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「夜道の囁き」
ほらーです。
私は夜道で迷いました。
街灯はちらつき、道はどこまでも続く暗闇のように見えます。スマートフォンの地図も、何度見ても同じ場所をぐるぐる示すだけで、まったく助けになりません。
ふと、古びた建物の影に、わずかに明かりが漏れているのを見つけました。
建物には小さく手書きで『読む場所』とだけ書かれています。
恐怖と好奇心に引き寄せられ、私は足を踏み入れました。
中は静寂に包まれ、空気が重く淀んでいます。
壁際には無数の本が並んでおり、どれも薄暗い光を反射して、まるでこちらを見つめているかのようです。
その瞬間、頭に友達のピースの声が浮かびました。
ピース「なあ、また迷ったの?」
ピース「夜にそんなところ、マジでやばくない?」
私は独り言のように答えます。
「…うん。でも、あそこに明かりがあって、入ってみた」
ピース「え、入ったの!?怖くなかった?」
「ちょっと怖いけど、どうしても気になったの」
私は一冊の本を手に取りました。
タイトルは『あなたが見なかった影』。
ページをめくると、すべて白紙です。
そのとき、机の上にペンが静かに現れました。
「書くのは、あなたです」
背後から低く落ち着いた声が響き、振り返ると影のような人物が立っていました。
年齢も性別も判別できません。
文字が白いページにゆっくり浮かび上がります。
『あなたは迷い、ここへ来ました』
『外に出れば、もはや元には戻れません』
息が止まりました。
逃げたいのに、目はページに釘付けです。
ピース「なあ、これヤバすぎじゃない?」
「うん。でも止まれません。書かないと、次が始まらないのです」
手が勝手に動き、次の一行を書き始めました。
ページをめくるたびに、空気がざわつき、影が揺れるように感じられます。
――ここから逃れる方法は、書くことだけです。
第二話も出せたら出します