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第六話 魔物
第6話更新できました!
「魔物……?」
それって私が|ここ《異世界》にくることになった原因の?
「今まで王宮に魔物が入り込むことなんてなかった。警備もちゃんと日々強化しているが……」
レンさんは複雑そうに表情を歪ませる。
「ぁ、あの、大丈夫なのでしょうか……?ここにいたらまた、魔物が襲ってくる可能性はありませんか……?」
サツキちゃんが少し震えながら言う。
「……そうだな……まだ王宮内に潜んでいるかもしれない」
「え、それやばいのでは!?」
「あぁ。やばい」
険しい顔で私の言葉を肯定したレンさん。否定して欲しかったと思いつつ同時にどうしたらいいかを考える。……が、私はこの世界のことも王宮のことも何も知らない。つまり、ここで私が役に立てることなどない。むしろ足手纏いだろう。
「……とりあえず、この連絡用魔道具で王宮の者たちに連絡を取る。そうすれば騎士に護衛についてもらえるから少しは安心できるだろう」
レンさんはポケットからもう一つ連絡用魔道具を取り出す。
──が、その時強風が吹き、目を瞑った。風がおさまり目を開けるとレンさんの手からは連絡用魔道具がなくなっていた。
「……ッヒリ!サツキ!気をつけろ!!」
レンさんが大声で叫んだ。
「え?」
──ドンっ!
レンさんに押されてふらつく。
私と手を繋いでいたサツキちゃんも倒れそうになる。
……そんな私とサツキちゃんの横を素早い何かが通った。
「えっ……何……この子たち?」
「……魔物だ。それも、Sランク級が三匹」
「えっ!?」
思わずびくりと叫んだのはサツキちゃん。
Sランクって……漫画とかでよくある魔物の最上位?
え……三匹も?あれ、もしかして絶体絶命……?異世界生活終わり?
……走馬灯はまだ見えないようで、よかった。
そんなことを考えていたら再び地面を蹴る音が聞こえた。後ろは壁で、逃げ場がない状態で魔物三匹が飛びついてくる。
--- あ、終わった……? ---
ぎゅっと目を閉じる。
サツキちゃん、守れなくてごめん。レンさん、拾ってくれたのにごめん。
--- ──やられる── ---
……5秒後、頬にジャリジャリした感覚が走り、目を開ける。
「え?」
横を見るともふもふした狼みたいな何かが私を舐めくりまわしていた。
レンさんもサツキちゃんも流石に呆気に取られている。
「……魔物が懐いた?」
レンさんの驚きを隠せない声が聞こえる。
「ま、魔物が懐くのって、テイマーくらいですよね?」
「あぁ。……ヒリ、お前、テイマーなのか?」
「え、知りませんけど……」
だって私異世界人ですし。
『このニンゲンの匂い、好き。あったかい』
『うん。あったかい。好き〜!』
『ずるい!私も舐めたいのに!』
……ん?喋った?
「今喋ったのこの子達ですよね?」
「…………ああ」
「魔物って意思疎通できるんですか?」
「いや、普通はできない」
「……じゃあこの子達なんなんですか?」
「魔物だ」
「いやそれは知ってるんですよ」
「……一旦、魔物含めて話し合いを行おうか……」
レンさんはもう疲れた顔でそう言う。
お手数おかけします。
……私だって面倒ごとには巻き込まれたくないんですけどね!?
第7話もよろしくお願いします。