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風の巡る夜道【如月風華過去編】
夜道を歩く風華
この裏路地では人が行方不明になるということがあった
血痕が残っていることもあり、鬼がいるかもしれない
そんなこんなで風柱である風華がここの担当になったのだった
風華「今のところ、鬼の気配はしないけれど…」
もしかしたら、血気術を使う鬼かもしれない
一層注意して裏路地を歩く
ガサッ
近くから草の音がし、刀を構える
風華「いるのでしょう?」
そう言って草を刀で斬ると、鬼が飛びかかってきた
鬼「ふん、柱か」
一瞬で自分の素性を見破られ、ただの弱い鬼ではないと確信する
風華「あなたが毎晩人を攫っている鬼?」
鬼「人攫い鬼なんて、他にもいるぜ?」
そう言うと他にも4体の鬼が出てきた
風華「鬼は群れないはずなのに…」
鬼「まあな、」
早く終わらせて帰らなければ…
鬼「いけ!お前ら!!」
4体の鬼が一斉に飛びかかってきた
足を肩幅くらいに広げ、刀を構える
風華「風の呼吸…」
力強く踏み込み、鬼達の首を斬る
風華「壱の型、、」
風華「|順風斬り《じゅんぷうぎり》」
彼女の斬った鬼達の身体は強風で消え去った
鬼「ほう、風の柱か、、」
風華「私の使う風の呼吸の技は、全て自分で考えたの」
風華「もともとある風の呼吸の技は使いこなせなくてね」
風華「《《あの人》》は凄いわ、あんな技を使いこなせるのだから…」
鬼「お前の話を聞くつもりはない、とっとと死ね」
鬼は間合いを詰めてきた
それと同時に刀を構える
風華「それはあなたが言うべき言葉ではないわ」
鬼「んだと?俺の爪は硬えからなぁ!!」
鬼「隊服も皮膚も突き刺せる強靭な爪だぜぇ!!!」
自分に向けられた爪を
風華はいとも簡単に斬ってしまう
鬼「なっ!?」
風華「あなたの言った言葉、そのまま返してあげる」
**風の呼吸**
風華「私の刀はね、」
**参の型**
風華「硬い爪も、鉄のような首も突き刺せる…」
風華「強靭な刃なのよ」
**|新春の花風《しんしゅんのはなかぜ》**
鬼「ぎゃッ!?!?」
桜の花びらが風に舞うような太刀筋で
風華は鬼の首を斬った
風華「…さようなら、哀れな鬼。生まれ変わったら人間になれるといいわね、、」
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任務の帰り道、1匹のカラスが風華の肩に降り立った
風鈴「任務終了!!任務終了!!屋敷ヘ帰リ休息シナサイ!!」
風華「風鈴、ありがと」
風鈴「今日ノ姉サンモ素敵ダッタワ!!綺麗ナ技ヨネ!!」
風鈴は風華の鎹鴉だ
任務が終わるといつも褒めてくる
風華「こんな綺麗な技を出せるのもお師匠様のおかげだから、、」
風鈴「オ師匠様ッテ誰ナノ?」
風華「もう、亡くなったの。私が柱になる頃に病気になって、」
そう言うと風鈴は黙ってしまう
風華「厳しいけれど優しかったわ。お師匠様は元の風の呼吸を私が習得できなくても、」
風華「叱らずに、ただこう言ってくれた」
風華「「お前はお前の信じた道を行け」ってね」
風華は足を止めて俯く
風華「お師匠様の言葉が無かったら、私は風柱になれていなかったわ。」
風華「信じた道を進んで、良かった…」
涙が出て、視界が滲む
お師匠様との時間はかけがえのないものだった
絶対に忘れない大切な思い出
妹たちの世話も手伝ってもらったな…
風鈴「…早ク帰リマショ。羽音ト由羅ガ待ッテルワ。」
風鈴は何かを察したのか、風華の肩を離れ空を飛ぶ
風華「…ええ、帰りましょう」
風華は少し走りながら、如月邸へと帰っていくのであった
如月風華過去編 完
次は羽音ちゃんの過去編です!!
楽しみにしていてください!!
おつなこ!!