったでしょ!?何考えてるの!?」
「私が食べられないじゃない!!」
自己中。
ふざけるな。
なんで私が。
母に対する、様々な感情。
そんな感情を、吐き出せるはずもなく。
「…はい……すみませんでした…」
「何も取り柄がないんだから、これぐらい当然よね。」
そう言って、母は自室に入っていた。
ぼーっと皿洗いをしながら考える。
なんで、こうなってしまったのだろう。
なんで、私は平凡なんだろう。
だんだん、だんだんあたまがまっしろになっていく。
なんで、わたしは。
なんで、
なんで
なんで
なんで
こんなにもまっしろなんだろう。
なにかあれば、さいのうがあればあいされたのかな
みんなにたいせつにされたのかな
いまさらこうかいしてもおそいけれど
願わずには居られない。
私に、なにか色があったらいいのに。
その願いは、私のまっしろな心に染み付いて。
じわじわと汚染するようだった。